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Mariotトークセッション

遠藤:これは山の中で、テニスコートの計画がありました。
最初屋外テニスコートだったのを屋内テニスコートにしようということで、駐車場だとか必要なものを省いて9面のテニスコートを作ろうというプロジェクトです。
上手な人も、そうでない人もいるので、ある程度の空間のボリュームが必要だろうと考えました。
全体の大きさを、球が飛んでいく軌跡の中で考えられないだろうかということで設定をしたものです。
真ん中に三つあるのはトップライトで、人工的な光ではなくて自然の光で屋内のテニスコート空間を明るくしようと考えました。
テニスって屋内でやるよりは屋外でやるほうが楽しいに決まっているので、屋外でやっているようなイメージに少しでも近づけられないだろうかと。
それで非常に大きなトップライトの面を作って、雲がすっと通ったりすると影ができたり、明るくなったりと、少し空間が変化するような、そういう屋内テニスコートになればなということです。
この緑色の所は植栽をしています。
平たい屋上にだけ植物を植えて、「何か植物を植えています」という屋上緑化ではなくて、もっと積極的に建物と一体化する建材のように植物を使えないだろうかと思いました。
それで屋根面だけじゃなしに壁面にも植物、殆んど雑草です。
綺麗にしようと思うといろいろ無理があるので、この場所にあった雑草を壁・屋根に植えていこう。北面はやっぱり枯れてしまいますから、環境の厳しいトップの所と北面はやめて、東・南・西側の植生の、比較的条件のよい所だけを残しました。
内部はトップライトが3カ所あって、そこから直射日光が入ると影が出てしまうので乳白フィルムを貼って、柔らかな光を入れようとしています。
屋内ではありますが屋外的要素として、自然光を取り入れて屋外的な空間にできないだろうかと計画したものです。
これは先月10月に着工したところで、2007年に竣工します。
運動場みたいなものですからテニスコート以外は何もない。まさに光・音。
人工光はあまり使わずに光とどう取り組むかという原点に取り組んだものです。
これは森脇さんとのコラボレーションではないのですが、先程のコンペで今後、アートと建築あるいはライト・アートと建築という可能性を、少し探っていけたらなと思っています。


森脇:自然との無理のない融和というのですか、そういうところは非常に共感するものがありますね。

遠藤:やっぱり街路樹でもそうですけど、何か非常にコントロールしすぎている。ある程度、自然に任せる部分が欲しいですよね。

森脇:雑草というのがすごく良い。

遠藤:鳥の糞で違うものが生えてきたり、もちろん種も飛んでくる。そういう部分もさっきの重力の影響を受けることと同じで、そのへんに飛んでいる種の影響も受ける。そこが少し開放系だと思っています。

森脇:開放系であると同時に、非常に受け身系といいますかね、「あるがままに」というか、そういう思想がありそうですよね。

遠藤:そうですね。従来の建築というと、はね返すというのですかね。

森脇:ええ。「こうしなければいけない」とか、作り込んだものが出てくるわけですけど。

遠藤:あまり意識しているわけではないですけども、日本的風土というのですか、そういうところに可能性があるような気がしますね。

森脇:先程の「Lake Awareness」という作品、あの展覧会のタイトルが「日本の知覚展」というのです。

遠藤:日本の知覚。

森脇:日本の知覚って何だろうというのは、キューレーターである伊藤俊治さんが、「哲学を持っている・意思を持っている、意図を持っていなければいけない」というのが西洋のメンタリティだ。日本のメンタリティは違うだろうと。
もっと「あるがまま」に受け入れる中で、ものは作られていったのじゃないのか。
その観点から日本を紹介していこうと。
アジア的というか、日本的というか、そういうものを紹介していこうという展覧会なのです。
ですから私の作品も、何かを表現するのではなくて、反応する状態そのものを表現したいと、これは日本の知覚だよ、と。

遠藤:そうですね。古典に回帰するという意味ではなく、われわれのDNAの中に、すでにあるものなのだと思いますね。

森脇:ええ、たぶん。

遠藤:そこに新しい技術としての材料、例えば私の使っているコルゲートや森脇さんのLEDなどに通じると思うのですが、複数のものどうしの接点により変化を感じる。LEDも姿を変える。
そこらが僕の考えている建築と、森脇さんのアートワークの非常に近い接点の部分ではないかなと思います。


森脇:そうですね。

遠藤:具体的なものは、是非実現したいなと思います。

森脇:ええ、もう近いうちにね。

遠藤:今日、話を聴いていただいた皆さんに、どんなものができるのかというのを見てもらえるように...

森脇:がんばりましょう。(笑)

遠藤:がんばってやりたいと思います。何か話が、あっちへ行ったりこっちへ行ったりした部分もあったかもわかりませんが、どうも長時間、聴いていただきましてありがとうございました。

森脇:どうもありがとうございました。  (拍手)




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