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Mariotトークセッション

近田
それから、こちらはホールですけれども、照明として、天井へLEDを床から打っています。これが色を変えている様子です。

なぜこういうことをしたかというと、こういうホールは使われていないときのほうが多いんです。そこで設計者は、壁はガラスですが、使われていないときはその壁を全部オープンに外から見えるようにしちゃおうと。外からのぞいて楽しめるようにしましょうということで、何もやってないときでも中に光があることで外の光の一部にしたいと考えました。
この天井は卵が逆さになっているような凸型です。

今までどのような建築空間にLEDを使ったかということですが、メンテナンスが非常に難しい場所、つまり、寿命が長いのでたびたびのメンテナンスが不要なわけです。
それから、取りつけ断面が非常に小さくても取りつけられる。大体3センチ角ぐらいの断面があれば取りつけられるというメリットがあります。
それから、長時間点灯を想定する場所。
先ほど山中さんが省エネとおっしゃっていましたけれども、本当に消費電力が少ないです。ですので、長い時間点灯しても電気代が非常に安いです。

今までの光というのは、私たちが調光とか点滅という操作はできました。
けれども、もっとライブな、自分が何か動くことで、あるいは自分が声を発したり、そこを通過したりすることで光が変わるということを「生きた光」と私は名づけたいのです。そういう人間の動作と光を結びつけることが可能な光源です。

続いては九州国立博物館で、太宰府天満宮からこの博物館までずっと長く人を導くトンネルがあります。そこにLEDを使ってタイムトンネルとした例です。

山中
これはCGじゃないですよね、すごいですね。


これはLEDとしては3カ所、ライン状についています。
下側の動くエスカレーターの手すりのすぐ横と天井の真上と一番左側の3列にLEDがライン状に仕込まれています。
そのライン状のLEDの点滅をプログラミングすることによって一つの物語が語れるわけです。
この動くエスカレーターに乗ってから降りるまでが63秒ありました。
その時間を使って、まず晴れている天気から雲が出て、そこから雨が降って嵐がやってきて、虹が出て晴れる、そういうようなストーリーづけをしています。それぞれ季節に応じて色目を変えています。

これで私の話は終わります。

ありがとうございました。「生きた光」というのはいいですよね。

そうでしょう。

インタラクティブみたいなものですね。何か反応するという...

そうです。

それでは続きまして、僕も一度先に全部写してしまいましょう。

まず、太陽の光の動きと色温度との関係です。
人間は時間帯によって太陽の光の色が変わっている自然界の中で生きているので、常に光の動き、移り変わり、時間と光の色と強さが全部変わっていく。僕の持論ですけれども、それを何とか「住」だけではなくて「飲食」やすべてに取り込んでいきたいと思っています。
照明設計をする場合、住宅・商業施設・景観照明、何にでも基本的には人の動きと自然界の光の様なことを頭に置きながらやっております。

もう一つ、人間は見ているものの周辺の照度が同じか若干暗いほうが、視力が高まります。当たり前ですよね。
周辺の照度が明るくなってくると、だんだん見ているところが見えなくなる。その比率の話です。
周辺の照度が見ているものの大体5分の1、2分の1のときは最も視力が高まる。例えば、オフィスで1000Lxは要るとか、リビングのテーブルの上で300Lx要るとか、必ずしもそうではないと思うのです。周りとの対比です。

だから、50Lxでも、部屋が10Lxだったら5倍明るいわけですから、常に目に対比が働いているというのを分かっていただくといいと思います。
今からいろいろな物件をお見せするんですけれども、ちょっと暗めです。その家の中にいると暗くないけれども、ほかの家と比べると暗いみたいなことです。

それともう一つ、いつもプレゼンの最初にお話ししておくのですが、ここに書いてありますとおり、人の視線は空間に入った瞬間、まず真正面の壁に行きます。
そのときの日本人の視野は左右それぞれ110度と上下に55度から70度ぐらいあります。この視野の中で一番目に入ってくるのは壁です。
だから、照明設計はまず壁です。
平面図、天伏図だけでプランされている方は間違いと気づいてください。
まず展開図、立面図が一番重要になってきます。
壁の仕上がりというのがその次に重要で、次に空間の形みたいな、こんなところをずっと考えていきます。

