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| 富田:これからJRタワーについてお話させていただきますけれど、3名の人となりとかスタンスのようなものがお分かりいただけたかなと思います。 それでは、全体の計画も含めて、計画段階から誕生あたりまでを臼井さんの方で少しリードしていただけますか? ![]() 臼井:はい。 もう2006年の3月で、開業して丸3年になりますので皆様地元の方も、何回かはたぶん行っていただいていると思いますから、細かい説明は省略します。 先ほども申しましたように、この開発は連続立体交差事業という都市計画事業の中で、高架した線路跡地を開発する、それにあわせて周辺の土地を区画整備、基盤整備をしていくということなのです。 私どもはこのJRタワーは6代目の札幌駅と言っています。 駅のあり方というのをいろいろ考えたところ、ちょうど真ん中の部分を駅の表情にしようと考えました。 基本的には、ヒューマンスケールにすべきだろうということで、こういう7層の形になっております。 また、公共と違いまして民間企業でやっているために、事業としてはある程度床がないと投資額はなかなか回収できません。ということで、どうしても超高層が必要だと170メートルのタワーになっています。この超高層は駅機能と関係ないことから謙虚に一番奥に配置されております。 JRタワーの夜景ですけれども、駅機能として約24時間稼働をしていることから、夜の表情も非常に重要だろうということになりました。 こういう部分は、富田さんに色々お手伝いいただいて大変気に入っています。 このヒューマンスケールというのは、どのようなスケールかと考えると、駅前広場の端からそれほど見上げなくてもすんなり入ってくる高さ、大体6階〜7階にしています。 デザインは6代目の札幌駅ですけれども、かつての駅の記憶のようなものを継承したいということもありまして、札幌駅の明治41年にできた3代目の駅舎、民衆駅と言われた4代目の駅舎、なんとなくこれらのデザインを意識し出来上がっています。それから素材についてもいろいろ考えました。 一つは、北海道というと開拓の時代から、レンガが主要な素材として非常に使われてきたことより、今回もレンガを使うことにしました。 実際はレンガタイルです。また、駅にはどうしても時計が必要だと思いまして、象徴的な意味合いで五十嵐威暢さんのデザインの時計を設置しました。 駅開発でつくづく思いますのは駅には必ず駅前広場というのが付き物です。 ですから私どもが一番に考えましたのは、その駅前広場を囲む駅舎、それからその他のビルを含め全体の空間デザインの重要性です。 ただ通常駅前広場というのは、都市側で整備いたしますので、その辺がなかなか難しいのです。 しかし、札幌の駅前広場については、当時の札幌市の担当局長さんや、志の高い方に恵まれまして、大変よい駅前広場になったのだと思います。 特にこの駅前広場は人の為の広場ということで、このようなある意味何もない無駄な空間を確保することが出来ました。 例えばよさこいソーラン節ですとか、雪まつりの一部雪像なんかもこの広場で可能になりました。いわゆる市民に開放する広場ができたということですね。 また、ヨーロッパの都市広場の中で見られるような、その場に立つだけでなんとなく安堵感があるような、そういう広場と建物の関係を作りたいと思っておりました。 まだまだ課題はありますが、非常にレベルの高い広場になったのではないかと思っています。 さらに、駅とは内部の空間も非常に大事で、なんとなく昔から安心感や安全感のある場所というイメージで見ていただいているのは大変ありがたいことです。 そのように見ていただいている方が多いので、どのような空間作りをしたらよいか建築的に考えました。 そしてアートワークにも随分力を入れました。 アートワークはただ単に建物内に配置することではなく、その街との関わりを意識しました。 アートも都市の抱える市民生活や市民の営みとか色々と関わり合い、触発するというところから、新しい都市空間の可能性が生まれてくると感じました。 札幌の中心は南北の駅前通りです。 ですから都市の軸線、いわば背骨といえます。 これを意識してアート計画を組みました。 それから超高層タワーの展望室が私どもとしては、札幌市の都市計画上の眺望点という位置づけをしまして、それで様々なことを考えようといたしました。 次にステラプレイスの話になりますが、富田さんからありますか? ![]() 富田:ステラプレイスと大丸を挟んだコンコースになります。 このコンコースは、都市軸からエントランスを入ってコンコースを貫通していきます。 その人の動線をうまく導くために、単純に並んでいるダウンライトでも十分に示唆できます。 また、レンガ調のタイル等でも地域特性として引き出しながら、更に光が入ることによって、軸線を強調し都市軸との関連が見えてきているのかなと感じています。 ステラプレイス貫通部分では、賑わい感といった中でパブリックの光というものが導線になるようにしています。 