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Mariotトークセッション

面出:
今日はですね、今の話だけじゃなくてCOOL JAPANって話なんですが。僕らに海外に出るようなチャンスがどうして与えられたか。
僕らは中国とかアジアの、僕自身は赤道直下のシンガポールまで含めて時差1時間なんていう圏内を南北に行っています。
あまりヨーロッパとかアメリカには昔ほど行かなくなりました。

小嶋:
ロッテルダムに引っ張り出されちゃ大変ですよね。


ロッテルダムがあったり、最近イタリアのフローレンスや、カナダ トロントでの仕事もあったりするんですけど。
そういうふうにして少し外に出ると、やり方がいろいろ違ったりする。
どうして日本人がここになって、特に建築家もかなり頻繁に飛び出るようになったんでしょうね。

本当に最近そうですよね。
発注する方の事はなかなか想像しきれないですけども、遠い所だから呼ぶのが大変だって思ってない人がまず増えてる。
プロジェクトの中で、僕らからすると面出さんのライティングって言うのはスペシャルコンサルタントになりますよね。
アラップみたいなエンジニアとかは割と骨格のとこで入っていますが、それ以外にプロジェクトによって、アコースティックであったりライティングであったりって言うのから FF&Eって家具とかもそうですし、ランドスケープもそうだし。
おびただしい数のスペシャルコンサルタントが招聘されるのだけれど、その時の声の掛け方を見ていても、どこの国だから遠いからやめておこうなんて、誰も考えていないように見える。


どうしてかなと思いますよね。
カナダのトロントから、お前の所おもしろそうだから来いって。カナダとかっていうのは、東海岸は照明デザインのメッカで、私たちが出る幕など当然ないだろうと思うんですけどね。
でもそういうところからも来たり、ポール・アンドリューの事もあって、パリのセーヌ川の開発からも「お前達ちょっと来い」って。少しずつ、ヨーロッパでもない、アメリカでもない、そういうところのテイストみたいのが、何かを持っているんじゃないかと、ある意味クライアント筋がそういう価値観の予感があるんですかね。

少しあるような気がします。
あと、全然一般論では言えないんですけれど、例えば僕だと、カタールの仕事はアメリカの照明コンサルタントとチーム編成の中で、こっちで指定するんじゃなくて決まっちゃう場合もあって、やっているんだけれども、何か確立された人たちが、例えばアメリカのシカゴにいる人にとって、中近東の仕事は単なる商売なんだなということを実感しています。
一通りはやってくれるんだけれど、それ以上の愛着というか、現場に行こうとかいう事は何も考えていない。
だからカタールの現場の時は、僕が携帯持ちながらシカゴにいる人相手に「ここがこうならない。どういう風に考えてこんな器具入れたんだ。」とかやっていて、途中で怒って「何でお前はここにいないんだ」とどなったり。すると「クライアントが要求しない限り私はそこにいけない」と機械的なことを言うんです。
そういう中で、日本人だっていっぱいいますけれど、例えば面出さんがやってる仕事の仕方って言うのは、とても新鮮に見えている部分があると思うんです。
むしろ来るなって言われているのに、行きたい行きたいって言って実際に行って。
そしたらいっぱいバグがあるから調整して。でも何回かやっているうちに、契約書の範囲がどうのこうのって言っている事を受け入れたほうが現場がスムーズになるっていうことも感じつつありますけど。


僕らも時々「あなたの会社に何か頼むとどういう利益があるんですか」と突然聞かれることがあるんですよ。
ちゃんと答えなくちゃいけないなと。私達は迅速ですとか時間に遅れませんとか、いろんなことがあるんだけど。最近になって、私達が日本人であるという事とかも含めて、僕はあまり日本人であるということをステレオタイプ化して言いたくはないんですが、やっぱりだけど最近になって、日本人が、日本のデザイナーが外に出ていくという門戸は広がった感じがします。
一番最初はファッションですよね、多分。耀司さんとか一生さんとか川久保さんとか。
それからインテリアとかIDがあって、少しそれから遅れてきたと思うのだけれど、建築にすっときましたよね。

