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Mariotトークセッション

隈:
COOL JAPANって話ですよね。

面出:
そうそう。

海外で日本が評価されているとかそういう話?

日本人が元気で、昔はファッションくらいの事はあったけど、どうしてこれだけ建築家が海外に行っているのか。
それはすごくCOOLな事であって日本人が輝きたってくるんだろうという...

そう言うれたものですから、ちょっと関係のあるものをいくつかお見せします。
最初のは那須の石の美術館といって、イタリアで世界石の建築賞というのを2年に一度だしているんですけれど、それを日本の建築家で初めてもらった建物です。
光の話をしなくてはいけないと思って
(笑)
古い石蔵があってそれに対する増築で、石の美術館を作るってプログラムです。
今日だから言うのではないけれど、実は設計する時にどういう光の状態にするのかっていうのがいつも僕の頭にあったんです。
若い時から面出さんとかエジソンとか、そういう方と話をしていた影響が大きいんだと思うんだけど、普通の状態はトップライトがあって石蔵の中に光が差し込むみたいな、ローマで言えば、パンテオンのような光のあり方なんですけどね。
それに対する増築の部分というのは「粒子みたいな光の状態を作りたい。
粉々に砕かれたような光の状態を作りたい。」というのがあって、それを石のルーバーや沢山穴のあいた石の壁とかで作ったわけです。


石のルーバーはこのために石の職人と作ったんだけど、最初はこんなの絶対に無理だって言われると思ったんです。
でも非常にいい職人さんに会って、4センチの厚さの石のルーバーができました。
中から見るとこういう状態になっています。
石の柱にとりつけて、石の柱をぎざぎざに切り込んだものに石のルーバーを取り付ける。
こっちは逆にたくさん穴をあけていって、穴から光が入り込む状態を作りたい。
穴のスタディをいっぱいするわけです。
1/3まであけても構造的には何とかなるって話だったので1/3まであけて、どういうパターンがあるかって言うのをやりました。
いろいろ考えたらもったいなくなって、一種類に絞るのやめまして、実はいっぱいパターンがあるんですよ
(笑)

右の壁と真中の壁と、右の建物でも、正面の壁と左の壁で穴のパターンが違うでしょ。
面によって穴のあけ方が違って、一番難しかったのは角でどうやって切り替えるか、この石の積み方。実物作る前にスタイロフォームの積み木みたいのを作ってそれを組み合わせていって角がどうおさまるかって一個一個やらなきゃいけませんでした。
中はこんな光の状態がつくれています。
ここは石を薄くスライスして中に光を取り入れています。
有名な例だとSOMがやったイエール大学の稀観本図書館って言うやつがありますが、あれは調べてみたら2センチなんですよ。
2センチだけど、全面石だから光の効果がある。でも2センチでこういう使い方だとこんな感じにならない。
だからこれは6ミリにスライスした大理石を使って外の光を入れました。

次に広重美術館です。
これはフィンランドから国際木の建築賞というのをもらいました。
一人目がレンゾ・ピアノで僕が二人目です。
これも2年に一回なんですが、三人目はオーストラリアの建築家が今年貰いました。
広重の美術館って事で、日本人が見ても面白いけどインターナショナルに通じる浮世絵ってアートだから、ヨーロッパ人が見ても単なる和風じゃないものにしたいというのがありました。
広重の空間が持っているレイヤーみたいな感じを表現したいと思いました。
広重って光も独特じゃないですか。
広重の持っている光の感覚って言うのは、形でなく現象みたいのをどうやって絵に表現するか、光とか風とか、雨もよく描くのはすごいですよね。
現象的なものを2次元にどうやって固定するかという事を広重は良く考えている人だから、これも非常にモダンなテーマですね。

下手糞と思うかもしれないけれど、これゴッホなんです。
ゴッホは広重の事を神様みたいに尊敬してコピーしています。
実物はアムステルダムのゴッホ美術館にありますが、油絵でこの線をひくのは大変だっただろうなと思うんだけど、一本一本油絵で雨の線をひいて、広重に対する大変な愛情みたいのを感じました。
この絵のうしろの絵を描いて写してますけれど、これは地元のスギ材を屋根とか壁に使って、そこから光が漏れてくるみたいな感じを作ろうとしました。漏れてくるような光、というのが最初あったんです。漏れてくる感じと、層になっている、レイヤーになっている感じというのが分かるのは、この写真かな...

