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Mariotトークセッション


山中
では私のほうでリードをさせていただきながら話を進めていきたいと思います。
先に私と近田さんの作品の説明をさせていただきながら、後半に少しそれについて皆さんとお話ししながら進めたいと思います。

近田
「医、食、住と光」と今日のテーマをいただきました。
まず、自分でやった中で医に関係しそうなところを一つ選びました。
「白寿清遊の家」という高齢者福祉施設です。
高齢者福祉施設には実は2種類あって、元気なお年寄りが自分の生活をサポートしてくれる人と住む家というのが一つです。もう一つは、サポートする方に全面的にお世話になる、もっと体が弱った方々の住む家です。今からお目にかけるのは後者の施設です。

手がける前に幾つかそのような施設を見て回りました。そういう方々というのは、今日をどうやって生きていくかという状態なわけです。
今立っているところからあの白線のところまで歩けたということが、明日の希望につながる毎日です。そこで、私は、生きる欲望をどうしたら持ってもらえるかということを挙げたいと光のテーマとして考えました。

このスライドは全体の景色です。
外側のテラスは散歩したり、ひなたぼっこをしたりするスペースになっております。まず欲望の一つとして、病院のようにしたくない、病院ではないんだと。そこでいろんな楽しいことが起きる場所でありたいということから、入り口の「清遊の家」という館名を赤いローボルテージネオンでつくりました。

そういうお年寄りが何を頼りに次の日を過ごせるかというと、やはり自分の家族との繋がりだと思いました。
家族がどうやったらここに足を運びやすいか、そこも大事な点だと思いました。
おばあちゃん、おじいちゃんがいる所はおもしろいねということから始まり、もう一回行ってみようと思ってくれる場所をつくることも大事な光の役割の一つと考えました。
それから、お年寄りたちは決して枯れた存在ではありません。
この場面は、でき上がった後で行われたストリップショーの前座と聞いています。
「○○ちゃーん、がんばれ!」とみんなで言い合ったりすることが生きる欲望につながっている。さまざまな欲望は生きるエネルギーにつながると思っています。

逆スラブでつくられていることからこの照明はあまり格好よくないんです。
メンテナンスを簡単にするということも大事な点と考えまして一番上の舞台のところには直づけで昇降装置つきのスポットにしてあります。

それから、この施設でもう一つ思ったのは、自分が生きているという証しを光を使いどう表現するかです。
自分のベッドの周りは、本当に3m四方あるかないかのスペースしかないわけです。そこで自分のベッドの上にある照明のプルスイッチを自分が引っ張る、その行為で自分の空間を自分が支配できるという、そういうスペースをつくりたいと考えました。

この部屋は6人部屋ですけれども、間仕切られている一つ一つのエリアの中で自分の好きなペンダントを選べる。これも手づくりの和紙のペンダントですけれども、そこの中の照明にプルスイッチのひもがつけられている。それを自分で最後に消せる、そういうふうに設えました。

こういう施設の場合は必ず介護の方の見やすさが要求されますが、介護の方が仕事をされる場合には部屋全体を明るくするために、プルスイッチつきのペンダントとは別の照明を設えてあります。

これは共用部ですけれども、ペンダントとして最初に赤いシェードを選びました。ところが、クレームがつけられまして、赤はいくら何でもまずいというので、最後には白に変えられてしまいました。
高齢者の施設で、白熱灯で食卓を照らすのは暗いので、普通は私どもはやりません。ただし、こういうところの設えの中で、食事をすることが一番大事な行為だと設計の方と話し合いをして、もちろん蛍光灯で補う光はあるんですけれども、白熱灯の柔らかさを大事にしたいと考えました。

これは高齢者施設に附属する保育室です。
家族の方が来やすいということもあるし、子供たちが昼間元気に遊んでいる、その活気をもらう、その子供たちを出迎える親が出入りして、ついでにおばあちゃん、おじいちゃんたちと話をする、そんな複合的な役割も担った施設です。

続いて北海道の帯広の高橋建設という建設会社の社屋です。
この社屋は全体が土で覆われています。開口部は南北にあいていまして、それぞれのところに庭がつくられていて四季の変化が楽しめるようになっています。


