| HOME>トークセッション>MARIOT EVENT VOL.30 FUKUOKA P.1/2/3/4/5 |
ご質問者 福岡市内で、設計事務所をやっておるものです。 今日は非常に興味深いお話をありがとうございました。 一つ、二つお聞きしたいのですが、私は病院や住宅の設計をよくやるのですけれども、これまでずっと白熱が好きだったものですから、白熱球を使っていました。 しかし昨今、省エネや地球環境問題、コストの問題がありまして、電気代が高いという話があり、だんだんと蛍光灯を使うということになってきております。 初めは白色といいますか、昼光色しかなかったのですが、近ごろは電球色もあります。 電球色を白熱灯のかわりに使うのですが、色合いとしては同じように見えるのですが、私、視覚外とお聞きしたのですが、そういう性質として同じようなものであるのかどうかというところをお聞きしたいなと思っております。
もう一つ、私はよく病院の設計をしているんですけれども、とある方の本を読みましたら、青が何とか病に効くとか、赤が何とか病に効くとか、それらしく書いている書物がありました。 それが学術的な根拠があるものかどうか。 その2点をお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。 松下 私も聞きたいところです。 どちらの質問をどちらでお答えいただきますか。森田さん、よろしいですか。 森田 最初のご質問に対して。 最後にLEDの分光分布を見ていただいて、大きなピークが二つあったと思います。 青のところと、グリーンから黄色のところに二つのピークがあったと思います。 白熱灯の分光分布を同じようにとってみますと、波長の短いほうから長いほうへ、右上がりのこういうカーブでエネルギーが出ている。 圧倒的に長波長、赤っぽい光の波長のほうがたくさん出ていて、グリーン、青のあたりの波長は少ししか出ていない。 一方、電球色の蛍光灯を同じように分光分布をとってみますと、短波長から長波長にかけて三つとか五つのピークが出ています。 それは、蛍光灯の中にある蛍光物質の輝線の割合が、短波長側に比べて長波長側が多いので、トータルとして赤っぽい光に見えるというだけで、二つの分光分布は全く異なっているわけです。 分光分布だけ見ますと、白熱灯のほうが、今までお話しましたメラトニンや体温に与える影響はぐっと小さい。 ただし蛍光灯の中で比較しますと、高色温度の昼光色の蛍光灯に比べて電球色の蛍光灯のほうが青のあたりの波長の成分量が比較的少ないので、影響は小さいということです。 松下 ということは、白熱灯にはかなわないということですね。 森田 白熱灯のほうが影響を及ぼす波長の成分がずっと少ない。 その次に少ないのが電球色。蛍光灯はいろんな色温度があると思うんですけども、色温度が高くなるほど短波長側の成分量が相対的にふえていくので影響が大きくなると思います。 そして、体温やメラトニンに影響を与えることが望ましい時間帯と望ましくない時間帯があるということを踏まえて、種々の光源を使い分ける必要があるだろうと思っています。 いつどのような光をどの程度経験するのかということになると思います。 松下 先ほど私、三ついろんな光源のご説明をしましたけれども、適光適所だと思うんですね。 全く無くなるということはないと思います。 お休みになる前はやはり白熱灯は必要だと思いますし、電球型蛍光灯では出し切れない力もあるということではないかなと、今のお話から読み取りましたけれども。 森田 そうですね。 ![]() 松下 ありがとうございます。もう一つのご質問は。 安河内 難しいほうの質問で(笑) これは動物実験ですかね。恐らく人間じゃないんじゃないか。 少なくとも我々は文献上はそういうのは見たことがないですね。 そこまで言うには相当の根拠がないと言えないと思います。 ご質問者 アメリカのアンドリュー・ワイルという非常に有名な科学者で、医者といいますか、不思議な人なのですが、その方が、そういう部屋をつくったらしいんです。 赤っぽい部屋は何に効く部屋とか。 統合医学を率先されてやっている結構有名な方で、その方の本に書いてあって、これはそういう部屋をつくらんといかんかなと思ったものですから、私の小さい知識で申し上げました。 安河内 気をつけないといけないのは、見えるから、赤っぽい、青っぽいと言うんですね。 赤っぽいということに対しての印象から来る二次的な影響は、我々が言っている非視覚的な影響ではないですね。 赤っぽい光の非視覚的影響というのは、赤っぽいから何を感じるかということと全く関係なく、オリジナルに赤の光の影響が出てくるとか、青の光の影響が出てくるということで、青と見えるから出てくる影響じゃないということですね。 ですから恐らく今おっしゃっているのは、心理的な面というか、見えて感じるものと混在しているのではないかなという感じもしています。 松下 光だけではなく、色というのも影響しますね。例えば内装材だとか。 安河内 色に対する印象は文化によって全く違いますので、その辺は一概には言いにくくなる。非常に難しい。 だから、科学的な実験でも色の影響に関する文献といいますか、論文は非常に少なく、多い場合でも、言っていることがみんなばらばらであることが多いですね。 |
ご質問者 長崎から参りました。 非常に疑問に感じているというか、最近、変な事件がたくさん起きているのですが、昔はこんな事件はなかったなと思っているんですね。 いろいろ考えると、デジタルという部分が、人というか生き物に対してものすごく影響を与えているんじゃないか。 照明もそうなんですけれども、昔は、電力がない場合、照明はつかないわけで、電力会社から供給される電気自体もかなり不安定な電気が供給されていたと思うんです。 白熱球にしても、蛍光灯にしても、蛍光灯の器具自体も、アナログ化のコイルを巻いただけのもので、頻繁にちらつきもあったり、照度も変わった。 それは逆に言うと、太陽の下で育っている地球の生き物は、太陽自体が炎の星で、フレアもあり、黒点もあり、常にちらちら何かが動いている。 その不定期な動きの中、アナログ的な動きの中で生きている生き物が、あまりにもデジタル化されて、カチカチ、0か1かの世界の中で生きているものですから、みんなが狂ってきているような気がしてならないんです。 照明に関しても、このままデジタル化されていっていいものか、最近すごく疑問に思っているのですが、如何でしょうか?
