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Mariotトークセッション


渡辺:キャナルコート東雲東京は、僕たちがLPAとやった最近のものです。
まだ出来たばかりなんですけれども、銀座のすぐ近くの地下鉄でいうと3駅くらいという所に東雲という地区がありまして、そこに約2000戸の集合住宅の街区が出来つつあるんですが、僕たちの街区が一番最後で、今まで伊東豊雄さん、山本理顕さん、隈研吾さん等の住棟ができています。

我々の建物はADHとワークステーションの高橋晶子さん・寛さんとの共同作品になります。420戸のかなり大規模な集合住宅です。
この建物の中でも何カ所か光と風を取り入れる穴が開いていまして、エアポケットと呼んでいますが、実際かなり風が抜けるんです。
こういうところで、やはりLPAの力を借りています。
民間のディベロッパーの賃貸集合住宅ですから、コストはかなり抑えられています。
このエアポケットに、光のシャフトを作ってもらうことで、このルーフテラス=エアポケットが、さりげないけれども非常に気持ちがいい場所になっています。
当初はこれだけじゃ暗いんじゃないかということがありましたけれども、これだけ明るければ十分で、これは隅田川がちょうど真正面ですから、東京湾の花火大会には最高の場所だろうと言われています。
それだけではなくて、真上から光が落ちてくる光のシャフトがあるんですが、この右下の写真は、それを見上げているところです。
これも非常にさりげないので、みなさんお気づきになるか分からないですが、天井にほとんど照明がない。
もちろん非常照明が必要なところは付いていますが、光はこの手すりから全部でています。集合住宅の廊下の光があふれているような感じです。

面出:普通、やっぱり蛍光灯が付いちゃいますからね。

渡辺:ねぇ、なんかね。そういうことが一切生じていないので、非常に、さわやかな感じがしますね。
実際歩いていても、自分の顔は照らされないで足元は明るい、という照明の必要な部分を全部やってくれているので、これも今までやられていなかったのが不思議なくらいです。住宅の廊下には今後もっと採用されるんじゃないかと期待しております。

LPAオリジナルなわけですがこれは3月15日に出来たばかりなので、はじめてお見せします。
結局、建築を作っているところでは、自然の光をどう入れるかということと、人工的な光の制御の仕方ですね、それがどんな建物でもかなりクリティカルだし、今後、もっと重要になってくるんじゃないかなと思います。
その辺はまた後でお話したいと思いますが、このあたりで、とりあえず僕のプレゼンテーションはおしまいにしたいと思います。

面出:どうもありがとうございます。
すごく時間が限られているので、全部ではなく、ぱーっと見せていただいたんですけれども、渡辺さんの仕事は建築を考えているときに、かなり早くから光どうしようかな、というのは気になる?


渡辺:なりますね。

面出:でしょうね。ですから、建築照明というのは、出来ちゃってから照明どこに付けようかって考えると、ちょっと遅すぎる。
そしてまず、自然光と建築家は戦いますよね。

渡辺:そうですね。まぁこの東雲の場合なんかは、自然光ということで言うと、例えば、バルコニーに何色かの色ガラスが使われているんですが、これなんかも当初は、透明ガラスだと中が見えてしまう。
かといって、どうしたらいいだろうという中で、東雲は都心部は都心部なんですがやはり東京の都心部といってもちょっと離れている。
そこで、いろいろアイディアを出したんですが、東雲ということで、雲とか空とか、そういうイメージのものはどうですかということを、ディベロッパー側が受け入れてくれたんです。


面出:それは、画期的ですよね。

渡辺:そうするとね次に、部屋によって、どんなふうになっちゃうかとみんな心配するわけですね。
いいイメージならいいけど悪いイメージだと困る。
このガラスは富山の方のガラス屋さんが作ってくれたんですけど、そこの工場に行って確認をして、最終的にOKだったんです。

面出:あのブルーは何種類ぐらい使っていますか?