このイスも全部アルミのルーバーで作ってあるので重なっても向こうが見えてくるんです。
透明な透ける感じを出すために、この柱はムクの鉄を使って、パイプでなく鉄の塊を使っています。
それだから、柱に見えずサッシにしか見えない細さでできています。
7センチ×15センチって断面です。
これは地元の和紙材を使った光る壁です。
光る壁の前に2層レイヤーがあって、そのレイヤー越しに光る壁が見える。
レイヤーの後ろに何か光るものがあるって言うのは、レイヤー感がすごく強く出てくるじゃないですか。 


この和紙はどう光っているのですか。照明器具はどこに入ってるのですか?

ここに入っています。横材が入っていると光が上に伸びてこないから、横材は全部アクリルで作っています。

表に見えてこないから、誰も見た人は分からない。
見えない事で全部アクリルを使って。縦材は木を使いますが、横材はアクリで組んでいるので、光が上まで伸びて見えます。
これもイスのレイヤーの後ろに、和紙のレイヤーがあります。層が重なっている、単に層を重ねるのに、光の演出がプラスになっているから、層が重なっているように見えるって事を考えています。
全体には屋根はガラスと金属板があって中にもう一回天井が貼られているから必ず層は三層が重なっている状態にはなっています。

これは中国の万里の長城の脇のグレート・ウォール・コミューンってプロジェクトです。
12人のアジアの建築家を呼んで1人一軒ずつ家を作らせて村みたいのを作るっていうプロジェクトです。竹でやったんです。
竹の足場とか香港も中国もたくさんあって、日本の竹とはまた違う竹の使い方があるから、それを中国でやったんです。
最初、簡単に作れるだろうなって思ったんですけど、中国の職人って足場みたいなラフなのは作れるんですけれど、住宅みたいなものは竹ではできないって言う...日本の京都の竹マニアの大工さんに、いろんなノウハウを教えてもらいました。
どれくらいの時期に切って、どういうふうに熱を処理をして、どうやったら一番腐らないかっていうノウハウを聞き、それを中国の職人に伝えて。
中国の人って最初割と嫌な顔するんですよね。

そうですね。

だけどある時から急に早くなったり、急にうまくなったりとか。

かなり早く学習してくれたんですか?

かなり早く学習して、仕上がりもすごくきれいだった。

ここ今、高級ホテルですよね。

12軒最初にできて、その次に40軒工事中なんです。
基本的には村なんですけど、最終的には分譲で売っていくんですね。
それで12軒はホテルとして体験してもらって、ここに滞在して気に入ってくれた人に買ってもらおうってプロジェクトなんです。
余談ですが、吉永小百合とSHARPのAQUOSで11月1日からポスターでこれが使われます。
9月に吉永小百合が行くっていうから絶対についていこうと思って
(笑)
吉永小百合とホテルに泊まれるなんて一生ないだろうなって
(笑)
でもちょうど日本でこういうイベントがあって行けないので、一生悔いが残るなって思っているんですけど
(笑)

さっき面出さんが現場管理の話をされていたけど、中国のクライアントは、基本的には、現場管理はしなくていいですって感じで言うじゃないですか。
そうなるとどうなっちゃうか分からない。
特にこれはディテール勝負みたいな建物だから、現場で見なかったらどうなるか分からない。
それでどうしたかって言うと、これを、ちょうどうちの事務所でインドネシア人が担当していたの。
インドネシアの若い建築家で、むこうの事務所辞めて日本に来て、文化庁のお金で来ている人が居てね。
日本で図面書いて、自分は給料貰わなくていいから絶対に行かせてくれって。
日本のスタッフに中国の万里の長城で山の中に1人で住めって言ったらびびってたけど、彼はどうしても行きたいって言って。
物価は高いけど安いホテルがまだあるんですよ。一泊500円のホテルを彼は探してきて、一泊500円って事はホテル住まいしても一月1万5千円って事です。
北京市内のホテルなんですけれど、そのホテルに住んで毎日バスで万里の長城まで通って、現場管理したんです。
これはあと、日本からは坂茂さんと古谷さんの3人が選ばれて行ったんだけど、彼らは現場管理しなかったんです。
うちはブッディがずっと見てたから、それだけの事はあったなって思ってますね。

これも余談ですけど、ガラスの中に入っているのは羽毛なんです。
北京で北京ダックばかり食べていたからよっぽど羽が余っているだろうと...
(笑)
でもさすがにそんなに安くなかったです。ガラスの中に羽毛が入っていて断熱材になっています。

サンドイッチしてるの?

サンドイッチにしています。30cmくらいのガラスの壁を作って、その中に全部羽毛を詰めて断熱材にしたんですね。

すごい量の羽毛だね。

すごい量です。
最初に考えたのは、その中にファンを入れていつも羽毛がうわーっと回っているような(笑)。でも、やっぱ回らないんです
(笑)