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Mariotトークセッション


西沢立衛(Nishizawa Ryue)
西沢立衛建築設計事務所
 代表/建築家

1966 
東京都生まれ。横浜国立大学工学部卒業後、横浜国立大学大学院修士課程修了
1990  妹島和世建築設計事務所入所
1995  妹島和世氏とSANNA設立
1997  西沢立衛建築設計事務所設立
2000  ハーバード大学非常勤講師
2001  横浜国立大学大学院助教授
2003  南カリフォルニア大学客員教授、シンガポール大学客員教授
2004  デュッセルドルフ工科大学客員教授
Award
2000 
東京建築士会住宅建築賞 金賞
2001  SD Revies 200 鹿島賞
2002  アメリカ芸術文化アカデミー アーノルド W ブルンナー賞
ヴィンセント スカモッツィ賞
2003  ベネチアビエンナーレ第9回国際建築展金獅子賞
2005  第46回毎日芸術賞
Project
<国内代表作>ウィークエンドハウス、鎌倉の住宅、ディオール表参道(共同設計)、船橋アパートメント、ベネッセアートサイト直島オフィス、金沢21世紀美術館(共同設計)
<ongoing>
<国内>森山邸
<中国・天津>伴山人家−ハウジングプロジェクト


面出 薫(Mende Kaoru)
株式会社ライティング プランナーズ アソシエーツ
 代表取締役/照明デザイナー・武蔵野美術大学教授
URL:http://www.lighting.co.jp/

1950 
東京都生まれ。東京芸術大学美術学部デザイン科卒業後、同大学院美術研究科修士課程修了
1990  株式会社ライティング プランナーズ アソシエーツ設立
住宅照明から建築照明、都市・環境照明分野まで幅広い照明デザインのプロデューサー、プランナーとして活躍するかたわら、市民参加の照明文化研究会「照明探偵団」を組織、団長として精力的に活動を展開中。
Award
北米照明学会・国際照明デザイン賞・優秀大賞、国際照明デザイナー協会賞・最優秀賞、日本照明学会・照明普及賞、日本文化デザイン賞、毎日デザイン賞などを受賞。
2002 
北米照明学会Award of Merit「日本科学未来館」
2003  IALD honorable mention「せんだいメディアテーク」
北米照明学会Award of Distinction「OASIS 21」
2004  日本照明学会日本照明賞「国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館」
Project
<国内代表作>東京国際フォーラム、JR京都駅、せんだいメディアテーク、六本木ヒルズなど
Project(ongoing)
<国内>東山魁夷美術館、茅野市市民会館
<中国・北京>中国中央電視台、北京オペラハウス
<シンガポール>最高裁判所、国立図書館



面出:
初めまして、面出でございます。

西沢さんと今日一時間半ばかりこういう機会を与えていただいて楽しみにしてきました。テーマ「COOL JAPAN」は、なにか段々日本が元気になってきたぞというものだそうです。

海外も含めて活躍しているCOOLな人をお呼びしてということで、今日は西沢さんになったのですが、私自身はいつも建築照明という仕事をしているので、たくさんの建築家とコラボレーションをしながらやっています。
今も西沢さんの作品が投影された後に面出の作品というように紹介されていましたけれども、僕の場合には形を作っているのではなくて光を作っている訳なので、多分メンタリティが随分違うと思うんです。

建築家の人は胸を張って「俺の作品だ」っていう風に言えるものがたくさんあるんですけど、僕の場合には「自分の作品」とはおこがましくて言わない。
私は仕事させていただいた、と言います。

今日は1時間半という短い時間ですけれども、会場の皆さんの質問等も受けながら楽しくやっていきたいと思います。

僕は、この名古屋の前に東京・大阪で同じテーマで、隈研吾さん・小嶋一浩さんとお話したんですが、隈さんも小嶋さんも僕は随分仕事の上で繋がりがありますが、西沢さんとはまだ仕事を全くしていません。これから仕事になればいいと思うんですが...(笑)
妹島さんとは随分昔にいくつか仕事をさせていただいていて、西沢さんと妹島さんの 出会いだとか、西沢さんが一人でやる時のこととか、そういうところを今日は聞けたらな、と思ってます。

では限られた時間ですが、最初に20分ほど西沢さんから光も含めた建築作法というか作り方みたいなことを紹介 していただきたいと思います。
西沢さんは海外でも沢山やられているんですけど、今日は国内のいろんなプロジェクトを持ってきていただいたそうです。私は北京でやっているような仕事を皆さんに紹介して進めたいと思います。 では西沢さん、お願いします。

