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Mariotトークセッション

金田:はい、じゃあ僕のほうをお見せします。
これは、2008年にオープンするホテルのコンセプトを、たまたま直近だったのでお見せしたいと思います。
できた時点で、ああ、こんなホテルかと思っていただければいいんじゃないかと思って持ってきました。
全部英語で書いてあるのは、日本のお金なのですが、外資系のホテルで外国のインテリアデザイナーなので、英語で書かれています。
詳しく説明するとあまり時間がないのですが、これが一番最初のコンセプトです。次に僕らは、建築に近いことを提案しています。

東海林:これは、光のイメージ写真ですね。

金田:そうですね。イメージコラージュというやつですね。
パースの中に光を落とし込んでいっています。
どうにか建築的な部分というか非常にかたい部分を崩せないかというのがイメージの中に強くあったので、このような光のイメージを提案しています。

東海林:でもさ、これを見ていて一番最初に僕なんか気がつくのは、空がきれいな青じゃないですか。これって重要だよね。

金田:重要です。

東海林:ね、実は。いやあ、いい、かっこいい光ですねっていうふうにパッとこの絵で思うのは、背景がブルーモーメント。
青くなっていたりするという。これが真っ黒だったらだめだったかもしれない。

金田:そうですね。外で、なかなか真っ黒な世界ってないですからね。

次が、外と中とのコンセプトを同時にあらわしたものです。
これは、これをもってサラリーマンの施主の方がトップの方たちに説明するときにどんなイメージになるのか、建築のパースを見せられてもわからないときがあるんですね。
そういうこともあるだろうと思って、つくっています。
コンセプトって非常に難しくて、また、コラージュも非常に難しい。
例えば、どこからどこの部分を写真に貼ると、勘違いされないとか。

東海林:なるほどね。
光のイメージで貼ってるんだけど、「この家具いいじゃないか」とか「照明器具、いいね」という話になったり、違うほうに行ったりね。

金田:逆に「こんな空間じゃない」とかね。
だから、そのために、いかに抽象的にぼかすかというのが一つの方法ですよね。

東海林:ぼかしの技術ですね。

金田:そうですね。これは鳥瞰図から見た光のレイアウト。
これはエクステリアもインテリアも両方やっていますので、なかなか鳥瞰図でこうやって見ることはないんですけど、光がどういうふうに散らばっているか。

東海林:一番わかりやすい説明ですよね。

金田:ええ、そうですね。
それから、これがインテリアと外との関係を結んだコンセプトです。
ここで重要なことは、このエリアが非常にダークゾーンになっているということです。
つまり、よく言葉でグレアがない空間をつくりたいといっても、なかなか想像ができないんで、この空間に光をつくりたくないというイメージを説明するためにつくったものです。
建物の中から外に漏れる光がひとつの大きな照明プランだということが、ここで言っている中と外との関係の光です。

次がマテリアルに当たった照明のイメージです。これは単純に技法の話だったりします。

東海林:こういうの出るとホッとするね。同じだ、とか思って。

金田:これはある種のゲストルームのプランを絵にしています。
社内のディスカッションのためにつくっている資料です。
ここに光をつくりたいんだみたいなところをディスカッションしています。

東海林:わかりやすいね。

金田:そして、どこで操作するんだということも考えます。
ベッドに寝て、ここで操作しようよとかもディスカッションします。
そういうことも含めて、ホテルを熟知しながらやらなきゃいけないと思っています。

東海林:そうだね、細かいね。
建築の場合はビルオートメーションが勝手にシーンを呼び出してきたりするから、いちいちスイッチを押さなかったりするんですよね。

金田:そうですね。だから、一種のスイッチを押すという行動自体も、一つの照明デザインというか、その中のデザインとしての大きなポジショニングを含んでいると思います。

東海林:今のでちょっと思い出したけど、武石正宣さんというライティングデザイナーが、赤坂のレストランで、ひたすら調光のつまみをデザインしたという話があるんですよ。
それはお客さんがみずから変化させるのだけど、楽しく変化させるためのつまみをデザインしたというところに照明デザインがいったというのは、すごくいい話だなと思ったんだけどね。

金田:ただね、ホテルの場合には、年齢層がわからないわけですよ。
5歳の子供もいれば90歳のおじいさん、おばあさんもいるわけですよ。
それで一番押しやすいボタンは、照明は、というよりも「どこにつけるの」っていう機能性を先に考えないといけない。

