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Mariotトークセッション

面出:
...では途中で質問がありましたらお願いします。
LPAは今、東京に19人程いるのかな。シンガポール事務所が3年前にできて、今そちらに7人程います。
私もこのところ毎月シンガポールに行くという生活をしていまして、シンガポール、タイ、インド、マレーシアなんて所に行ってます。
今日はシンガポールとタイ、北京のプロジェクトを紹介したいと思います。

シンガポールで最初にやった仕事は高級コンドミニアムでした。これはローカルの建築家と一緒にやりましたが、その中に丹下事務所がやったインドアスタジアムもあって、その外構のランドスケープの仕事をやりました。
これはマレーシアのケン・ヤーンという人が基本設計のNational Libraryです。
これも来年の4月に完成しようとしています。
私たち建築照明の仕事はこういうものを依頼されてから最低3年、大体5年位かかっています。
シンガポールでいろいろな事をしていますが、このフォスター事務所のSupreme Courtって最高裁判所も来春にやっと竣工になります。
仕事のやり方の違いとか、いろんな苦い思いもしたりしてますが、沢山の事を僕たちは急速に学習しながらやっています。

これはザハ・ハディッドという建築家がマスタープランを立てたOne-northという都市計画の仕事です。
広大な敷地に新しい街が出来る時、どういう光のインフラストラクチュア、どういうルールを与えたらどんな風になるのかという仕事です。
ザハというのは非常に強引なルールを与えていますので、誰もこれに従おうとしない。大体できた後に黒川紀章さんが一つの建物をやると、ザハのルールはあってないようなものとなる。ただ光というのは、例えば色温度はこういうふうにしようじゃないかと、それがルールになると、街全体の品質が変わってくるという意味では非常に興味があります。
Chediというのはケリー・ヒルという、隈さんと同じように、ルーバーがきれいな格子をデザインする人です。
最近、Chediとかアマンとかのプロジェクトを僕たちはしています。
これはバンコクのSiam Paragonってアジアで一番大きなショッピングセンターです。

これはBanyan Treeというプーケットのリゾートです。
私たちは日本で、リゾートとか面白そうなヨダレのでそうな仕事はやった事なかったんですけど、シンガポールに行ってから少しそういうプロジェクトがあって新たに沢山の事を学習しながらやっています。

これは北京です。
二つのプロジェクトのために足繁く北京に通っています。
一つはナショナルグランドシアター、これは北京のオペラ劇場です。
ポール・アンドリューという人がデザインしています。
これが紫禁城これが天安門広場ですから、その横にとんでもないガラス製のドームが出来て、なんだこりゃっと思っている人もおられるかもしれません。
こっちの方にはCCTVってレム・クールハース・OMAがやっている建築があって、これはやっと9月21日に着工したというアナウンスメントがされたところです。
こんなの建つのかよ!?!ってそんなビルでした。
グランドシアターは本当は年内中に完成しないといけないのですが、まぁ来年の6月くらいまでには出来るでしょう。

どんな事が行われているかを少し早口で説明しますと、こんな風な大きなチタンの帽子をかぶっていて、水がある所の下からくぐっていって中に入り、真中にオペラハウスがあってシアターとコンサートホールがあるというような大きなものです。

これは現場から紫禁城のほうを見ています。
現場から、夜になると紫禁城とか北京の夜景が見えないかとか、無理難題を言われています。北京の面影を残すような所に巨大なUFOが降り立ったような、そういうポール・アンドリューの建築が出現しています。
僕たちがどういう理由でアポイントされたかって言うと、大阪にマリタイムミュージアムという、なにわの海の時空館っていうのが出来たんです。それがポール・アンドリューがデザインしたもので、どういう理由か私たちがそれをお手伝いしたという事もあって、彼が私たちをここに推薦して入ったというわけです。
巨大なヴォールト天井がテーマでありまして、設計フィーを見積もってくれって言われて、これをちゃんとやるには随分なフィーでなくては困るって額をだしたら、とんでもないって思われたんでしょうね。
長い間放って置かれて最後になって
「分かった。これはどうしても照明コンサルタントを必要とする空間だ。この巨大なヴォールト天井は非常に難しい。だからこのヴォールト天井の内側に限ってレスポンスビリティーをLPAにあげよう。」という事になったのです。
ですから私たちのクレジットはこのプロジェクトの全てではなくて、核となる一部なんです。
私たちの一番の課題は、この大きな塗装された赤いプライウッドが一面に貼られている部分が、どんなふうに昼夜ともかっこよくこの空間の快適性を保つのかという事に主力を置いています。
隈さん、この建築見ました?
前通ると非常に目立つので「うわ、なんだこれは」って他の建築家からヒンシュク買っているんじゃないかと思いますが
(笑)。  

隈:
もう外壁全部出来てる?

