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Mariotトークセッション
 ■ TALK START

川床
みなさんこんばんは。
お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。
司会をさせていただきます、編集者の川床と申します。
よろしくお願いいたします。
今日は若いクリエイターお三方をお招きし、いろんなお話を伺おうということで、私のお隣から建築家の鄭 秀和さん、照明プランナーの安原正樹さん、音響空間デザイナーの辻 邦浩さんです。

先日顔合わせを兼ね、皆さんとお話をする機会がありました。お三方は、建築・インテリア・プロダクト/光/音と、ご専門の領域が違うのですが、お話していると、ある一つの「融合したクリエイティビティ」みたいなところにそれぞれの眼差しをもっておられ、また新しいクリエイティブの動き・組み合わせが出てきそうだという感じがすごくしました。

そこで今日は「融合」といいますか、「パートナーシップ」といいますか、そういったクリエイティブの新しい方向・形のお話を伺い、新しいデザインの風がこのお三方から吹いてくればと思っています。

まず最初に伺いたいのは、その「融合」といったあたりのところです。
実は顔合わせ後、皆さんへアンケートにご協力いただいており、今日はそのアンケートに沿って進めていきたいと思いますが、その中で、それぞれ違った言葉をキーワードとして使われておられました。
鄭さんが「インテグレーション」/安原さんが「フュージョン」/辻さんが「コラボレーション」という言葉を使われており、それぞれ単語の意味は違うのですが、方向性としては同じような方向に融合していく印象がしました。


特に、辻さんがある雑誌で、建築・インテリアが機能を象徴し、照明が表情を表現することに対し、音は気配感を表現するという、まさに今日いるお三方の立場を明解にお話されている言葉がありました。

まず辻さんから、建築・照明との立場の違いと目的の共有性、あるいは具体的なお仕事の中で、どういったコラボレーションが起こっていくのか、現状はどうなのかという点から始めていただきたいと思います。

 辻 邦浩 Collaboration

この3つの要素をまったく同一レベルで「融合」する形を私は目指しております。
従来の建築・インテリアというジャンルに、近年、照明デザインという要素が入り、やっと去年ぐらいから音響デザインの重要性が皆様方に認識され始めたのではないかと思っています。
潜在的に音の重要性はあったと思うのですが、やはりメディアですとか、その他のところで語られ始めた印象があり、私としても仕事が一気にスムーズになってきました。
そういう意味で、インテリア・建築が機能をもたらし、照明が表情をもたらし、私が担当する音響が「気配感」という部分を担当する。建築空間・インテリア空間が完全に融合し生命体化する一つの要素として、「音」を定着させていきたいと思っています。

川床
なるほど...
音響デザインと空間が同一レベルであるべきという事ですね。
逆に言えば、今まではそういったバランスが崩れていたわけですか?

そうですね。もちろんレストランにはBGMが要素として必ずあったわけなんですが、そこでの重要性、ある意味合いの認識度がどうしても、言葉は悪いですが、付けたし的な印象がありました。
やっぱりそういう意味では、最初の段階で音のコンセプトをどういう風にしていくのかと打合せをすることで、全然変わってくると思っています。


 鄭 秀和 Integration

川床
鄭さんの「インテグレーション」には2通りの意味があると思っていて、1つは鄭さんご自身に建築だったり、インテリアだったり、プロダクトだったりといろんなジャンルのお仕事があり、それが鄭さんのインテグレーションのメインの意味だと思います。
もう一つあるとすれば、今のコラボレーションの問題。
つまり建築家として鄭さんが、光のデザイナー・音のデザイナーとパートナーシップを組んでチームとしてのコラボレーションという2つの意味があるのではないかと思います。
その辺はいかがですか?

いわゆる20世紀初頭の建築家はプロダクトから全て統合してやっていたのに対し、私が学生だった頃はポストモダンが全盛でした。
建築家は建物、インテリアデザイナーはインテリア、プロダクトはプロダクトという形で職能として分業化されているのが当たり前の時代でした。
しかし、自分も一作り手の前に一人の生活者である場合、やっぱり身の回り全てデザインしたいという当たり前の欲求がありますので、自分としては分業化される前の建築家の姿みたいな所に、自分たちの会社をもっていきたいというのがあります。
しかし全て知っているわけではないので、プロジェクトをより強固なものにしていくということに目を向けますと、やっぱりコラボレーションという形は自然なのかと思います。
たまに、そこを戦略的にやっているのではと言われることがあるんですが、「皮膚」ですね、皮膚感覚として普通にやっている感じはあります。


 安原正樹 Fusion

川床
安原さんは「フュージョン」という言葉を使われていました。
さっきもちょっと楽屋で話したことなんですが、まさに、光がなければ物は見えないし、かといって物が光だけでは表現できない。そこでデザインと光がどう「フュージョン」を起こしていくかってことなんでしょうが、今のお二方の「インテグレーション」「コラボレーション」とは、ほんの少し違った意味合いがあるような気もします。
前にお会いした時、とにかく違う立場の人間がどこまで会話をするか、それが一番重要だということもおっしゃっていたんですが、まず、現状のコラボレーションへのご意見をお伺いできますか?

安原
基本的に僕らライティングプランナーってポジションの人間は、サブ的に入ることが多いわけですよね。
光だけで何かできるかっていったら、できないですね。
光って言うのは照らされるもの、照射されるものがあって表現される。例えばたまにスポットライトで空気中に白い筋が出てる。あれは空気中の塵であったり水蒸気というものが光をひろってああいう演出ができる。結局そういうものがあってはじめて照明というものは生きてくるんですよね。
どうしても僕らは主役にはなり得ない。けれども重要なポジションで重要なものを扱っているというが僕の思うところです。

コラボレーションの現状としては、去年の春からメーカーを出てフリーでやり始めているんですが、より初期の計画段階、インテリアデザインでいうと、単純な平面ラフレイアウトと簡単なイメージスケッチ・空間コンセプトがある程度出た段階で、打合せに入ることは増えてきましたね。
つまり、どう見せよう・どういう空間・どういう空気を作ろう、そういう部分からトーキングして、デザインの方に光を入れ込んでもらう・溶かしこんでいってもらう。
そういうトーキングっていうのはすごく大事で、それが当たり前になってきましたよね。

川床
なるほど。
それぞれ立場が違うんですけれども、空間をクリエイトするという共通テーマの中で、皆さんが今おっしゃったこと、その他、新しい試みもこれからされていかれると思います。
では話の方向を先に進めまして、空間デザイン全体を考えた時、人間の精神・感覚みたいなものに、空間そのものもそうですが光とか音が非常に重要な要素になっている。その組み合わせ方がどういう風にこれから変わっていくのかという話に少し移っていきたいと思います。
辻さん、さっきの「気配感」の問題をもう少しお話いただけますか。