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Mariotトークセッション


澤田 皆さん、こんばんは。
右からインテリアデザイナーの伊豆さん、アーティストの近森さん、私が照明デザイナーの澤田です。よろしくお願いします。
(拍手)

今日はここ名古屋で、しかもルーセントタワー内の会場で、近森さんが手がけたルーセントアベニューという駅前からこちらのタワーに至るまでの290メートルの地下道をメインとしたお話になります。
そもそもここのルーセントタワー全体のアート計画というのがありまして、今日はそこから話題にしていきたいと思います。

伊豆さんはインテリアデザイナーですけれども、ルーセントタワーの事業主のコンサルタントとしてアート計画の最初の頃から関わっていらっしゃいました。
伊豆さん、早速アート計画の概要をよろしくお願いします。


 【ルーセントタワー アート計画】

伊豆 日建スペースデザインの伊豆と申します、よろしくお願いします。
この牛島プロジェクトは2007年の1月に竣工したのですけれども、かなり長い開発期間の、大事業でした。

私はインテリアデザインをやっていまして当然、牛島プロジェクトの内装とか家具とかそういったことを手がける予定だったのです。
しかし、アートを取り入れるという話が高まりまして、それはアートの予算があるから使うんだというのではなくて、全体の環境をよくするための整備部会といったものがつくられ、アートもその一端で取り入れていきたいという考えで計画が進みました。

42階建てのこのルーセントタワーは商業施設が地下と1階、2階にありますが、それ以外に外構、ランドスケープがかなり広いスペースをとっています。
アートもその外構とオフィスタワーの中、全体を含めまして7点の作品がございます。

作品の概要を順番に説明したいと思いますが、まず外の外構のアートで一番シンボル的なものとして五十嵐威暢さんの彫刻です。
これは夜見た形になりますが、鉄の板を曲げて筒にし、レーザーカットで切り抜いたものになっています。
中に照明が入っておりまして、夜はこういったシルエットの美しさが醸し出されるんですね。これは夜の外構との関係です。澤田さんの照明と、彫刻の関係がこれでよくわかると思います。

次に、これは先ほど申しましたように名古屋の駅からルーセントタワーにつながる地下道です。
その途中に階段、それからエレベーターがございまして、そこの上に光が落ちるような、屋根のガラス部分にカラーシートを構成したアートです。

それからこれはメインロビーですけれども、こちらのほうには左側と右側に、壁画と彫刻がございます。
彫刻のほうは多田美波研究所の、指輪のデザインをしたようなものです。
ステンレス製で、一番上のダイヤモンドは照明に当てられてきらきら光るような感じになっています。

それからこれは反対側、エレベーター側の壁画です。
これは実はアクリル絵の具を使っていまして、現場で制作されたものです。夜はとても印象的な感じになります。

これはオフィスのエントランスです。
ジャハンギールというイギリス人作家の作品です。
これは黒い壁の上にステンレスの板で構成をしています。
これは壁面全部を使っていますけれども、床と天井のほうにミラー効果を出して上下に映り込むような形にしており、インテリア空間とアートを非常に融合させたものになっています。

それから商業の入り口のところに、サンクンガーデンのようなスペースがございます。
床が光るようなパターンで、壁面のほうもブラックミラーを使って広がりを見せている。こういったアーキテクトのアートで夜は天井にも光が反射するような幻想的な形になっています。

そして、今日のメインであります地下道のアートです。
非常にダイナミックな空間になっておりますけれども、最初どういったアートにするかということでここが一番苦労したスペースです。

以上がルーセントタワーにあるアート作品の概要です。
そして今日は、その地下道のアートをやっていただいた近森さんをお招きしていますので、その計画に携わる話を聞かせていただけると思います。


澤田 ちょっとその前に、アート計画のいろいろ根本的な始まりのところあたりのことで聞きたいことがあります。
当然僕は知っているんだけれども人ごとのように聞いてしまいます。
ふだん寡黙な伊豆さんが寡黙な分だけものすごい量のメモをつくってくれていて僕の知らないことも書いてあったりするんです。
アート計画自体はプロポーザルでしたよね。
結果的に、それでこの全体のアート計画案が選ばれたんですけれども、この案のすぐれたところは何だったんですか?