逗子のほうのすごくこだわったビルダーさんのモデルルームを3年ほど前にやらせていただいて、いろんな照明のノウハウをここに入れています。
玄関の一番奧はニッチなのですけど、基本的に縦に20Wの蛍光灯を入れています。一応、収納の下には足元用に入れていますが、天井には照明を入れていません。
内装の壁は全部漆喰にしていただいているので、むちゃくちゃ光の食いつきがよく、昼間でも夜でも、通りを歩いている人が何かなと思って入ってきてしまうそうです。

中に入ると、結構広いLDなのですけれども、あまり照明がついていません。
照明としては壁がすごくポイントになりますから、壁にわざと造作の飾り棚をつくっていただいて、25Wのスタンドを三つ置いて、階段の吹き抜け照明と兼用にさせていただいています。

例えば、その辺を照度計で計りますと、ざっくりですけれども50Lx切れるぐらいです。
ただ、見ているこの辺が大体150Lxぐらいあるのであまり不自由を感じません。
こちらはリビング側です。
たまたま逗子、葉山というところで、何となくイメージでおわかりかと思いますけれども、結構ゆったりとした方が多いのです。だから、リビングでテレビを見るみたいなことをしない方が非常に多いです。リビングは本当にくつろぐ。どちらかというとダイニングテーブル中心で生活していただくみたいな。

住む空間の中で、住んでいる人にもお客さんにもどこに一番目を持っていってもらいたいかというのを考えて、例えば、吹き抜けの天井の無垢で板目になっているところに一番強い光を持っていくと、入った人は最初にそこを見ます。
人間の目は一番明るいところにまず目が行きます。それで次に行くんですね。そうすると、この家の良さがまず誰にでも伝わるという、そういうところから計画していきます。

写真を撮ると明るそうですけれども、実際は暗いです。
でも、実際に生活していても大丈夫な明るさです。

ここはモデルハウスなので生活はしていないのですが、常にお客さんが滞在されており、この暗さを感じて、家を建てる方が多いです。
昼間は表が明るいと室内は暗く見えます。
ただ、壁面重視の照明計画にしますと昼間でも明るく見えます。
夜は、これはセオリーですけれども、室内の明るさを1とし、最低2倍以上の明るさを壁面に設定すれば大丈夫です。

寝室です。
最近、照明メーカーさんからベッドヘッドに仕込む照明がたくさん出てきましたが、これはまだなかったので、大工さんにつくってもらいました。

住宅のプレゼンというか、照明をやるときはいつもおまけでスタンドの使い道をすごく力を入れて提案します。特にテーブルの上に置くスタンドのデザインというよりは使い方です。
使い方を考えていくと、日本ではあまりされませんけれども、例えば、壁のスイッチに連動したコンセントでスタンドがつく、もしくは調光がかかるという、ヨーロッパ・アメリカスタイルです。
これはすごくお客さんに受けるというか喜んでいただけて、寝室とかは絶対にあったら便利です。

次は商業施設系のご紹介です。超高級岩盤浴を銀座でやりました。
これも人を癒すという光を考えています。
入り口はちょっと癒されないぐらいきついLEDですが、ここにLEDが入っていて、それに厚さ10mmのアクリルをどんづけした端面発光というやつです。
アクリルにカッターで傷をつけると傷をつけたところだけ光ります。
今回は、看板、サインとして使っていますので、ウィステリアジャパン(WISTERIA JAPAN)という文字をレーザーカッターで彫って頂いたらきれいに光りました。

これはエントランスのロビーです。
ロビーの壁面にLEDを仕込んでいます。
LEDは、任意の色を出すときには一番使いやすく、これもこの会社のコーポレートカラー
(CIカラー)です。
昔はオリジナルの色が出せませんでしたが、LEDになってからは何千色も出せますので、結構ピッタリした色が出せるのでよく使います。