東海林:それは、金田さんが90歳になり切って、うう、みたいな感じでやったりするの?
もしくは、だれかお年を召された方にやってもらったりするわけですか。

金田:それはね、ないんですが。

東海林:それはない(笑)

金田:一応そういうふうに、どこかで全員でコンセンサスを得ながらやってます。
スイッチでホテルに行って不憫を感じたことはないですか?
例えば、非常に機能性が高いですよと言いながら、スイッチの数だけが多い。
例えば奥さんと寝ているときに、奥さんが寝ちゃいましたと。
読書をしようと思ってスイッチをつけたら、全部明るくなりましたとか。
トイレだけつけたいんだけどな、と思っていたら全部が明るくなりました。
これは非常に不憫ですよね。

東海林:それは大きな問題だね。

金田:だけど、割とそういう部屋が多い。
そういった意味では、使っている人の感じでつくっていないということが非常によくわかりますよね。

話をもとのプレゼンテーションに戻します。

これがパースで、下絵をつくっている状態です。
これがパースに光を入れたところ。ちょっとデータが悪いので、今日、ここには持ってこなかったんですけれど、ここにシーンが入っているというイメージを、インテリアと一緒につくっていきます。
これで一応全員にコンセンサスが得られると、次にこういう図面になってくる。

東海林:これはいわゆる、照明器具の配置を描いたやつですね。

金田:そうです。この配置が終わると、こうやってワイヤリングが入ってくる。

東海林:これとこれが一つのスイッチ回路ですよというやつですね。

金田:そうですね。調光を入れたら、こういうふうになりますよというシーンを、パースにしたりして。
ただ、これでもつくってみなければわからない。
さっきの東海林さんじゃないけど、20年、25年近くやっていてもわからない。

東海林:あと何年くらいかかるんですかね(笑)。一生わかんないかな。
わかんないことは残るだろうね。

金田:そうですね。だから、東海林さんのところもそうかもしれないけど、実験をしないでやると失敗しますね。

東海林:そうそうそう。僕のところなんかも、手帳が埋まっていくのは、夜の予定からですね。
ほとんど日が暮れてからの現場に行っての照明実験ですね。

金田:そうですね。一度、LEDのプレゼンを、あるところの企業の社長さんがニューヨークから来られるというので、昼間にしかできなかったことがあるんですよ。通るはずがないですよね。

東海林:それは、外部でやったんですか?

金田:外部の照明。通るはずがない。

東海林:それは不可能だ。

金田:ずっと夜にしてくれというふうに言ってたんですけど。

東海林:僕もプレゼンテーションの時間というのは、できるだけ夕方にしてもらっているね。
まれに「次回は10時からやってください」と言われたときは、ほとんど断るね。

では、今度は私から説明したいと思います。
模型をつくりながら考えることが多いんですが、これは模型を使って、コーポラティブハウスのライティングのデザインを、ここに入られる組合の方にプレゼンテーションするために使った動画です。

金田:こういう動画はよく使われるんですか?

東海林:ええ。一般の方には難しいコンセプトじゃなくて、わかりやすく伝えるというのは必要ですね。

金田:これは全部、模型ですね。

東海林:模型です。本当にラフな模型なんですよ。
普通の建築のプランから壁を立ち上げたようなものです。
「建築がまとう光」とタイトルがついていますけれども、どのようにしてこの建築が、みんなの共有するマンションとして、コーポラティブハウスとして、シンボリックに共有できるかと。
ほんと、単純な模型ですね。20分の1くらいだったかな。
パタパタって数時間で組み上げて、光を入れて。

金田:これは音楽つきで?

東海林:毎回、音楽つきで。

金田:エンターティナーですよね。

東海林:「今の曲、よかったですね、何ですか」とか聞かれて...

金田:関係ねえだろ、みたいな(笑)

東海林:いやいや、大成功ですよ。
照明なんていうのは、たかが照明という見方もあるじゃないですか。
電気代はかかるし、省エネじゃないし、そんなのは要らないんじゃないのという向きもあるんだけれども、「ああ、やっぱりいいね、光は」というふうに思ってもらいたいわけですよね。
そうでないと、「やめよう」って言われちゃうし、その気持ちをとめるためにも、こういうプレゼンテーションというのは最近、多いですね。


