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Mariotトークセッション


富田:.ということで、急ぎ足で進めてきましたけれど、時間が迫ってきておりますので、少しまとめ段階に入らないといけません。これまででだいたい細かいことも含めてお話できたと思います。

実はこのJRタワーというのは、ちょっとおもしろい仕組があります。
我々が仕事をしている中で、施設というのは完成したら終わりというところがありますが、このプロジェクトでは、できた後もいろいろケアをしていくということがあります。
我々も半年に一回くらいいろいろな形で関わりを持っているのです。そのあたりについて、臼井さん、応援団のお話をしていただけますか?

臼井:実は私どもにはですね、JRタワー応援団というのがあります。
デザインなどは全く素人の私がJRタワーのプロジェクトをずっとやらせていただくなかで、デザインの世界だけでもいろんな方に関わっていただきました。

デザインというのは、グラフィック・プロダクト・ファッションデザイナー、富田さんのような照明デザイナーの方、それからあとは音ですね、サウンドデザインの方、環境デザインの方…とですね、本当にたくさんの方に参加していただきました。
もちろん建築家の方もいろんな分野でまたいろんな方にたくさん参加していただいています。
またアートワークでもいろんな方々に応援していただいています。

実はそういう方と3年間ずっと一緒に仕事をしてやってきたというのは、いろんな意味でのネットワークも出来ているということです。
このネットワークといいますか交流をそのまま完成して終わりにするのは大変もったいないのではないか。
二度とこういうことはありえないと思いますから、このJRタワーに参加していただいた方々を中心にJRタワー応援団というのを結成しました。

普通は、応援する側が応援団を作るのですが、応援してもらう側が応援団を作らせていただきました。
団長は、時計のデザインをして頂いた五十嵐威暢さんです。
滝川出身のデザイナーで、彫刻家。
それから副団長は安田侃さんです。
他にも流政之さんなど本当に色んな分野の大変有名な方もおられます。

富田さんや、小林さんのお話を聞かれてわかると思いますけれど、高い志をもってプロジェクトに取り組んでいただき、本当に私どもとしましても、貴重な体験になりました。
この体験をこれからも活かし続けたいと思いまして、応援団を作らせていただきました。ただ皆さん大変お忙しいものですから、全員が...というのは難しいのですけれど、それでも年に2回くらいはみんなで集まって、放談をしていただく。その中から何かキラッと光るものを拾い上げたい、というのは我々の悪巧みなのですが、そういうことも考えていまして。

3年目になりましたけれど、皆さんよく参加していただいているのじゃないかと思います。
ずっと札幌でやっていたのですが、今年初めて持ち出しをいたしまして、横浜のトリエンナーレを視察するということを含めて、横浜で開催させていただきました。
参加される団員の方が嫌でなければ、ずっと続けていきたいと願っております。

富田:そうですね。JRタワーに関しては、形の上ではもう竣工して完成しているものでありますが、プロジェクトは箱ができて終わりということではなくて、様々なソフトであるとか、ノウハウというものが積み重ねられてこそ、活性化していくのだと思っているわけです。

最後になりますが、新しいプロジェクトに関してちょっとお話をしていただき、その後、小林さんにも、公共と北の地区特性、地域特性などについて、少しお話していただけますか?

臼井:岩見沢駅の写真が出てきておりますが、私は駅にずっと取り組んできましたが、日本全国の駅を見ていても、戦後建てられた駅でデザイン的に物足りない駅が多いと通常言われています。



伝統的に駅の設計の建築デザインというのは、鉄道事業者とごく限られた、閉じられた世界の中で、ずっとやられてきたということがありまして、そのクオリティが高まらないということがありました。
この岩見沢の駅は、マンサード屋根の木造駅舎だったのですが、もう5年前に火災で焼失しましたので今回建て替えることにしました。
この間は、プレハブの仮設の駅でやっておりました。
前の市長さんに立派な駅前広場を作ってもらいましたので、それに呼応するような良い駅を作りたいということで、岩見沢の渡辺市長がおっしゃるものですから、それならば、JRの建築家にまかせていると決していいものにはならないので、従来のやり方をやめて、ぜひ日本の建築家の英知を集めてやったらどうですかという提案をしました。
それをぜひやろうということで今回オープンのコンペを行い、審査過程も公開しました。市民の注視の中で進めていったということです。


富田:コンペには、どのくらいの方が参加したのですか?