出来てるんですよ。
昼夜にわたって溶接の火花が散ってきれいだなって思って見ていました。
私たちがやった事はこれだけです。
どういう所に設計ポイントが置かれるべきなのかをCGでモデルを作ってこの空間の解析をしました。
体育館ではないので、全て照らして「さぁ明るいだろう」という空間ではない。
どこの部分がどう人の目に入ってきて、どういうシークエンスを作るかといった事を非常に細かく考え、私たちは12個のビューポイント=大切な視点を定めました。
ほぼ赤い色の木の天井がこんな風にして光る、それを全部集めるとこんな風になって、私たちはそれのプライオリティをつけながら、天井がどんな風に照らされて、どういう時間帯に、どんなふうに昼間の光と人工の光が、うまく手を結ぶか、なんて事を考えています。
これは天井の中です。どういう風に蛍光灯のアップライトがきたり、ずっとなめあげるようなウォールウォッシャが来たりとかっていう事を解析しています。
そして天井の照度としてはどんなふうに寄与するのか、具体的にどういう風になっていくのかっていうような事を計画しながら説得している訳です。
「ここのとこアップライトしますのでこのコンクリート、はつって下さい」と、日本だとひっぱたかれるような事をお願いするのですが、中国では平気で「じゃぁ、はつりましょう」とか言う事になるようです。

これが計画の断面図です。
ポール・アンドリューと同じように現場で打ち合わせしています。
中国の仕事は非常に管理が難しい。
基本設計だけして、あとはやって下さいというのを中国人も望んでいるし、そういうふうにしちゃう場合もあるのですが、やっぱり隈さんもそうだと思うけど、現場でどんな風になるのかをどこまで管理できるか、そういう意味ではポール・アンドリューって建築家は、したたかにかなり頻繁に現場に来て、施主に対して非常に細かく説明していました。
我々も、模型の照明実験をしました。
なんのために実験するかと言うと、やってみないと分からない事なのです。
どういう風に計画を説明しても分からないんですよね。
実験で、この天井を照らすって言うのは夜ではなくて昼間にこそ非常に大切な意味を持っているんだという事を説明しました。
これは非常に成功裏に終わりました。
「あ、蛍光灯で照らすって言うのは、こういう事なんだ。」
「20灯くらいでこんなのになるのか。」
「私たちは全体に何灯使うからこの何倍くらいの光になるのか。」
とかそういう事を実証的に説明しながらやっていきました。
建築家も、「そうかこれで分かった。」という事もありましたし、施主もそれで納得するような事もあったわけです。

これは対照的に今はまだ更地になっている中国中央電視台です。
非常に彫刻的な、とんでもないスケールの建物なので、いろんな意味でこんなのが建つのかというのはありましたが、構造解析も一応行われて、全体のコストも試算されて、風水も一応クリアしながらいっているようです。
いずれにしてもOMAって設計チームがやろうとした事は、構造が被覆を兼ねるというような話なので、レム・クールハースもその一点に絞って、あまり細かいところは、照明デザインで処理しなければならないとところはたくさんあるけれどもそれは捨てようと。
できるだけジェネリックな、一般的に中国の中でできる部分に関しては 喧嘩するのはやめようじゃないかというのが私たちの戦略でした。
それでいても、中国の中で達成できる技術なり、主張できる最後の事というのは非常に限られていると思います。
ただOMA、レム・クールハウスは非常にアバンギャルドな夢の多い人たちなので、当然、そう言いながらしたたかにたくさんの仕掛けをしてくる。
それに対して中国の施主がNOと言ったり、誤魔化したりしているわけなんですね。
ですから設計チームとしてのプロポーザルというのはたくさんあるのですが、それを受け入れる側の中国の施主たちが、建築家の知恵をどこまで事業に拝借するかというようなしたたかさがあるので、私たちは現場事務所にどれくらい管理の人間を送るかという事を戦略立てている段階です。



