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Mariotトークセッション

東海林:それから、これは大阪の夜景なんですけれども、ここにタワーがありますが、NTTドコモのタワーです。
これはすごくおもしろい形をしています。
構造設計のアラップ・ジャパンがデザインして、建築はNTTファシリティーズです。非常におもしろいタワーがあるぞというのを聞きつけまして、是非やりたいと。

金田:アラップの中には照明デザイン部門がありますよね。

東海林:うん、最近ね。
でも、この頃はまだ、日本にはその影響がなかったんですかね、きっと。
そしてもう一人、大橋諭さんという方と三者で進めました。
非常にユニークな構造ストラクチャーで美しいタワーなので、何とか、いわゆるライトアップをしたいなと。いわゆる普通の照らし上げるようなものではおもしろくないだろうということで、プロモーションビデオなんかつくって、プレゼンテーションをして仕事にしたというものです。
初めてですね。こうやって押しかけて仕事をもらったというのは。

金田:なかなか聞かないですよね。頼んで仕事をするっていうのは。

東海林:でも、非常におもしろかったですね。
今はなくなっちゃったんだけど、携帯電話のアンテナのところにプチッとつけると、電話をかけるとピコピコピコピコと点滅したユニットを売っていたじゃないですか。

金田:ああ、ありますね。いまだに売っていますよ。

東海林:1500円くらいで。今、売っていますか??

金田:ええ。

東海林:最近、携帯にアンテナがなくなっちゃったので。

金田:ああ、そうですね。

東海林:それで、携帯のアンテナですから、それを買ってきてたくさんつけたら勝手につくんじゃないかと。
しかもインタラクティブに、通信量に応じてピコピコやってくれるんじゃないかという考え方ですね。
そうすると、電力も要らないと。電磁波を拾って勝手に点滅するという、結構画期的な
(笑)

金田:実際にそうなんですか。

東海林:実際にはなかなか。ある輝度を出すにはそうはならないんですけれど、そういうイメージで、それを拡大してつくったというものです。
だから行くと、ピコピコピコピコいっているんです。

それから、これも今年の春先にできました秋葉原のUDXという、巨大なオフィスと商業施設のコンプレックスです。
最近、秋葉原はここ数年脚光を浴びています。
ここはインテリアとアウトドア、ランドスケープ・ライティングということで仕事をしました。
こういう空間というのは、普通に考えると、照明の役割としては夜間に明るくしなければいけないという、そういう役割を持っているじゃないですか。

金田:そうですね。

東海林:それで、失敗している事例が非常に多い。
要するに、明るくし過ぎちゃったということになっているような気がするんです。
僕はなるべく明るくしないというんですかね、丁寧に光の形式をつくっていくといこうと考えているものですから、基本的には数ルクスの世界です。
ただ、不安のないように、見た目の明るさをどう上手くつくるかというのが仕事かなと感じています。

金田:それが、大きく言って、僕なんかのクライアントと多少違うところですかね。
さっきのホテルにしろショップにしろ、オペレーションをしている人が客
(施主)としてリクエストをするわけです。
そうすると、その光の中にずっといるので、目が溶け込んじゃっていて、これよりは明るくしてくれと言われる。
ほかとの比較はあるんですかと、毎回説得しているような気がします。

東海林:でも同じですよ、やっぱり。言葉は難しいんですけれども、暗くするぞと言うとみんなびっくりしちゃいますので、快適な明るさ感をどういうふうにつくるかということです。
かなり現場で実験はしていますね。
本当に大丈夫なのかという、そういう心配を乗り越えてつくっていってます。
いろいろ見ていただいていますけれど、結構、僕の場合は間接照明が好きで、なるべく天井にはダウンライトのようなものはつけたくないんです。
天井というのは床なんかよりも反射率が高いじゃないですか。

金田:そうですね。

東海林:だから、そういったところに光を与えたほうが、有効な明るさ感が、気持ちよさができるんじゃないかなと思ってます。
これはエレベーターホールです。

金田:かっこいいですね。

東海林:うん、これはきれいですね。

金田:これは何を使っているんですか?