一番不自由なのは建築なので。
ファッションで言うと高橋盾であったり、NIGOであったりがどんどん出ていっていて、あんなに出ていくと何がメディアで何がメディアでないか分からなくなるような感じですが、かなり戦略的に動いていますよね。
そうすると僕らだけが、日本の中で、仕事が減ってきたとこで醜い仕事をしなくてもいいんじゃないかと、本当に思うようになりました。
僕自身は日本で特に公共の仕事していると、本当につまらない話ばかり増えてきたので、ある時期、ちょうどカタールの始まる少し前から、事務所に新人を採る時に、日本語以外の言葉が一つ出来ないやつは採らないと決めたの(笑)。
それで英語だったりフランス語だったりっていうような人が入ってきて、そしたらカタールやらないかとか、中国やらないかって話になって。僕は英語とか、言葉はダメなほうなので、自分が海外に行きたいと思ったときには、そこが一番ウィークポイントだから、そこを一番補強しておかないとどうにもならない。


じゃあ、事務所の中でいろんな人が、結構海外の人が交じり合っている?

海外の人もいますけど、日本人で海外での実務経験を持っているような人が多いですね。

急にそういう意味で、僕達も英語のドキュメントを、半分以上はそうなっちゃうんで、面食らう部分はあるんだけど、その中で設計をする時に、「日本人っていうのは光に対する繊細さがあるんだろう」って聞かれたり。
我々よりむしろ陰影礼賛とか、ジャン・ヌーベルだって「オレは谷崎にインスパイアされてこんなの作った」とか、本当かなって思うけどそんなふうに、日本人ってことで特に光なんて言うと、いろいろ言われたりする。
僕自身はそういうことは常々意識しながらも、僕は日本人であるとか、なんだとかって言わないんだけど。
そう聞かれたりした時に、一体自分が何者で、中国で仕事するときに中国に出来上がるものが、東京に出来るものと同じような品質の光じゃないのかもしれない。
彼らも要求しているのが違うかもしれない。
でも、レム・クールハウスなりOMAっていうのはやっぱり...でも、あの形っていうのも中国を意識しながらやっているんですかね。
建築家が海外の仕事をやる時に、当然カタールっていうのはそういう気候風土で、彼らの中の持っている一つの条件・文化みたいなものに小嶋さんが回答している。
小嶋さんがやる以上、ヨーロッパの人がやるのとは、何か違った別のフィルターがかかるのかなって。それがね。

これも人によってすごく違うし。レムの場合で言うと、あの人はあらゆる事を確信犯で、しかも普通にやるとこうなるっていう事からコードをずらしてやる人なので。単純に中国だからって言うんじゃなくて、中国のあの壮大なプロジェクトで、例えばアメリカに喧嘩を売るにはどうやったらいいかっていう事を考えながらやっているような人なので、一番ややこしいんですけれど、僕なんかもっと素朴で、砂漠が好きで旅行していたから、砂漠に設計してもいいんだって思ったんですよね。
サハラとかは一人とか仲間でさまよい歩いていた時期があるので、あそこの光とか空気の質とかをまず想像してカタールに行ってみたら、光は同じなんだけど湿度が90%もあるんです。
写真からは全く想像できません。
水蒸気は確かに体の周りにあるんだけど、写真で撮るとカラカラに乾いているような不思議な所で、でもそういう事に対して応答するんだけど、日本の中で地方都市に行って何かここで伝統を大事にしながら作って下さいって言われても、なかなか体が応答できない。どちらかと言うと嫌がる。


なるほどね。

最近同じように海外で仕事している西沢立衛さんとかと喋っていても、僕ら何者だって、日本人は何だって聞かれるそうです。
でも面出さんだってお話しませんよね。


しないしない。

ああいうワークセッションに出ていくとそういうシチュエーションが起こっちゃうんです。それは結構自分では新鮮ですね。

そうですね。僕もそう思います。
僕は若い頃から移動しながら考えようってタイプの人で、特に飛行機の中っていうのは自分が国境を跨いでいたり、日本を離れて根がなくなって空中に浮いている時って、ものすごくアナーキーになったりする印象があるので、大切な事は地球から浮いているときに考えて、そこで結論付けちゃおうという感じがあるんですけど。
でも、いつもどこにいても、自分の、ある種の最近は遺伝子みたいなものは「どうかなー、どういうことなのかな」って時々考えるんですよね。

