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Mariotトークセッション

西沢:
僕はアジアのネットワークってのは重要だし使えるんじゃないかなって思うのは、ヨーロッパに旅するとすごい疲れるんですよ。
でもシンガポールに行くと時差が無いから全然疲れないんですよね。
飛行機に乗って着くと日本と同じ時間がそこに展開してるので特に縦のつながりっていうんですか?
それは中国とか韓国も含めてそのバンドっていうのはお互いに交流しやすいようにできてるような気がします。
それが僕はもうちょっとなんとかならないかな、と思うんですよね。


面出:
うん。それは僕も同感ですね。
プラスマイナス1〜2時間で南北へ移動する圏内で受ける自分の心地よさみたいなものと東西に移動するってのは随分違う感じがしますね。


西沢:
全然違いますね。だから縦で移動すると、なんか自然な感じ、電車の延長で飛行機に乗っているような感じがして。
ヨーロッパとかアメリカとかに行くってのはもう一回宇宙に出てなんか気絶して、それでフッと気づくとそこにいる、というようなかなりの隔絶感があるんですよね。
でも、アメリカで仕事するのは無理があるかな、と最近感じなくもないですね。12時間ですからね。

面出:
そうですね。そうは言いながら東京にいても体内時計が狂うような24時間がある、という生活が結構一般的に余儀なくされる。そういう時代になっちゃってますよね。

時間がきたので、僕は西沢さんに最後、このテーマ「COOL JAPAN」について、私達だけでなくて海外の人達に「西沢立衛かっこいい、COOLだ!!」というラブコールがあるのも事実なんですが、それがね、自分じゃ全然意識はしてないんだろうけど、客観的に見て日本人デザイナーが海外にでて日本の技を見せているという局面にきているような気がするのですが、そういう現象に対して、どう思っているのか聞きたいのですが。

西沢:
いや、僕はそれはすごい重要なことだと思うんですけど、ローカルであることと国際的であるということは結構一致してると思います。
昔は僕、逆の事だと思ってたんですけど、最近はその2つっていうのはすごく一致しているのかな、という風に思い初めています。
大学の時は僕は日本にしかいなくてその時はあまり日本ってのを考えてなかった。
日本人かどうかっていうのはそんなに重要じゃなかったですけど、ヨーロッパに行くと途端にみんな「お前日本人だ、お前日本人だ」ってみんなでもう日本日本日本って感じで言うんですよね。
最初はあんまり快適じゃなかったですけど、そのうちに何がそこまで違うのかなあ、と思いだす。
やっぱり日本国内では日本っていうグルーピングってのは(少なくとも当時はバブルだったのもあるとは思いますけど)そんなにリアルな問題としてはなかったんですが、スペインとかイタリアに行くとすごいローカルですよね。

ヨーロッパに行って驚いたのは、中心が無いっていうかみんな田舎ですね。で、彼らの生活ってのがすごい動かしがたいものとしてあって、スペインなんか行っても夜ご飯とか10時から始まる訳ですね。
僕がたまに仕事が終わってお腹がすいて9時くらいにレストランに行ったら、駄目だって言うんですね、まだ開いてないんです。
日本であれば9時なんてもうご飯食べ終わってる頃ですから、すごい不自由。
すごい不自由だし食べ物食べようと思うとスペイン料理以外無い訳ですよね。
中華料理がたまにありますけど基本的にスペイン料理。選べない。
でもスペイン料理を選んだら、その中にはもう多様性が、いろんなものが選べるんですね。
ああいう感じっていうのは僕はいいなって、その目で日本に帰ってみるとお蕎麦はすごいいろんなバリエーションであって、結構日本っていうものの地域性っていうのは昔に比べて考えるようになったかな、と思いますね。
特に海外で国際性ということを考えるより、地域性が問題になってくる、というのがあるかな。