西沢:
皆さん、こんばんは。西沢です。今日は来て下さってどうも有難うございました。光をテーマにいくつか例外もあるんですが、作品の説明をさせていただきたいと思います。

海外でも確かに仕事をしてるんですが、まだ一つも竣工したものが無く、みんなドローイングとか模型の状態で。
映像で光のことを描くにはちょっと無理があるっていうことで、今回は出来上がったものを中心に、いくつかは作っている最中のものもちょっと入っているんですが手短にご説明したいと思います。

これは独立して一人でやった最初の建物です。
ウィークエンドハウスという名前で呼んでいる、週末住宅です。
ロケーションが自然の中でまわりに民家がないっていう、まあ、大自然の中にポツネンと建つというような建物ですね。
クライアントは東京にお住まいの女性の方で、お子さんもご主人もいらっしゃる方です。
大自然の中に住むということで、なるべく窓が無い建物を、という風に言われました。
それは、密漁者とか、そういう人達が来た時にガンガンやられたくない、というようなことだと思うんですけど、まわりに人がいないので、村のような状態では無い訳なんですね。それで、窓がなるべく無い家を作る。
僕はどうしようかなと思って、中庭型住宅=建物の内部に中庭をおいて、それで光とか風をとりいれるというスタイルをやることに決めました。

これは平面図です。こういう13平方mくらいの正方形がありまして、屋根が小さい柱で支えるられていて、その中に中庭を3つ入れています。
この中庭が純粋な中庭じゃなくて外壁にくっついてることで、この中庭を経由して光とか風を室内に入れていこう、というアイデアですね。

閉じたボリュームというのは外から見ると非常に安全そうでいいんですが、中にいると刑務所にいるような閉塞感を感じるんじゃないかという心配が僕にとって一つの大きな問題で、閉鎖性は維持しながら、どうやって室内で開放感を作れるか、閉じた感じを取り除けるかっていう事がテーマで中庭を大々的に使うことにした訳です。

面出:
柱の間がすごく短いですね。2.5m?

西沢:
すごい短いです。2.4mで日本の四八板、規格サイズにできています。
天井高も2.35mなんですが、それはこの壁が四八板でそのまま作れるので、経済的ということでそういう寸法で全部できてます。

これが中ですね。ここに庭を3つとることで、どこにいても一方向でなく複数方向から光が室内に入ってくるという...ちょっと人工照明とは違う話なんですが、光全般ということで。
それでもう一つやったことというのは、庭を全部ガラスで覆う訳ですね。それによって室内に反射された緑の映像が実物の緑の映像と一緒に室内に広がっていくという風になっています。

面出:
要するに中庭が全部ガラスでこう...

西沢:
これが図式としてはわかりやすいですが、中ぐらいの中庭で、ここに実物の緑があってガラスに対して浅い角度で見た時、ガラスっていうのは反射的なものとして出る訳ですね。

その代わりに照明しているこのガラスは完全な透明であって、そういうような事が3つの中庭で起きることで自分が立っている位置に応じて外の風景が変わって見える、というアイデアですね。

面出:
豊かな自然をストイックに閉じることによって、限られたところから外が見えることを強く感じる...

西沢:
そうですね。それと、普通は窓をあけると本当にこっちが外・こっちが中というすごい激しい分割ができる訳です。けれども、そうではない開き方ですね。
そういうのをちょっと考えました。

これは大きい中庭に移ったところです。
中庭と外壁の間に雨戸が入っていて、クライアントが滞在時に雨戸を開けると室内にこういう風な映像が入ってくる訳ですね。

あと光とは関係ないんですけど、庭の位置は設備の方と打ち合わせをして、風が通る位置において通風を作るようにしています。

それとガラスなんでカーテンで全部カバーして、二重ゾーンっていうんですかね、バッファーゾーンを作って、そこを冬は空調するようにしています。
普段は透明な感じの室内ですけど、ここはカーテンで3つくるむということで、平面図通りのジグザグした感じがでるようなアイデアです。

あと、天井にプラスチックを貼って、限られた風景をなるべく拡大して、ガラスでも室内の仕上げでも、とにかく何でも使って、外の風景を室内に導入しようという考えでやっています。

こういうところだと映るけど、こういうような角度で見るとあんまり映ってないという、いくつかの反射の段階が自分が室内を歩くのに応じて見えてくる、というものです。

面出:
こういうのは計画している時に「こうだろう!」というふうにイメージしますよね。

西沢:
そうですね。

面出:
だけども、やってみると「あっ、やっぱりこんな風にこっちにも反射したんだ!」ということは?

