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Mariotトークセッション

森脇:遠藤さん、最後にですね、「光をまとう」みたいな話をずいぶんしていますけれども、私、ずっと紅白歌合戦の小林幸子さんの電飾衣装というのをやっていまして...

遠藤:あれ、強烈に記憶に残っていますね。

森脇:こんなにまとめてご紹介する機会はあまりないと思うので、最後に是非見ていただきたい。

遠藤:そうですね。僕はこれを森脇さんがやられているとは本当にびっくりしました。

森脇:ええ。やはり豪華衣装の中で、電飾という部分は欠かせない!と言っていただくところまできました。
「光を身にまとう」ということは、僕にとっては非常に大きなエポックだった。
自分の作作の中で、やはり美術作品ですからオブジェとしてライト・アートをやっていたわけですが、モデルさんだとか、小林幸子さんだとかが、私の作ったものを着て歩いてくれるのですね。


遠藤:動くということですね。

森脇:そうなんです。それによって僕の中での作作の考え方が180度変わりました。
「ああ、これでいいんだ、動いていいんだ、なくなっていいんだ」といった感じですね。相当変わりました。
それがインタラクティブなものを、もっと進めていこうということに繋がっています。
これはファッションの世界へ進出したわけですけれども、もっといろいろな建築の世界もですね。美術館・美術という中から、もっと外へ外へと出ていって、いろいろな人とコラボレーションをして、そこの中に光が入り込んでいく。まさにすき間に入り込んでいく、ではないですけど・・・
(笑)
そういう可能性を示すいいきっかけになりました。
これは最初に取り組んだ1992年の作品です。
ちょっと失敗をしまして、紅白の本番ではこんなに光らなかったのですよ。
国民的大失敗と呼ばれました。
(笑)
これはリベンジで、「夜も一生けんめい」という当時の番組です。


遠藤:電気容量が足りならなかったとか?

森脇:う〜ん、何だろう。コンピューターがちょっと調子悪かった。

遠藤:そうですか。

森脇:ただ当時、美川さんはまだ参戦していませんで、独壇場だったのです。
この後、本格的になっていったのです。これは96年の作品です。


遠藤:これ、伸びていきますよね。驚きましたよ、これは。(笑)

森脇:だいたい8m位あるわけです。

遠藤:早替わりというのもありますね。

森脇:演歌の間とこれがなんか合うんですよ。(笑)

遠藤:なるほど。

森脇:皆さんこれ、自然に思うでしょう。
でも脚立を立てないと、顔の所に行かないのですよ。お化粧直しする時に、脚立を立てて上に昇るんですね。


遠藤:何か普通に立っているような雰囲気がありますよね。

森脇:ええ。この辺ですから脚があるのは。

遠藤:20頭身ぐらいですよね。

森脇:これは調光する蛍光灯を後ろに仕込んでいます。
やはりさっきのニューマテリアルのお話がありまして、紅白は取材が多いものですから、スポーツ新聞とかたくさん取材がありました。
この次の年からですけれども、今年はどんな最新素材を使うのですかとか、どんな光るものを使うのですかというのを、随分聞かれました。
これは割とオーソドックスに、最後までこれでもかというぐらい後ろに扇が出てくる。これだって幅12mあります。


遠藤:点滅じゃなしに、この動くという要素がすごいですね。

森脇:はい。メカニックな部分と、それから光る部分と。
ただ通常これを舞台でやる時に役割分担で業界が分散してしまい、衣装の人と大道具さんが話もしないんですよ。
ところがそれではこういうのはできない。で、私と衣装デザイナーが一緒になって、電飾を仕込むためにはこんなデザインがいいとか、デザインの段階から全部関わっているのです。
そうしないと、後付けになるのですよ。


遠藤:ええ、そうですよね。

森脇:後付け感は全然ないと思います。全く組み込まれた状態でデザインされている。

遠藤:建築でもそうしないと、まさに「絵を飾る」とか「彫刻を置く」ということになってしまう。

森脇:ええ。建物ができたあとで、どうしようかという話になるのですね。

遠藤:人の感性を活性化させるような部分が、本来のアートの役割だと僕は思います。
まさに舞台から一緒に作っていくことで、それを変えていくことは可能なのですね。


森脇:そうですね。
これは98年、ポケモンの主題歌を歌ったことがありました。
この時は色彩という事を意識していましてね、光ファイバーを大量に使ったのです。
ただ、いろいろ苦労話がありまして、紅白では必ず「引き、アップ」「引き、アップ」というカメラワークをするのですが、アップの時に違う電飾が光っていても全然映ってくれない。
(笑)
もういろいろと、あの手この手と入れています。
この後ろで変化しているのも光ファイバーを編み込んで編み込んでというものです。
通常、光ファイバーといいますと、先端が光りますが、そうじゃなくて、これは新開発で、ファイバーの横の面が光るタイプがありましてそれを使いました。
ドイツの製品ですが、大量に輸入しました。
本人も光ファイバーを編み込んだ衣装を着ています。


遠藤:これは、実際に小林さんも着て何回かリハーサルするのですか?