中国の国家威信を誇示するような建物なので、この中で一番大切なのは、なんと言っても外観です。
外観がどんな風にデイライトから解放されて、闇が訪れた時にいろんな表情を変化させながら「これが中国だ!」って顔をするかというところに絞ってこの絵は持ってきている訳です。
ガラスの建築というのは当然ながら、昼間は周りを映しこみます。
昼はここにあるダイヤグリッドってストラクチャーが構造的に非常に大切なもので、段々オフィスの中の光が点いてくると、それがシルエットに見えてくる。
照らしあげられる所は照らしあげられてくるというふうにして、表情をにわかにどんどん変化していくだろう。
オフィスの中の光が点けば、それがどんどん輝いてきてダイヤグリッドはもっとシルエットに見えてくるだろう。
ところがオフィスの中の光が消えてきたりするとダイヤグリッドというものが、さも「ピキピキピキ」と、何かそういう音を立てながら輝いてくると、そういうプログラムです。

中国なので少しは色のついたものも必要だろうという事で、カラーライティングでアップライトする、というプロポーザルでした。
沢山のプロポーザルから施主が「あーはしない、こーはしない」と、そういう段階の調整を経てモノが出来上がってきます。
その上で、やっぱりそれを英語か中国語にして、説明すると言う儀式が非常に大変な手間がかかるのですが、最終的には難しい、新しい建築技術・照明技術を提案しているわけで、それが当然中国で今ある技術の範囲を越えている。
では最終的にどういう風に中国の技術に落ち着くかという話を、非常に長い時間をかけて話しているわけです。

例えばオフィスの中は日本みたいに蛍光灯でぎらぎらですごく明るいだけ。
そうするとダイヤグリッドも外観もないと。それをミース・ファンデルローエのシーグラムビルのように、美しい光天井にできないのかというのがOMAの一つの夢な訳です。
こういうふうに柔らかい光天井ができているとオフィスが美しく見えるだろうと。
そのための天井のシステムというものを開発しているわけですが、実際はこういう事をすると平米あたりのワット数がどんどん上がっていくはずなんです。

ですから最終的にはクライアントは「普通で照度をとってくれ」と、くるはずなんです。
それをどういうふうにか説得して、いろんなオフィスの種類に従ったシステムに対応しますよという事で照度計算し、平米ワット数というエナジーコンサンプションを計算するという段階です。
「いろんなオフィス作業があるので、それに対応しますよ。」
「いろいろなオフィスのスタイルに対して天井の材料も違いますよ。」
「基本的に天井はパンチングメタル使うにしても柔らかい素材のように見せたいんですよ。」
しかしなかなか、こうはならないですよね。
しかも、ここまでやっちゃうと、とんでもなくエネルギーがかかってしまう。
要するに光天井にするという事は、それだけで30%・40%の光のアウトプットを犠牲にするという事が基本的な前提になるので、
「こんなに均斉度は出ないんだけれど、不均一でもそういう事をやるか」と。

そしてそこに対してどういう照度をユーザー側が得られるのかという事を解析しながらやっていくので、細かい、私たちで言う設計のミスはありながら、施主とOMAと私たちの間の調整みたいのが続いているわけです。

これはもう一個のCCTVの反対側にあるTVCCという建物で、ホテルと劇場などが入ります。
国営の放送施設とは違った建築になっています。
すべてのところに密度の高い大きな模型が作られて解析しながらやっています。
レム・クールハースって人はおじさんですが、 OMAという組織は非常に若い組織ですので、若い人たちがすごくアバンギャルドな知恵を絞ってやっている事務所なので、現場の実務としては、こういうイメージがあったときに、どこに落ち着くのかって事について夢ばかり語っているのではなく、最終的には中国の技術への落とし前みたいなのが問題になっています。
という事で、早口でしたが中国のプロジェクトを紹介しました。

では、続いて隈さんお願いします。