金田:うちなんかより、全然進んでいますね。

東海林:でも、かなりアナログよ。CGとかじゃなくて。

金田:でも非常にわかりやすい。
コンシューマーの人に説明する内容というのは、僕らがプロのホテルの人に説明するよりは難しいのかもしれないですね。


東海林:すごい難しいですね。

金田:プロの人って、ある程度経験がありますからね。
住宅なんていうのは一番難しいマーケットだと思いますね。


東海林:照明って、いろいろテクニカルな説明をしたりすると難しいし、色温度だとか演色性だとか発光効率だとか、いろいろな言葉が出てくるんだけれども、そんなこと言われてもわからないですからね。
こんなふうに、なるべくわかりやすく進めなくちゃいけないなと思っています。
でも実は、住宅の照明の仕事というのは、意外と少ないんです。

金田:僕も少ないですね。

東海林:そうですよね。僕の友達でニューヨークでライティングデザイナーをやっている人は、ほとんどが高級なコンドミニアムの仕事ばかりやっています。

金田:僕の一応師匠でもあるティノ・クアンも、半分以上がレジデンス。
しかも個人名のレジデンスというもので、そういった意味では日本のマーケットというのは、どうなんですかね。

東海林:非常にハイエンドというか、2億円どころじゃなくてもっとお金をかけた住居は、やっぱり照明が必要なんですよね。
なぜかというと、例えばさっきカローラという車の話がありましたけれども、例えばロールスロイス。4000万くらいするじゃないですか。
ああいう車には、やっぱり革のシートが必要ですよ。
ビニールレザーというわけにいかないですよね。

金田:そうですね。

東海林:そういう感覚ですよね。
数億円もする、6億円かけた住宅にやっぱり蛍光灯というのはまずいんじゃないの、っていう感覚ですよね。

金田:そうですね。そういった意味では本当に、これから日本のマーケットがどこまで広がっていくかわからないですけど...

東海林:しかし、日本にそんなに高級な住宅がいっぱいあるというわけではなくて、我々庶民が暮らせるような空間では、やっぱり革のイスではなくて、ちょっと上質なものでいいんじゃないのという感覚ですよね。
しかし最近、カローラなんだけどオプションで革が選べますよみたいな、ライティングってそういう状況じゃないですかね、今。

金田:今、そうですね。

東海林:これからどんどんどんどん、オプションでも何でも革のイスになっていってほしいし、カローラでも標準で革のイスになっていって欲しいですね。

金田:そうですね。女性がシャネルやルイヴィトンを買うように、照明デザインにもお金かけてほしいなというふうに思いますよね。
男の人は車で外車を持ちたいなと思うように。

東海林:まあ、徐々に変わっていくでしょうね。
カローラだけど標準仕様にしましたと。スライドに戻りますね。

3年くらい前、非常に照明が大好きだという住宅のお施主さんがいまして、いきなりホームページを見て電話がかかってきたんですよ。
それでおもしろいものができたんですけど、これは非常にユニークなもので、光るバスタブなんです。これは一緒に開発しました。

バスタブの右側のほうから、シャワーヘッドが突っ込んであるんですけれども、ホースが2本ありまして、1本は光ファイバーのホースで光るシャワーというのをつくりました。
本当はこれは一体にしたかったんですけれども、それはちょっと難しかったので、シャワーヘッドの横に光のシャワーヘッドが並んでいて、バーッとシャワーを浴びるとその光がキラキラキラキラする。
これは癒されるということで盛り上がりまして、つくったやつです。

金田:なるほど。デモンストレーションは自分で?

東海林:自分でやりましたよ。
暗くして、バスルームのドアを半開きにして。これはいけるなと思ったね。

金田:結構、体も酷使してプレゼンテーションされていますね(笑)

東海林:そうそう(笑)
でも一緒に考えていくというのは面白いですよ。
それから、こちらのお宅はコンクリートでできたお家なんですけど、創意工夫はかなりされています。
3階建てなんですけれども、3階建てということは、1階から2階、2階から3階、階段が最低二つ必要なんですね。
それから2階から1階と、逆に別ルートでベッドルームへ降りる階段があって、合計三つあるので、階段はちょっと凝ってみようということで、ジョン・ポーソン風のライティングになっています。間接照明ですね。

金田:これは建築家からの依頼じゃなくて、個人からの依頼ですか?

東海林:そうです。
だから、こういうイメージ写真をいっぱい一緒に見まして、これがいいねと言ってつくっていっています。
青いLEDのインジケーターが1個、ポッと床に入っていますけれども、これも実際に点灯して。そういう一緒につくっていくという喜びを分かち合える人との仕事は非常に面白いですね。