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村角 さて、今までいろいろ写真を一緒に見てきたのですが、これから私たちはどういうあかりを考えていくべきなのかということを最後に話していきたいと思います。 鈴野 そうですね。遠藤照明さんで開催されたエキシビションで、建築家と照明家のコラボレーションで「くらしとあかり」をテーマに提案をしていくプロジェクトがあり、トラフは村角さんと第1回目を担当しました。 村角 一瞬のあかりというのをトラフさんは提案されたんですよね。 ![]() 鈴野 家に帰った瞬間のあかりに焦点を当てて考えました。 昼間、部屋の中に注がれる自然光が、蓄光シートを張ったテーブル面やいすの座面に落ちると、夜、帰ってきてドアを開けた瞬間、受けた光が緩やかに発光しているんです。 帰ってすぐにあかりをつけてしまうのではなく、昼間浴びていた光を受け取りながら闇の中で過ごす時間というのが少しあってもいいのではないかという、時を感じるような提案をしました。 村角 蓄光というと非常照明などに使われるようなイメージで、建築や家具に使って空間の中で提案していくツールとしては、実はなかなか想像しづらいところがあったのですが、実際に見てみると非常にさわやかで気持ちがいいなというのが意外な発見でしたね。 鈴野 テーブルを三つ並べて、村角さんに三つのテーマで照明を当ててもらいました。真上から当ててみたり、大きな植物を隣に置いて、葉の影をテーブルに落としたり。またペンライトで絵が描けたりする。 これは、物の位置を交換しても影がそのまま残るので、ろうそくとワインボトルで影の交換をしてみました。 何かすごく不思議な光景になるんです。 時計の秒針が時を刻んでいくのも影になります。 いつか消えてしまうので、はかない光というか、いとおしくなる光というか、いろいろ感じられる体験ができたなと思いました。 村角 まさに1秒1秒のあかりです。1秒の軌跡ですよね。 本当にこれも参加できて、いろいろな発見のあるあかりだったなと思います。 鈴野 タレルの作品ではないですが、自然を切り取ることで物が客観的に見えて、認識できて、再発見できる。 僕は闇というのは一つの自然だと思っています。 現代ではなかなか暗闇を感じられないと思います。 そういうとき、ただの真っ暗闇にいてもなかなかそれを客観的に見られないのですが、影を際立たせるというか、影という自然を際立たせる、闇という自然を引き立たせるものというのも一つの照明のあり方かなと思いました。 村角 今回ご覧いただいた写真を見ていても、暗い中でものが美しく思えるということは感じられたのではないかという気がします。 「くらしとあかり」というこのエキシビションを通しても、今まで持っていなかった時間を手に入れることができたなという、たった1秒の可能性がどれほど膨らんだろうということを考えると、本当に貴重なテーマをいただいたと思っています。
村角 ここで最後に、ダイアログ・イン・ザ・ダークというイベントのお話をしたいと思います。 鈴野 そうですね。偶然、2人で共通の体験をしていて、今回光についてと言ったときにお互いにダイアログ・イン・ザ・ダークでの体験が話題に出てきたので、最後にお話させてもらえたらと思います。 村角 これは、真っ暗闇、漆黒の闇の中を2時間ぐらい歩き回るというイベントです。 私たちだけでは迷ってしまうし、怖いし、動けないし、大変なことになってしまうので、盲目の方に案内してもらいます。 私が体験したときは旧赤坂小学校の中を2時間かけて動き回りました。 体育館に行ったり、外に出たり、井戸の水をさわったり、守衛室の中のお座敷に靴を脱いで上がり込んでジュースを飲んで、オレンジジュースだ、私はトマトジュースだと話をしたり。闇の中にいるとき、今まで持っていなかった感覚がすごく研ぎ澄まされるというのを、鈴野さんも私も、このダイアログ・イン・ザ・ダークを通じて非常にショッキングに感じることができたのです。 本当にいろいろなことを感じることができたなと思っています。 ですから、闇の中で感じるわずかな感覚というのでしょうか、そういったところに私たちの可能性をこれからも広げていければいいなと思います。 |
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