伊豆 アートプロポーザルというのは5社のコンペ形式で決まったんですが、どういうものが選ばれたかといいますと、パブリックアートを意識して町を歩く人に非常に印象的なものを与えるもの、そういったものが評価になりました。

澤田 地下道は、5社すべてに条件として与えられた。だからその5社みんな地下道の提案があったんですね。

伊豆 そうですね、地下道の提案は何案かあったんですけれども、一番多いのはグラフィックの作品ですね。
基本的にグラフィックできれいな作品が多かったんですが、近森さんの作品は一番ユニークだったと思います。


澤田 どのあたりが? いわゆるやっていることは壁や床のグラフィックだったりするんですけれども。

伊豆 とにかく290メートルの長さがありますので非常に退屈するということで、どうしたら歩いていて人が楽しめるかがテーマだったんですけれども、一つは絵巻物とか絵本を開いていくようなイメージでできないものかということで話を進めました。

澤田 これ以上聞くとちょっとアートの内容になってしまいそうですが、その前にこれはいきなり最後の話になりますけれども、今回この現場の全体が完成して伊豆さんが感じたことが「アートが建築空間の中で生きている」と言われてたんですね。これはどういうことだったのでしょうか?

伊豆 実際アート計画をするときは余ったスペースにアートを置くとかそういったケースが多いんですが、今回は積極的に最初からどこに大体こんなようなものが欲しいという考えでプロポーザルの要項書をつくりました。

澤田 アートが、一番いいところにありますもんね。

伊豆 そうですね。インテリアと外部空間と両方どちらにも、そこにふさわしいといいますか希望するものをつくりたいということで計画してもらおうと思いました。

澤田 僕の経験からすると、とかく建築の中でアート計画とサイン計画は早くやればいいのに最後のほうに来るんですよ。
例えば照明をやっている僕なんかは屋外彫刻みたいなやつを照らさなければいけなくなったりするんだけれども、サインも最後のほうにやるものだから配管が行っていなくて照らせないとかよくあるんです。
そういういわゆる建築工事というものの中でこのアート計画は僕はちょっと違っていたと思うんですよね。
押せ押せになりましたが非常にうまくいった、照らしている僕から見ても困らなかった例なんですよね。
その辺について、いわゆる現場の進行とアート計画との関係みたいなことを説明して頂けませんか。


伊豆 実際アート計画で話が始まったのは、竣工の1年半ぐらい前です。
ですので、かなり時間を使って計画したということが言えると思います。
そういったことで工事上も支障がないように対処することができ、どこに作品が来ても大丈夫だということで、そういったハード面に対しても対応ができたのではと思っています。
それから組合の方と設計とたくさん勉強会をやりまして、パブリックアートを地方に見に行って、どういった問題があるかとか、どういったものに人気が出ているかということも確かめたりしました。


澤田 組合の方とは、つまりお施主さんたちですね。

伊豆 そうですね、事業主の方です。

澤田 東京にいらしたときは僕もご一緒したんですけれども、僕は照明デザイナーなんだけど昼は屋外を見てまわって、僕は出番がほとんどなかった感じだったんですけれどね。
いわゆる屋外の場合、都市部でこういうアート計画はあると思うんですけれども、昼のものなのか夜のものなのか。伊豆さんの中で、その重要度はどんな感じですか。


伊豆 昼の場合はどちらかというと家族とか子供とか、そういった層になるのではないかと思います。
夜は逆にサラリーマンが帰る時間とかそういった時間に少し目にとまるということもありますので、夜は照明効果を含めてアートを生かすといいますか、そういったことを考える必要があるのではないかなと思います。


澤田 では、そろそろ近森さんに地下道の説明にいってもらいましょうか。お願いします。