渡辺:7種類あります。
全部1色にしても良かったんですが、そうすると住まいが均一な感じになるので、住戸平面が同じでもガラスの模様が違うだけで外の感じがだいぶ違う。やっぱり一人一人、住まい手が違うようになんらか違いがでると良いなということで結局、かなりランダムな配置で表現をしました。

面出:渡辺さんだけではないですけど、建築家というのはこういう建物を都市の中につくるときに、まず自然光はどういうふうに入ってくるかと戦うんですね。
ルイス・カーンなんていう人は光を非常に丁寧に作ってきた巨匠で、ルイス・カーンのいろんな言葉の中にでているんだけれども、やっぱり自然光をかなり気にしながらやっていて、最近になって、建築家は自然光だけじゃなくて人工の光をちゃんと使っていかないと惨めになっちゃうなっていうようになってきましたね。
東雲のガラスも昼と夜ではだいぶ違って、夜はあんまりブルーは見えないですよね?


渡辺:はい。

面出:中から暖かい光が、ぱーっときて、さっきのエアポケットみたいなところが、ぽっと浮いてくる。
そういう意味では、渡辺さんのものをずっと見ていて、建築家が光を設計の非常に大切な素材として早くから意識するとずいぶん出来上がってくるのが違うなというふうに感じました。

いろんなお話があるのでついでっていうのはなんだけど、僕の方のものをとりあえずお見せしていきたいと思います。

渡辺:是非。

面出:私は、いろいろとやっていますが、海外でやっているようなものや途中のものも入れてきたので、見てください。

LPAという会社は、渡辺さんが磯崎アトリエに入る前後ですが1990年に出来て、当時は6人で立ち上げたんですが、今は東京に19人/シンガポールの事務所に7人というとんでもなく大きな会社になっています。

この写真は少し前のものなので、左から2番目の方は泉さんといって、こちら福岡で活躍しています。
稲葉さんというのは、ずいぶん長くいて最近独立して、LPAから新しい照明デザイナーの人が旅立っているという、そんな感じです。
そして、5年ぐらい前に僕がレクチャーやってからいろんなことを頼まれるようになって、それでシンガポールに事務所を作りました。

これは、丹下健三さんの事務所がずいぶん前に作ったシンガポールインドアスタジアムというところの外構ですね。
このロフトというのは一番最初にモックウエアーという建築家に頼まれました。
シンガポールでは僕たちは高級コンドミニアムの仕事が多いのですが、あの人たちはその高級なコンドミニアムを建てるときに、照明デザイナーをアポイントしないとまずいと、いうことらしいですね。
The Teneriffeも違うコンドミニアムです。これは低層なもののクラスター開発です。
当然シンガポールですからプールがあったり緑があったりするので、そういうランドスケープをすごくうまく巧みに生かしながら、照明デザインをしています。

また、今年になってどんどん進行する一つに、MRTという地下駅があって、これの6駅を私たちが担当してやっていて、その中のいくつかの駅を非常にアバンギャルドな、ウーハーという若い建築家のグループとやっています。
supreme Courtも竣工間際で4月5月ぐらいには引き渡しをするという、ノーマン・フォスター事務所と一緒にやっている最高裁判所です。
こういう最高裁判所なんかの時というのは、ノーマン・フォスターの事務所がアポイントされ、インテリアとかランドスケープのデザインチームとして誰が加わるかという、そういうテンダーの中に私たちは招かれて、あ、このチームに任せようということになったんですね。
だから、ノーマン・フォスターがLPAとやろうと言ったわけではないらしい。

渡辺:なるほど、面白いね。

面出:うん、おもしろいですね。ただ、ノーマン・フォスターとは僕はその件でもお会いしたし、東京のセンチュリータワーのほうでも、フォスターの事務所とやってました。これはSingapore National Library、今もう全部立ち上がっていますが、ケン・ヤングですね。

渡辺:ケン・ヤングはマレーシアの代表的な建築家ですよね。

面出:もうね、大ボスですよね。

渡辺:面白い人ですよね。

面出:おもしろい。

渡辺:話出したら止まらない。

面出:ケン・ヤングは、マスタープランで、これもその後にインテリアなんかのデザインチームは誰がするかということの、いくつかの指名コンペみたいなところで、私たちは呼ばれました。

渡辺:おもしろい仕組みですね。

面出:そうですね。これはOne-north Master Planとありますが、ザハ・ハディッドという人が伊東豊雄さんと最後競り合って、シンガポールの一番メインとなるような、ブエナヴィスタサイエンスハブ(Bouena Vista Science Hub)という、新しい科学都市を作る時のマスタープランをとったというものです。チキショーと思って、伊東豊雄さんが負けちゃったんで俺たちに仕事がないと思っていたら、ザハとは前にちょっと一回会ったことがあったんだけどザッハから、LPAとやれないかという話が来て。