岩盤浴室は時間帯によって光が変わるということを考えています。
昼間、又は明るい中でくつろぎながら岩盤浴をしたい方には自然光がたくさん入る状態にしています。
夕方から夜にかけて、もしくは昼間でも本当に体を癒すというときは、ロールスクリーンをおろして間接照明を弱くつけます。明るさはかなり暗めにしており、パターンをお客さんが自由に調節できるようにしてあります。

次は積水化学さんのモデルルームというか、実験住宅のようなものです。
リビングだけれどもたまにシアタールームになります。
シアタールームという使い方がなかなかないので、どこかで大きな画面が出てきたりしたら、そこがシアタールームになるということです。光をシーンでコントロールする部屋です。
また、浮遊感覚の寝室をつくろうというので、そこらじゅうに蛍光灯をつけました。スタンド以外は全部電球色蛍光灯です。
床と壁に対して間接照明で浮遊感覚にしています。

もう一つはシミュレーションルームです。
光のシミュレーションルームは得意なので、僕によく依頼が来ます。
照明の場合、パターン切りかえみたいなことをする場合がよくあるのですが、記憶に頼る光の比較は当てになりませんから常に対比、見比べるのが大事です。
見比べると違いが判断しやすいですね。

これもそのモデルルームの和室です。
当初からこの現場の所長と営業マンと設計の方から、全国のハウスメーカーさんのコマーシャルにこのモデルルームを出したいというような依頼がありました。

コマーシャルの番組制作担当者にウケる照明の発想ですけれども、結構これはお客さんに受けています。

3階の寝室部分で24畳ぐらいあります。
かなり広い、ワンフロアぶち抜きで使っているところですが、使っている照明は少ないです。照明を広さに合わせてたくさん付けるよりも、少ない照明のほうがほっとすると思います。

もう一つ、これも大手のハウスメーカーさんのモデルハウスです。
ここはちょっと変わっていまして、入ったらロビーがある家です。800mm位下がっていて、昔の和風建築の土間みたいに演出したいというので、天井に照明を入れていません。

それと同じ物件で、白っぽいタイルで白っぽい内装の壁なのですが、コーナーに60Wのダウンライトを寄せると2坪から3坪ぐらいは明るさをカバーできます。

これは2階のリビングで、これも18.5畳ぐらいあるLDですけれども、天井に照明を入れませんでした。
ただ一応、リビングのちょうどセンターあたりに電源だけは持ってきています。
どうしても最後に偉い方が来て「暗い」と言われるケースがあるんです。
それ用に電源だけは持ってきて、空スイッチをつけていますけれども、最終的にはここも全然クレームにならずに、逆に営業マンにもお客様にも、すごいくつろげるリビングだねと言っていただけています。

最近、家具に照明を絡めてというのに凝っています。
別に僕はハウスメーカーさんの回し者ではありませんが、造作家具で売り上げを上げて利益を稼ごうみたいな運動をしています。
収納をつくったときに、中に照明を入れてスタンドのかわりにしたり、これからもっとこのようなことを提案したらいいと思います。

あと、デザインウォールというのですか、アクセントウォールみたいなところにも照明を絡めて、特に無垢素材にこういう光を絡めると温かい感じがします。

事前に幾らか質問をいただいた中に、光の色と脳波の関係が知りたいと書かれている方がおられました。
数字を細かく出してもわからないと思ったので、高いか低いか、大きいか小さいかみたいなざっくりした表にしてみました。

蛍光灯の白い光の中にいると皮膚の温度が上がります。
皮膚の温度が上がるということは室温に若干近づきます。涼しく感じるのです。
逆に電球色蛍光灯を使うと平均皮膚温度が下がります。
そうすると室温との開きが出ます。暑く感じます。
白色蛍光灯だと血圧が上がりますし、心拍数が上がります。ベータ波も出ます。
電球色だと逆にアルファ波が出ます。
もう一つ、色彩の心理効果というデータもありまして、血圧・脈拍・呼吸速度が上昇したり増加したりというのが、見ていただいた通り色で全部違います。
こういうのもたまにインテリアの色彩の本に載っています。
照明はこういうところも加味しながら考えていきます。
だから、何でもかんでも蛍光灯が悪いというのではなくて、白色蛍光灯が必要なところもあります。