そうですね。
あと実際にさっき1時間圏っておっしゃってたけど、その1時間の中に相当いろんなものがつまっていますよね。
そうは言っても面出さんもそこだけに留まっている訳にいかない。もっといろんな所に行くと、僕なんかはそうなんですけど、モノの見え方がすごく変わる実感はあります。
ベトナムに行って、カタログも何もない所で照明器具を選んでいる時に、そこではカタールのファサードなんて考えていないんですよ。
必死になって熱いところを歩いて、いい加減お店が見つからないと、まだ歩くのかみたいな、そんな事考えながらやっているんですけど、そういう事をやって、夜ビールを飲んでっていう事の繰り返しが、すごく、いろんな事が必然的にできていないって感じをリアルに感じます。


そうですね。
多分ある意味で、そういうふうに出ていった事によって、僕達は随分何かを学習しながら、ワクワクしながらやっているんでしょうね。
あまりまとまりのある話ではないけれど、海外で日本人が活躍して、非常に日本人が元気だという、僕も伊東豊雄さんとよく飛行機で会うんですが、みんなが時間差みたいなものに対して、ものすごく積極的に動いている、高速に動いているって感じがいろんな所でするんですよ。
谷口吉生さんなんかは海外の施工の品質の悪さにはうんざりした、みたいな言い方をしているんだけど。僕は全然そう言うのはなくて、海外で、離れて出る事によって、たくさんの事を学習できているっていう楽しさは実感できますよね。

谷口さんの今の話は本当にそうなんだろうなって感じはしますけれど。工事現場の最後の方で4月くらいに行ったけれど、でも一般的にそんなひどい仕事じゃないですよね。
谷口さんにとっては、あれは許せない一線から落ちているんでしょうけどね。


品質のレベルが違うんでしょうね。

確かにそういう作り方もあるけれども、海外でいろんな事を予想して行っても、限界がありますよね。

そうですよね。

あるワークセッションでこういうふうに話を振っていこうとしても、誰が何を言い始めるか全然読めない。
あるいは全くこっちが知らないがために、積み上げていったはずのものが、入口のところで違う積み方をそこで考えないと進まなくなっちゃうとか。
そういうことがルーティンになるのも、結構ワクワクできる感じはしますね。


そうですね。多分僕も小嶋さんも、今日はあまり辛いことの語りはあまり出てこないけれども、実際は辛いこととか、一生懸命英語を喋るんだけど、なんか通じなかったり、分かっていても分からない振りされたりがきっとありますよね。

面出さんは相当ちゃんとやっている感じしますよ。
僕なんてワークセッションで一日10時間くらい拘束されて、真面目に聞こうという意思を持っているのは2時間くらいで、あとはノイズも入らないし携帯も鳴らないから、ずっとスケッチしてますよ
(笑)
そのためにそういうスタッフを捕まえたんだから...
でも、たまに小嶋がしゃべると、30人くらいのセッションでもみんなシーンとしますよ。
基本的にはプレゼンテーションには通訳つけたりしているから、いきなり英語で輪に入るとビックリするんですよね。
「あいつが喋るくらいだから余程何か重要なことなんじゃないか」とか...
片方ではマネージャー相手に何か、マネージャーがあまりにひどい事を考えているからあんな奴追い出したほうがいいってロンドンのアラップの会議室で壁引っ叩いて大阪弁で喧嘩したことある
(笑)
英語で言っていても大阪弁で言っていても、そういうのになってくると意味は同じで、オフィスと学校の区別つかないような奴にマネージャーさせていてカタールはいいもん作れんってそういう話。
でもそういうのも、事件の起こり方も日本ほど陰湿じゃないからいいかって思いますね。


そうですね。からっとしていますよね。

ほんとに、本気になって怒るから、持続できないような怒り方なんですよね(笑)

俺はそんなに小嶋さんが怒っているの見た事ないけど...

いや、そういう事ありますよ。
なんか消耗戦みたいな事をやっていると、ジワジワくるじゃないですか。
そうじゃなくて、明日の飛行機で帰る前にあいつをなんとかしなきゃいけないけど、どうやればいいんだっていう思考回路の怒り方ですから...