臼井:最初のノミネートは、全部で約1000件あったのですが、最終的には376点の方が応募されました。
これが最優秀を取られた西村さんという方の作品です。
これはパースですけれど、こういう駅になるのではないか思います。



やってみましてわかりましたのが、コンペというのは、審査委員会のあり方というのが大変重要だと思いました。
私は、みなとみらい線の馬車道駅を見まして大変感動しました。
それで設計者である内藤廣さんの東大の研究室を突然訪れまして、審査委員長をお願いしました。
そうしましたら、古谷先生や千葉先生がご一緒に参加していただいて、大変すばらしい審査委員会が構成できたと思っています。
たくさんの方にご参加いただき、世界をまたにかけて活躍されている、建築をやっている方ならすぐわかる著名な方も応募されておりましたけれど、ことごとく落選されまして、無名の38歳の西村さんという方が最優秀になりました。
大変すてきな駅になるのではと期待しております。

富田:やはり地域の活性化という意味で、駅の果たす役割は、非常に大きいだろうと思います。
デザインがその地域の風土性といったものとうまく絡みながら、若い力で成し遂げられていくというのは非常に魅力的ですね。
コンペというのはそういう意味であるわけですよね。


臼井:ええ、本当にコンペをやってみてよかったと思います。
ただコンペだけじゃなく、それをやったことにより、いろんな広がりが生まれてくることがよかったと思っています。

富田:そろそろ時間が参りましたが、小林さん、トイレって非常に公共的な空間で、使い方がいろいろ難しい、という話がありましたけれど、その辺のところをまとめていただけないでしょうか。

小林:はい。トイレをやっていておもしろいのは、一人一人の様子が見えてくるということがありますね。
中でどういうことをやっているのか、ということがわからないとできない。
また、街の中でたった一人になれる貴重な空間だと思っています。
作った後は、いろんな悪さをする人たちもいたりするわけです。

私達がトイレのデザインをやっていて特に感じるのは、作りっぱなしはよくないということです。
風当たりがすごく強いです。
あんなものを作ったからこうなるということも初期の頃はよく言われていました。

今回のJRタワーは、総合開発で駅ビルの近くの4社が一緒になっています。
みなさんご存知ないかもしれないですけれど、すごくいいなと思うのはですね、メンテナンス会議というのをやっていることです。
トイレが出来、そして3カ月に一回ずつトイレの掃除をしている女性達が、例えばいろんな部長さんや課長さんがおりますけれど、その駅ビルのトップの方まで含めて一堂に会して、そのトイレの使われ方や問題点を話し合っているのですね。
駅ビルというのは、一日に15〜16万人くらいがいらっしゃっているわけですから、そうすると一人一人が見えないわけです。
だけどトイレの清掃をしている人は一人一人が何をしている一番よく知っているのです。

例えば、こんな話をしていいかわかりませんが、過食症の人がたくさんものを食べてそしてトイレのあるブースだけ汚く、吐いてしまう。
そのような情報がトップまで伝わっていて、この駅ビルを使われている人の様子がそれで見えてくるといったことをしている。
毎日、十何万人も使われていると、本当に一人一人がわかっているようでわかっていない。
だからお掃除を通して把握しようとしていらっしゃるのだなということを感じて、すごく素晴らしいなと思っています。
トイレは、作りっぱなしではなく、お掃除をどういう風にしていくか、そしてトイレの掃除全体を関係者だけでなくみんなが見る。
そういうシステムがあるということが、大規模施設が健全に育っていく下地にあるような気がして私は素晴らしいと思っています。


富田:はい。どうもありがとうございました。

「プロジェクト」とは本当に様々な局面、様々な部分があって、それらが積み重なって、一つのプロジェクトになる。
まさにそのデザインのコミュニケーションなのだなとつくづく感じております。

今日は長時間ありがとうございました。


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