事前にいただいていた質問で、LEDの質問が多かったのですが、僕はトヨタ自動車さんのLEDの設計をもう10年近く携わっています。

これは一つ前のセルシオです。
次のセルシオが2006年9月に出るんですけれども、写真をお見せする事が出来ず申し訳ありません。
先ほどの近田さんのお話にあったように、スペースがない場所とか、それからランプは振動に弱いですよね。
LEDというのは案外振動に強いのです。それで消費電力が低い。
これはわかりやすくCGでさらに光の軌跡なども載せていますけれども、多分これから車の全メーカーの室内照明は、LEDと新しく発明されたELシートに変わっていくと思います。

また、シャネルのお店に行きますと、LEDが入った化粧台があります。
上と両サイドの3面全部にRGB(レッド、グリーン、ブルー)とホワイトの4色が入ったLEDのバージョンスポットライトがあります。
そして、春・夏・秋・冬のボタンや、朝・昼・夕・夜というボタンがあります。
シャネルの口紅を塗ると、朝会社に行くときにはこんな感じに見えて、夜パーティーに行くとこんなに色っぽいでしょうみたいなことを店員が説明して、その口紅を売るのです。これはヨーロッパのメーカーが設計して持ち込んでいる化粧品屋さん専用のLED照明です。

また、ガラスにLEDをサンドイッチして、配線が見えないのにLEDが光っているものでパワーグラスというのもあります。
これはドイツの意匠、国際特許を取られているものなので、まだ日本で開発できません。
合わせガラスの片面ずつにプラス・マイナスの電極が塗ってあるんです。それを合わせるときにLEDを挟んでいるので配線が見えません。

あと、LEDで僕がよく使うのはプールとか水際です。

先ほどの近田さんのにもありましたけれども、外部で使う照明器具というのはすごいスペースが必要です。
最低でも250〜260mmとか。LEDはその辺がクリアできますので、70mmぐらいの深さで水中照明を、これはオリジナルでつくってもらいました。

あと、チェコスロバキア製のパワーLEDというのが今出ていまして、すごくまぶしいです。ライトアップもいけます。
日本のLEDでは投光器として使えそうなものがまだ開発されていないし、入ってきていないですけれども、海外のスタジオなどではもうLEDのスタジオ照明でモデルさんの肌をきれいに見せるみたいな、そういうことまでLEDでできるようになりました。

LEDを使用した話をもう一つ。
水をある一定の周期で、50Hzなら1秒間に50回の噴き出しをします。
普通の人が見るとただの水ですけれども、そこに50 HzのLEDの光を当てるとその一個一個の噴き出しの水滴がとまります。
これは結構いろいろなところで使われています。びっくりするぐらい大がかりなもので、ウォーターパールといいます。

最後に、高齢者の施設のダイニングです。
これはもう15年ぐらい前ですが、見に来てくれと言われて、できたばかりのところに行ったら、鬼のように照明がついているんですよ。
何でですかと聞いたら、メーカーのカタログに照度は3倍必要だと、これで1200Lx確保しておりますということでした。ああそうですかと...

食事時にはテーブルビニールを入れるのですが、そうしたらもうギラギラ映り込んでいました。ここは見に行っただけでしたが、次の施設の時に照明を変えさせていただきました。

やはり間接照明が一番いいですね。
高齢者だからといって明るさもそんなにとる必要はないです。普通でいいと思います。
それから皆さんご存じのとおり、年が行きますと目が黄ばんできます。
これは新幹線のサインを写真にしてあるのですが、これがお年寄りにどう見えるか。....わかりますか。消えるんです。
黒を背景にした青の文字のようにコントラストの低いものは若い人でも見づらいです。お年寄りはまず見えません。だから、町の中をよく見渡したら、結構お年寄りが見づらいコントラストの色遣いが多いのです。
だから、照明もその辺をよく考えるようにしています。ブルーとか紫とかはあまり使えません。

見てください、男子トイレ。見えないですよね。これではおじいちゃんがかわいそうです。

ざっと駆け足で見ていただきました。