こちらは雪に閉ざされた様子です。

建設会社ですので冬はあまり仕事がないそうです。
冬もここでみんなが楽しく過ごせるような、そういう施設を望まれて設計をしております。

特徴的な柱に特別なデザインのアッパーライトをつけ、オフィス用としてはペンダントをつけております。


続いて、帯広のホテルです。
自然が非常にきれいな場所ですので、外と中を光で結びつけようと考えました。
ここはロビーですけれども、外と中とをつなげる形で柱がずっとつながっていますので、光としても同じような照明がつながるようにしました。

人間が一番居心地のいい場所というのは、明るいところが見える、少し暗いところだと思いました。

続いて、集合住宅の歩道です。
ここでは風車で発電した電力を使った照明をやっております。
これは床に埋め込んだ照明ですが、光源としてはLEDを使っています。
今、ピンク色に見えていますけれども、中に白・赤・青3種類の色のLEDが組み込まれています。
通常は白と赤がついたピンクの状態でつけられていまして、これは商用電源、つまり風車での発電の電力ではなくて、供給される普通の電力でつけられるものです。桜坂という名前なので、普通は桜色の光がついています。

そこに風車で発電された電力が加わると青いLEDがつきます。
その青いLEDがピンクに加えられて紫色になるわけです。
ピンクのところと少し青っぽいところとがご覧になれると思いますが、風車で発電された量によって光の広がりがわかります。
風車で少ししか発電されないと、紫色に変わるLEDはほんの少ししか広がらない。ところが、風力発電によるエネルギーがたくさん供給されると、紫色の輪がぐわっと大きく、しかも強く広がる。
ここに住んでいる人が帰りがけに下を見ながら歩いています。
何でここからピンクでここは青なのだろうとふと見ると、風が吹いている。風が吹くと色が変わるということに気がついて、色が変わるのは風力発電でエネルギーを供給されているからだということがわかる。
電気というものが風で起こされたことを目でもう一回見られる。そういうことが私としてはやりたかったことです。

続いて、事前に皆様にアンケートをとった中で、LEDに対していろいろご質問があったそうなので、急遽、こういう建築空間にLEDをどう使うかということを幾つかまとめてみました。

まずこれは「ミューザ川崎」というコンサートホールとオフィス棟が合わさった施設です。
LEDが使われているのはここの壁面ですが、非常に天井高が高くて、吹き抜け部分の壁が無味乾燥になっています。この部分にLEDをつけることでいろんなプログラミングができるわけです。

それから、突き当たりのコンサートホールに行く階段のところに足元灯としてつけられている、これもLEDです。
こちらはペデストリアンデッキ、今のデッキの上につけられたものですが、この床のLEDも実は音センサーで反応するLEDなんですね。
音センサーが隠されていて、ここで友達と待ち合わせをしていたりして、「おーい、山中」と大きな声で呼んだとすると、その声に反応して、この床のLED全体のプログラミングがパッともう一回リセットされるシステムになっています。

これは商店街のアーケードにつけたLEDです。
こちらは歩行者用のデッキですけれども、デッキのブリッジの下、ストラクチャー(構造体)のところへのLEDです。
これも通りに水のせせらぎがつくられていることから、水が流れているように緑と白と青のLEDを変化させる形をとっています。
それから、上のところは床にLEDではなくて、普通のHIDのメタルハイドランプを埋め込んでありまして、それにフィルターをかませて色をつくっています。

それから、これはインジケーター照明です。
こちらはサインとベンチと照明灯の三つの要素を一つにあわせ持つベンチをデザインしたものです。これもLEDです。
もう少し暗いとよく見えるのですが、人が座っている様子です。ベンチの上側がこの集合住宅の街区のサインになっています。


こちらは明治大学の駿河台校舎ですが、ここのエスカレーターの照明としてLEDを使っています。
全体の光の中でここだけ色を使うことで特別な場所だということを示しています。


これは最初、クライアントのほうから省エネというのでLEDという指定があるわけですか?

LEDと省エネを結びつけてオーダーするほど、皆さんLEDについて知らないですね。

ほう。

大阪の駐車場ではLEDがインジケーターとしての役割を担っているものもやりました。

サイン的なものが多いですね。

そうですね。