松下 確かに、切れやすい子供だとか、そういったものが影響しているのではないかということがよく言われておりますね。 お二人は研究者ですから、お答えを求めるのは厳しいかもしれませんが、いかが思われますか。 安河内 おっしゃることはよくわかりますけれども、恐らく光だけの問題じゃないんだろうと思います。 私たちが今、感じないけれども余分な緊張があるということに注目しているというのはまさにそういうことで、余分な緊張というのは大きなストレスじゃないから別に病気になるわけでもないんです。 結局、そういった余分な緊張がいろんなところで気がつかないうちに積もっていくと、あるときちょっとしたストレスというか刺激でパニクッてしまうというか、そこの許容力が小さくなってしまうんじゃないか、そういうところは非常に問題として注目しているところです。 光だけではなく、今日は女性の方がいらっしゃいますが、例えばガードルとかブラジャーとか衣服圧がありますね。 あれ一つでも唾液の分泌が変わりますし、腸の運動も変わって、便秘の人はもっとひどくなるということがあるわけです。 家の中に観葉植物を置くだけですごくリラックス感があるし、生理的にもそういった現象は見られます。 先程も申しましたように、狩猟採集時代の環境になじんでいるのに、違う環境を自らつくってしまったということで、アナログかデジタルかという問題もありますけども、それだけではなくて、恐らくいろんな問題が混在してしまっているということだろうと思います。 ですから、これが原因というのを突きとめるのにはあまりにも多過ぎる問題があるということが今問題になっているのではないかと思います。 松下 本当にそうですね。 デジタル化した照明はすごく扱いやすいと思いますが、先ほどおっしゃられたように、白熱の優しい光だと私たちは何故かなごむとか、原因のわからない要素は、今日、お話を聞いて、視覚は83%を占めているけど、目に見えない脳でそれをキャッチしているということがよくわかったので、そういう意味では、照明デザインも、そういった目に見えないものから吸収するということをすごく重要に考えていく必要があるんだなと思いました。 森田 デジタルのオン・オフというのは、私の中でも消化し切れていないというか、答えが見つからないのですが、ある種の変化というか、変動が必要じゃないかと思っています。 朝から昼、昼から夕方、夜にかけて好む色も変わっていくということは、恐らく、自然な光の変化に人がある種の同調というのでしょうか、そういったものが培われてきて、それが反映しているのだろうと思います。 ですから、人工照明で朝から夜まで一定の光源の中、一定の光の中、一定の温度の中でということは決していいとは思えない。 ある種の変化・変動が、人の生活、あるいは人の健康とか快適に必要ではないかと思っています。 直接的なお答えになったかどうかわかりませんが、そのように思っています。 松下 私が先に答えてしまいまして、申し訳ありません。 ありがとうございました。 どうでしょうか。ご質問はございますか。 この後パーティーもあります。そこでまた足りないご質問を是非していただきたいと思います。 あっという間に時間が来てしまって、コーディネーターの能力不足が考えられますが、今日は、照明デザインということだけではなく、突っ込んだところで、私たちの生体リズムについて、どういうことが後ろに控えているのかずっと知りたかったものですから、お話をお聞きして一番楽しんだのは私かもしれません。どうも本当にありがとうございました。 今日のお話を聞きますと、皆さん、今日から真っ暗にして眠っていただいて、朝起きたら、カーテンをあけて朝日を浴びて、体内時計を戻して健康な体になることが一番最初のやるべきことなのかなと思います。 この厳しい時代でございますが、光の持つ影響は大変大きいということを、この短い時間でも少し感じ取っていただけたのではないかなと思います。 皆様方が設計なさる物件やプランの中に光環境のことを少し配慮しながら考えていただくだけでも、随分変わっていくような気がします。 その一助になればと思って、今日はこれで終了させていただきたいと思います。 どうも長時間ご拝聴ありがとうございました。 ぜひお二人に拍手をお願い致します。 (拍手) |
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