渡辺:なるほどね。いいですねぇ。照明はどちらからも仕事が来て。(笑)

面出:(笑)あんまりあきらめちゃいけないですよね。
コンペの段階で、照明デザイナーがアポイントされて、やる時もあるんですよ。
そうすると何社かで、負けたーと思ってがっかりしているとですね、違う人からお声がかかったり。
これはとてもおもしろいプロジェクトではあるんですけど、ザハ・ハディッドは非常に流線型のスカイラインをつくったりして、この中の確たるものをデザインしたいと思っていたんでしょうけれども、その役目にならなかったんです。


渡辺:マスタープランなんだ。

面出:シンガポール政府のやり方は、僕自信は批判されるべきだと思っています。
計画が進んでいくと、このザハのスカイラインは、ぜんぜん無視されてますね。

渡辺:そうですか。

面出:私たちは今、オーチャードとかブギスとかマリーナベイとかっていう、シンガポールのダウンタウンで一番大切な開発をしようとしている。
ところのマスタープランをやっているんですが、それは建築照明ではなく、街の中にどういう光のインフラストラクション、どういうルールを作っていったら、街が10年、20年でどんな風になるかということをやっています。

渡辺:播磨科学公園都市のアーバンデザインのもっと発展系みたいなものですね。

面出:そうですね。播磨と違う点としては、ここは観光客をたくさん呼んでくれとかいろんなことがあります。
シンガポールはご存じのようにブリティッシュコロニアルから始まっていますが、結局行ってみたら、北緯1度という完璧なトロピカルな場所で、いったいシンガポールと言われるところの街並みはどうあったらいいんだ、というところがロンドンと当然違うし、その辺に彼らが気づきだして、それまで彼らはフランスの照明デザイナーに依頼していたんですけれども、どういうわけだか僕たちに依頼してきた。
たぶん、アジアの一員だということで私たちのテイストを評価してくれたんだと思うんですね。

渡辺:いやー、僕ね、たぶんそうじゃなくて、単に面出さんがレベルが高かったんだと思いますよ。(笑)

面出:いやー、そうかな。

渡辺:僕タイに時々行く機会があるんですが、タイとバンコク、シンガポール近いですよね。

面出:近いですね。

渡辺:だから、非常にコミュニケーションが多い。クアラルンプールもそうですけど、KL・バンコク・シンガポールは隣町みたいなところがある、だから、口コミでいろんなことを聞いていて、LPAっていうのは?って、僕にタイの建築家が聞いてきますからね。
シンガポールの建築家は、LPAと共同していないとカッコがつかないみたいなことになっているんですよ。(笑)

面出:インターネットもあったり、いろいろと世界的な照明デザイナーの情報というのはぐるぐる回っているみたいですね。

渡辺:回ってますよね。

面出:僕たちLPAはホテルという分野に弱かったんです。
ホテルというのは照明デザイナーにとっては、結構仕事になるんですけどね。
これはタイのバンコクではないんですが、アマンやいろんなところのリゾートホテルをやっているケリー・ヒルという人に知り合って、ザ・チェディ・チェンマイというチェンマイにあと2ヶ月ぐらいでできるホテルを計画しています。

渡辺:デザイナーズホテルだね。かっこいいホテルですね。

面出:ケリー・ヒルというのは、非常に繊細な格子をずっとこだわってやっている人です。
今度はニューデリーにアマンが出来て、一緒にやってます。
あと、バンコクでいうと、商業のSiam Paragonという、これは東洋で一番大きなショッピングセンターの開発とか...

渡辺:これ、大きいやつですよね。

面出:インターコンチネンタルホテルがあったところを全部取り壊してますね。
ですから、大きな開発だということで模型を作ったりいろんなことをしてます。
カナダの建築家がアポイントされています。

これはプーケットですね。
被害がなかったですけども、バンヤンツリーというやつで、水に浮かぶような寝室があるんだけど、そこの光をこうしましょう、ああしましょうみたいなことやっています。これももう少しで出来る。