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Mariotトークセッション

西沢:
ごちゃごちゃにつまっていたものを種類別に分配するというような感じです。
お風呂まわりのシャンプーですとか、植物を置く人もいると思うんですけど、そういうものをお風呂まわりに...食べ物関係のものはキッチンまわりに。寝る関係のものはここに置くというように。
テレビをここに置く人がいたりここにおく人がいたり、と様々だと思うんですけど、それはその人に応じて自分のものを種類別に分けていくというようなアイデアですね。

その全体をいろんな大きさで割って大小の四角を作り出して、この3つがその家だったり、この3つがその家だったり、1軒だったり、というような感じで色々な四角をもてる、というようなものです。

コンクリート壁式構造で作るということだったのですが、壁式構造の場合は室内が非常に暗くなるということで、僕はすごい大きな窓を、お風呂であってもキッチンであっても、北側とかトップライトとかいっぱいあけて室内をなるべく明るい状態にしようとしてます。

こういう感じで共用部に面しているとか、横に面しているとか、あちこちコンクリートに穴をあけました。
また、穴の形をちょっと持ち上げたりして、これはベットルームなんですが空間として繋がっているけどちょっと距離があるような、例えば敷居を高くして色々な距離感を作りだそうとしています。ですので、ここがキッチンだったりお風呂だったりするので、違った大きさの窓がランダムに並んでいくという展開になっています。

これはその前にやった鎌倉に造った住宅ですね。1階がちょっと暗かったので天井高を高くしてリビングとして暗いながらも快適な部屋にしました。
2階はベットルームで高くしたので隣の家の軒くらいの高さになって明るくなる、というアイデアです。
この時、スタンドをいくつかおいて生活するということを提案して壁に蓄光塗料を塗って、光の模様が外界に出るという風なことも考えました。

日中はこういう風な感じになっているんですけども、この壁に光の一日の状態が記録されていく訳です。
常時発光している訳ですけど日中は太陽光が非常に強いのでその発光は見えないのですが、一日の生活が終わって真っ暗になった時、壁に一日の光の模様というか活動の記録のようなものが現れる訳ですね。
家具の影がこういう風にはりついてる訳です。
あとはこの辺にスタンドをおいている場合は、この辺だけがボワッと明るくなる。

面出:
これは蓄光で、夜になって「あ〜輝いてるな」って段々フェードアウトしてくるのですか?


西沢:
そうですね。暗闇になると3〜4分の間出てますが徐々に消えていって、最後には真っ暗闇になるという訳です。

面出:
気持ちよさそうですね。


西沢:
これは、金沢21世紀美術館という去年の秋に竣工したものです。

ここでも光というのは非常に重要なテーマになっていて、まずは展示室。展示室というのがこういう丸い建物の中にあって、天井高が4.5m、6m、9m、12mという非常に高いボリュームのものが並んでいるのですが、そういうものがみんなトップライト採光で上から光を得ている訳です。

主に展示するものが現代美術なので非常に明るい状態を作る必要があったり、逆にビデオアートのようなのは暗い状況を作る必要があったりということで、天窓採光にして中にルーバーを入れ、ルーバーを開けている時は屋外に近いような自然光に満たされた状態になり、ルーバーを閉じると暗室になるというような展示室を作りました。

これが平面で、もう1つ開放的な美術館を作ろうという提案がここでありまして、ここに四角がいくつかあると思うんですが、普通、展示室をつなげて並べていくのに対してここで僕らがやったのは展示室を離していくというものです。
それは都市の中でビルが間隔をおいて並ぶ感じで、みんな離れています。
ですから部屋から部屋に行く時に、一瞬外に出て通路に出ると金沢の風景が遠くにみえるようになります。

また、視覚的にぬけるルートをいくつか作っていまして、部屋から部屋に行くときに左右に金沢の風景が見えたり、もしくは図書館とかカフェの人達が見えたり、というようななるべく開放度の高い構造を作り出そうとしました。

あとはこの中庭というものを中に4つ入れました。
この中庭、無料ゾーンと美術ゾーンの中央におくことで中庭越しにお互いが見えあうというようなことも計画しました。

これが出来あがった外観で、この背の高いのが平屋・一階建の展示室です。
横のビルぐらいの高さがあります。
それを中央部に配し、外周を低くして無料ゾーンとしています。
無料ゾーンは全体が透明なカーブガラスで1周していくようなものです。
このスライドは無料ゾーンから展示室を中庭越しに見ています。
ここでこういう展示室のボリュームが、ちょっと間隔をおいておかれているのがわかるかと思いますが、展示室は壁が多いんですけど上からみんな採光していくことで室内を明るくしています。
ここも無料ゾーンなんですがマイケル・リンというアーティストは無料ゾーンまで出てきて作品を展示していました。