面出:
それすごく同感ですね。
なんか俺は国際的な人間なんだぞっみたいな話っていうのはすごくダサくて、全ての地球上の人たちが自分の国を真ん中にして地図を作っているけれども、真ん中にいる私たちが大切な田舎者なんだ、っていうかひとつの地方、地域の人たちなんだっていう意識を強くもつことがこういうことにつながっていくような気がしますね。


西沢:
僕は今、国家というよりも地域というものを感じるんですね。
スペインでも、スペインを感じるのは政治的なニュースとかそういう時、たとえばバスク地方の独立問題とかマドリッドのテロとか、あとイラク問題の時に感じるんですけど、日常的にはスペインという国家はあまり感じずむしろ地域。
バレンシア地方とかバスク地方とか地域を感じますね。
で、政治的な問題になると国家っていう問題がでますが結構ヨーロッパは...イタリアでもベネチアとかっていう地域性っていうのは大きなものとしてあるかな、と思いますね。
それは最近日本でもなんとなく、自分がそういうものに興味をもちはじめて見始めたってことかもしれないですけど、東と西とか・関東地方・東海地方のようなものとかっていうものはある言語圏って言うんですか、文化圏っていうんですか。


面出:
じゃあ、西沢立衛をヨーロッパ人が見る時はなにか東の地方のヤツが、ニオイを発しているぞ、と。西に無い違う地方のそういうニオイみたいなものが、自分達をもっと強く刺激してくれるということを期待しているのがあるんですかね。

西沢:
そうですね。実際彼らはそういうのはあると思いますね。
自分たちの言葉では組み立てようがない建築物を作る人間がいるとしたら、全く別の地域に属してる人間がいるとしたらその人間の作るものに対して興味を持つ。
自分と同じものを作る人がいるとしたら多分そんなには興味を持たないのかな、と思うんですね。


面出:
僕は、シンガポールから今朝帰ってきたんですけど、シンガポールで一番ホットなチャイナタウンに新しい仏教の寺院ができるそうなんですよ。
建築的にはゴテゴテの寺院らしいんですが、照明が大切だってクライアントが言っているんですって。
シンガポールにいるオーストラリア人やいろんな照明デザイナーを呼んでコンペをやる、って言っているんですけども。ただ彼らは多分我々LPAに、僕たちに期待してるな、というのが明らかにわかる。
多分、日本人がちょっとしたとこでやっぱりアジアというものの血筋にふれているという感じが彼らにあるんでしょうね。

今までのシンガポールでの仕事ってのは全て欧米人だったし、照明デザインもそうだったんだけど、僕らに頼むと仏教の「ブ」くらいはちょっと感じるかな、という期待があるのかもしれない。
私達もそれが僕自身の考えでもあるんだけどそれがどんな風に日本がアジアの非常に大切一員として、また新しい文化的なリーダーシップをとるというのはちょっとおこがましい話なんだけど、「COOLだね」と言われるようなことを、もう一度真摯に考えないと、と思っています。

西沢:
照明デザインも地域性とか文化圏上の違い、日本人だからこうだ、という特性・差っていうのがすごく出る訳ですか?

面出:
僕もそういう風に考えてなかったんだけど、でるんでしょうね。うん、明らかにでる。
しかもやっぱりトロピカルな北緯1度っていうところで仕事するのと我々とは違うし、北京のような寒さとは違うし...


西沢:
そうですね。


面出:
だからそのマインドっていうのが自分がどこにどれだけ日本っていう田舎の匂いをちゃんと培養してうまくこう...
谷崎潤一郎の言葉を借りなくてもですよ、なんかそういう風にしたいなぁって思うんです。
西沢さんのように、これからもっともっとCOOLでね、ラブコールがいろんなところからかかってくるみたいな状況で、やっぱり田舎くささみたいなもの?
ローカルの自分たちってものをもっと強く意識してそれを見ることが必要かな、と思います。

この後、少し飲みながらお話できるチャンスがあるそうなので、これで「COOL JAPAN」というテーマで西澤立衛さんをお迎えしたトークを終了したいと思います。

西澤さんにもう一度拍手を!ありがとうございました。



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