ステラプレイスには、パブリック部分、商業部分、それからもう一つの要素としてシネマコンプレックスがあります。このシネマコンプレックスも大変な賑わいだと聞いたのですけれど、いかがですか? 臼井:はい、おかげさまで、あの六本木ヒルズと入場者数は競い合えるほどの盛況ぶりですね。 映画人口もスクリーンやビデオ、DVD等があり、かつての昭和33年頃がピークだった映画人口11億、今そのレベルがだんだん全国的に近づいていっているという全体的な傾向もありまして、盛況で大変毎日にぎわっていますね。 これは美唄出身の安田侃さんの白い大理石の彫刻『妙夢』といいます。 最近は待ち合わせの場所にもなったり、子どもたちがこの穴をくぐったり遊んだりしています。 市民生活と触れ合う彫刻を狙いましたから、そういう意味では今のところ狙い通りにいっていると思います。 先ほどの軸線(駅前通り)が『妙夢』の穴の中央を貫通しているというストーリーになっています。 ただアートをある建物の空間の中に置くというだけではつまらない。千歳空港に行きますと、佐藤忠良さんの彫刻にロープが張ってあって、商品の山の中に埋もれている。 そんなことはよくありますけれど、大変もったいないなと常々思っていました。そういうことで私どもは彫刻のある空間を利用して、自然に子ども達に遊んでもらって、ふれあうこともあると思いますが、意識的に月に一回コンサートをその空間で催していることで、市民生活とのふれあいがアートに生まれ、また新しい都市空間の可能性というものが生まれるのではないかと考え、札幌交響楽団の応援を得ながらずっと続けています。 それから建築的にも都市軸をきちんと受け止めようという思いがありまして、西側の吹き抜けのアトリウム空間を私ども建物ゲートという意味合いで、軸線を受け止めています。 富田:先代の札幌駅も都市軸を受けるような骨格になっていたのでしょうか? 臼井:残念ながら先代というのは5代目の札幌駅ですが、そういう意識は全くございませんでした。 現在は、都市の軸をきちんとこの建物で受け止めたいという意味でアイストップとなる計画をしました。 富田:ここに今かかっているサインはアートワークの範疇なのですか? 臼井:このサインは商業施設によくあるバナーです。 ここは大空間のアトリウムで、ステラプレイスという文字が入っています。 中にある商業施設の意味で販促という意味合いもあります。 実を言いますと、これにはたくさんの方の提案を受けました。 一つは短冊式のバナーをという提案でしたが、つまらないなと思っていました。 たまたまニューヨークのメトロポリタン美術館へ行った時に、壁面いっぱいにバナーが装飾されていて、すてきだなと思ったので、エルグの山岸さんのデザインでそれを真似てみました。 先ほど、都市軸と眺望点と申しました。 今、日本の都市計画の中では眺望点というものはなかなか定着しておりません。 けれども、是非僕は考えたいと思います。 これはタワー部分の建設期間中に初めて気が付いたのですけれど、高さが床面で168メートルありますが、この高さっていうのが札幌の街を見るには高からず低からず、本当に絶妙な高さだったのです。要は、藻岩山の上からでは札幌の街は遠すぎる、とにかく眺望点というのは、街の息づかい、街の鼓動が感じられる高さでないとダメですし、見晴らしも360度展望が効かなくてはいけない。ということで、ここはもう札幌の眺望点としては大変ふさわしい所だと思っております。 ですから、私はこの眺望点である展望室をもっと大事な空間にしたいと思っています。 例えばこの展望室から自分が住んでいる街を眺めていただいて、これまでの自分の人生を振り返るとか、むしろ自分自身と向き合う。 そういう時間を過ごす場所に是非したいということで、この展望室のインテリア、照明、サウンド等は意識をして整備を進めてきました。 トイレも後ほどご紹介があると思いますが、こういうことの一環で整備をしてまいりました。 ですから展望室にもアートというのを進めました。 これは先ほども紹介しました五十嵐威暢さんのレリーフですね。 信楽で焼きましたテラコッタですが、ここでも『妙夢』と同じようにただそこに設置するだけではつまらないということで、多くの市民の方がアートと触れ合える機会を出来るだけ作りたいということで、展覧会等もやっています。 だいたい、四半期に一度くらいレガルタゆかりの作家だとか都市と鉄道をテーマとしたこういう展覧会を続けています。 ![]() タワー建設期間中に気が付いたことがいくつかありました。 展望室の高さの良さに気が付いたことと、それから見下ろした時、札幌駅の屋根に排気口がついているので大変見苦しいことです。 ホテルの窓から見える景観っていうのは非常に重要だなと思っていたのですが、どうも駅の屋根が非常に見苦しい。 屋根をきちんと整備するということも実際考えていました。 しかし、これは私どもの若いスタッフの意見で、アートワークを施そうということになり、屋根の上にアートを施しています。 では、トイレは小林さんにバトンタッチして最高の眺望点にある男子トイレをちょっと詳しく説明して下さい。 |