その横に中庭があり、その中庭の向こう側にも美術空間がある、というようなものです。
円盤の奥深くであっても中庭を入れることによって、その建物の奥深くまで来たとはあまり感じられないような、建物のエッジに等しいような明るさを室内でも作るようにしています。
この展示室はガラス天井があってその向こうにガラス屋根があってその間にルーバーが隠されています。ルーバーは室内からは見えない状態です。

これはオラファー・エリアソンという非常に有名な現代美術のアーティストで、この人の彫刻のように大きな...天井高が9mの非常に大きな部屋です。
そこにもガラスの天井があります。

これは無料ゾーンのラウンジです。
市民の人々がここに訪れて本を読んだり、週刊誌・美術関係の本を見たり出来ます。ここでも屋外を見て逆側を見ると、展示室と展示室のボリュームの間を通して美術ゾーンが覗けて美術館の中で何がおきているか、ということをなんとなく感じられるようになっているんです。
これが外観で、全体としては低いボリュームが連続して繋がっていくというものです。
外観は閉鎖的な壁ではなく、なるべくガラスを使うことでその室内の文化的な活動が施設内だけに留まってしまうのではなく街全体に広がっていく、ということを期待してこのような外観にしています。
場所が兼六園のすぐ向かいの文化的なエリアで、なるべくその建築の施設の活動が建物の中だけにとどまらず、都市に広がっていくような活動になることを期待して、開放的で明るいスペースを作りました。

以上です。どうもありがとうごさいました。

面出:
どうもありがとうございました。もうこれはオープンしているんですよね?


西沢:
はい。これは去年の10月にオープンしました。

面出:
僕、まだ見てないんですけども、すごく気持ちよさそうですね。
無料ゾ−ンだけ来ちゃって中に入らない人ってのもいるんですか?


西沢:
それも...いるでしょうね。でも、今はお祭りのような展覧会をやってるので、多くの人が入っているようです。
また、無料ゾーンには会議室ですとか美術館とは関係ないプログラムも入っているので、そこだけ利用する人もいます。

面出:
今、西沢さんの仕事のほんの一部しか見てないのですが、建築という姿形じゃなくて、結構、光というものもそうだし、風だとかまたは温熱っていうか、なんか一枚の絵を見てるんだけど音まで聞こえてきそうな気がしました。
その辺の姿形じゃないものを西沢さんは、いつもどんな風に設計の中で考えてたり、または何か見たときに「おっ、この風だ。」と感じるんでしょうか?

僕なんかは、何処いっても光ばかりが気になってしまうので、いつもその場で感じた光を描きとめるようにしています。
まあ、最近写真とらなくなったけどスケッチしたり、妹島さんも西沢さんもたぶんそういう記憶の仕方が人より長けてる感じ方があるんじゃないか、と思って。


西沢:
確かに僕は現象っていうんですかね、そういうのに興味がある方だと思いますね。でもスタディっとかっていうのはすごい難しいですよね。

面出:
西沢さんが何かの時に「妹島は結構論理的だけれども私は非常にパッと感覚的に作ることがあるんだ。」って言われていました。まず感覚的だっていうところは「これだっ!」っていう自分を押すものがあるわけじゃないですか?

西沢:
そうですね。あるんでしょうね。
でも感覚的・論理的っていうのはお互いに逆転することもあると思うんですよね。
片方が興奮してるともう片方はどうしても冷静になっちゃうじゃないですか。
そういうのは、お互いにカバーしあってるんじゃないか、と思いますね。
でも、建築物がその機能とか構成を越えて、ある一つの情景・風景を作り出せた時に、すごく僕は印象深く思い出に残ると思うんです。
なにかその風景というか環境的な風景っていうんで すかね。そういうようなものが作れるとそれは大きな建物であっても小さい住宅であっても、そういうことが出来ると 良いのかな、という風に思っています。
そうすると、「光」っていうのは大きな問題になってくるんですよ。


面出:
西沢さんの今のスライドの中だけで全部知ったつもりになっちゃいけないんだけども、でも、ものすごく沢山そういう事を感じられて、空間の風まで感じられて...とってもびっくりしました。