森脇:はい、もうそれは何回もやっています。
これだけの大きさのものをリハーサルするスタジオというのが、東京でも3カ所ぐらいしかないのです。


遠藤:そうですか。

森脇:そこを押さえるのが、また大変で。

遠藤:すごくのびていますよね。(笑)

森脇:油圧式のポンプが入っています。
後ろから照明ライトを当てて、赤だとかいろいろな色にも染まっていますね。
後ろからの照明ライトと光ファイバー自体の色の変化を、組み合わせて使っています。
通常はこの辺で終わりかなと思うのですが、ここからまた始まるのです。
着ているものが、ぱかんと外れて....あれをどこへしまおうかというのは、ずいぶん悩みました。
(笑)

遠藤:すごいですねぇ

森脇:生まれていくという...これは怖いですよ。
何m上に昇ったのかな、5mぐらいを1本の鉄柱で昇っていくのですよね。
むちゃくちゃ怖いですよ。僕はとても上に行けませんでした。


遠藤:音楽をずっーと聴きながら、全体のイメージを膨らましていくのですか?

森脇:まあ、やりたい放題やっていましたけれども…あとで音楽を合わせるみたいな。(笑)

遠藤:でも、音楽のストーリーと合っていますよね。

森脇:ええ、最後に生まれ変わるんだ、みたいな感じですかね。

   以上でございます。

遠藤:なるほど。まだ時間は大丈夫でしょうか?
この辺で、ぱちぱちと拍手という感じではありますが、最後に、代表的な森脇さんの作品を見せてもらいました。
コンペの案はこの後、一生懸命アイデア作りをお願いしたいのですけど、何か最新の取り組みはありますか?

森脇:今ちょうど、これも終わったばかりですけれども舞台美術に取り組んでいます。
ダンスパフォーマンスの中で、ライト・オブジェということで、ずっと何年かやっているのですが、ちょっと原点回帰をしていまして、LEDを使わずに電球のぬくもりを...


遠藤:白熱球?

森脇:白熱球のぬくもりで、ちょっと変なことをやっているのです。
まだこれから公開するのですが...


遠藤:最新ですね。

森脇:電球ですけれども、普通、電球ってソケットが付いていますよね。
あれを剥いてしまったんですよ。メーカーさんが聞いたら、びっくり仰天でしょうね。


遠藤:螺旋形になっている?

森脇:はい。剥くとガラス玉みたいになります。
そこに直接はんだ付けをして光らせると、ガラス球がぽわんと光っているように見える。それをたくさん並べて、光る棺桶というのを作りました。


遠藤:これは明滅するのですか?

森脇:はい。最初は、ぽわ〜んとフィラメントだけが透明なあぶくみたいに、これ、あぶく状に見えますよね?
金属の部分が全然ないので、透明なあぶく状に見えると思います。
それの中心に、ぽわっと、ちょっとフィラメントがオレンジ色に付いている。これはガルシア・マルケスの『百年の孤独』という原案を元にした、ダンスパフォーマンスです。
棺桶に乗っかって出演者が死の旅立ちをするのですが、悲しくないのですね、もう最後はぴかぴかぴかっという状態のまんま棺桶に乗って去っていくと、そういうようなシーンです。


遠藤:これは、いつ見ることができますか?

森脇:東京公演がありまして、12月の7日から4日間。

遠藤:是非見てみたいですね。
これを見て思ったのですけど、僕は建築空間の中で、天井から壁へこれがびゅーっとあって、それが明滅したらすごく面白い空間になりそうだなと思います。

森脇:あともう一つ。一生懸命作っているのはこれですね。
光る人形というのが登場しまして、全身光る。
これを操り人形のようにパフォーマンスするのです。


遠藤:後ろで?

森脇:はい。操りながらやります。女性と男性が二人登場する。

遠藤:面白そうですね。これもどこかで、見られるのですか?

森脇:これも同じ舞台で登場します。

遠藤:なるほど。こういう作品を見ていると、非常にインスパイアされるというか、建築空間の中というだけではなくて、考え方そのものの中に非常に刺激的なものがありますね。

じゃ僕も、今年着工した所で、2007年に竣工するプロジェクトを最後にちょっとご紹介します。