西沢:
それはもちろんありますね。
ただ、結構大きい模型を作って色々な角度から見て、なるべく想像しようとするんですが、もちろん、できあがった時にはちょっと自分の知らなかったようなことも起こります。

これはまだ出来てないものなんですけれど、賃貸の集合住宅で6軒が合体している建物です。
全体は10×10×9くらいのキュービックなボリュームを曲面の壁で分割して、いくつか住宅を作り出すというようなものです。これは3階建ての賃貸、これは2階建ての賃貸、ここは3階建ての賃貸というようにいくつかの賃貸の住居が合体しているものです。

これが平面で、正方形をカーブした壁で仕切ることで6軒を作り出しています。

そして、このカーブした壁が2階・3階と上にあがるにしたがって、垂直方向にもカーブしていく。それによって各住居が1階・2階・3階と床の大きさが変わっていくというものです。

集合住宅っていうのは普通、各住居が同じになるようにっていう思想で作るんですが、ここでは逆に各住居をいかに自然に違ったものにできるかということを考えて、カーブで分割するという事を思いついたんです。

これは1軒1軒をバラバラにするとどういう形をしているか、というものです。これなんかは、1階建で屋上庭園があるので、1階はメチャメチャ大きい訳です。
その代わり上に上がると、上は吹き抜けだから大きい必要がないのでどんどん小さくなっている。
その横にある住宅っていうのは1階はお風呂で小さいんですけど、上の方にリビングをもっていて上がどんどん大きくなっていくというような感じです。
3階建になると寝室とお風呂とリビングが積み上がる訳です
けど、そうすると3つは同じ大きさである必要はあまり無い。むしろ大きさが違った方が理由があるのではないかと思って、こういう風にプログラムがどこにあるかによって形がかわってくる、というものです。

これは先ほどお見せした平屋で屋上庭園があるタイプ。
狭い場所をお互いが空間をもらったりあげたりしながら隣の人の形を決めていくというような感じで、お互いが自分の形を決め合うという、そういうような「ダイナミックな関係性」というのを集合住宅に作り上げました。

面出:
構造的にはRCなんですか?
西沢:
鉄骨造ですね。トラスっといって斜めに組んでいくというようなものです。
これは室内で、ちょっと変な事が室内におきています。6軒が合体すると、普通の四角になるというものです。

これは、クリスチャン・ディオールの建築物です。
今までクリスチャン・ディオールっていうのは基本的にインテリア展開してたんですが、ここで初めてビルを造るっていうことで、中が全部クリスチャン・ディオールの店舗であるような建物を表参道に作りました。
こういう風に四面がガラスとアクリルの二重レイヤーになっていて透明性の高い外装を使っています。
インテリアは僕らではなくディオールの人達がやられるんですが、ただ、中と外の関係がなんとなくあるような透明性のある建物を作ろうと計画しました。
しかし、中が完全に見えるとまずいということで、ちょっと見えるような見えないような状況を作るのに、ガラスと半透明のアクリルという二重のレイヤーで作りました。
8階建みたいに見えますが実際は5階建で、インテリアの人達が室内を変える時に設備も自由に変えれるようにするために天井裏に1.5mとか2mの空間が要求されていたので、天井裏の部屋と人の部屋がランダムに積み重なるような感じで全体の外観ができていった訳です。
それを外から見ると厚いバンドと細いバンドが連続しているような感じになります。
透明ガラス部分の背後にカーブしたアクリルがたっていまして表参道の並木ですとか周辺の風景を映しこんでいくような外観になっています。
こういう風にちょっと等高線のような感じでカーブしている訳です。
これは屋上で、室内もそうなんですけど、東京の風景がぼんやりと室内から見えるというような感じを作っています。
たまにパーティーをやる時の為に屋上も作られました。

これが外観の夕景なんですが、夕景は普通室内から明かりが出ることで作られるんですが、室内からの明かりでやると建物の外観自体は影が出てくる。
半透明のアクリルにしてるので、室内から光をいれるとファサードのアクリルは黒っぽくなる訳ですね。
それを避けようとして、室内から光が出てきてるんだけど、しかし外観は白い、という状態を人工照明によって作りだそうとしています。

具体的にはこのダブルレイヤーの間に照明が入って上を照らしている訳です。
そうすると、ここなんかは床に照明が入っているからちょっと下の方が明るくなっているのが反射して分かると思うんですけど、中の明るさと外のファサードの明るさが増長するように、全体として影があまり無いような状態を作りました。