東海林:これは床に埋め込んであるのは、12V20Wのハロゲンランプです。
埋め込みの深さが10cmくらいで、これは特注でつくったものです。
しかし、ただアッパーライトにしてもだめで、これはエレベーターのシャフトのガラスに、白いドットのプリントされたグラデーションのシートを張っています。
光の効果というのは、光を出す側だけじゃできなくて、やはりそれを受ける素材が大切ですね。

金田:結構新しいかもしれないですね。

東海林:やはり一緒に考えていくというようなことが、僕の仕事じゃないかなと思います。
建築の仕事というのは、照明器具を選ぶというよりも建築の素材を考えていったり、それを建築の設計の方と一緒にやるのが楽しいという、そういうような仕事が多いですね。

金田:だからそういった意味では、建築家との相性というのも一つありますよね。

東海林:先ほど金田さんのも見せていただいて、例えばホテルのリノベーションのときにちょっとお聞きしましたけれど、十分にお金をかけてやるのかなというとそうでもなくて、ハードウエアである照明器具については、どれだけコストを抑えながら最大の効果を出すか、そういう期待がありますよね。

金田:それ、すごいいい言い方をしてもらっているんですけど、ほとんどのリクエストが、率直に言うとお金は10分の1。
だけど例えば東海林さんが八重洲でやったところにあるホテル、例えばフォーシーズンを見て、「お金は10分の1しかないけど、フォーシーズンをつくってくれ」と言われるわけですよ。

東海林:そういう言葉になるわけだ。

金田:それがほとんどクライアントの要求ですよ。
だから、それを実現するのがデザイナーの仕事でしょ、と言われて、ちょっとストレス感じるところがありますけどね。

東海林:だけど、それは「私に任せてくださいよ」みたいな、「は、は、は、は」という感じじゃないの。金田さんは。

金田:いや、やっぱり「お金出してください」って言いますよね、もうちょい(笑)

東海林:そうですよね、やっぱり。もうちょっと照明業界にお金を出してよと。

金田:ええ。そう思いますね。
だから、照明のとらえ方を車の買い方に例えると、カローラを買えるお金しかありませんと。だけど言ってることはみんな、ベンツなんですよね。
だから、そこら辺が非常に矛盾に感じて、まず最初にその意図を解きほぐす説明をしているような気がしますね。

東海林:なるほど。車にたとえて、ベンツというのは例えば、先ほどの2億円のマンションみたいな、ああいうライティング。

金田:ああいう空間という五つ星ホテルの好きな実例を出されて「できないですかね」って、はっきり「できません」と言いますけどね。
機能面だとか調光だとかスイッチパネル一つにしても、最近多いのが、マンダリンだとかを見てそういうふうに言われたりするんですが、なかなか難しいですよね。

それに比べて外資系の仕事はデザインについてはどこどこじゃなくて、求められるのはオリジナリティーなんです。正直言って、リスペクトされて仕事をしているという感じがするのは、外資系の仕事のほうが非常に高い。

東海林:大切にされているというわけですね。

金田:ええ。というか、デザインはできて当たり前みたいな感じで言われるので、そこら辺が失礼ながら日本側の施主のモチベーションだとかモラルだとか、そういうのも含めて違いますよね。
もし施主の方がこの中にいらしたら、ちょっと申し訳ないのですが...

東海林:海外の企業のお仕事でも、ライティングデザインというのが、金田さんに頼むとかっこよくできるだけじゃなくて、使い勝手だとかお店の運営上、非常に気の利いたものができるとか、一種のブランドイメージが光によってつくられるとか、そういう事がポイントですよね。

金田:ホテルって、衣食住あるわけですよね。
部屋も含めて、レストランもあり、宴会場もあり、パブリックエリアもあり、いろんなことがあるので、まずは僕なんかが聞いていくのは、オペレーションレベルの話ですね。
早い話が、五つ星にしたいのか、四つ星にしたいのか、三つ星にしたいのか。
ただ、ホテルの人たちは「うちはあくまで三つ星以上を目指している」くらいしか言わないんですよ。
だけど、オペレーションレベルがそこまでいっているかというと、難しくて...。
日本の企業のホテルも、非常にレベルが高いホテルもあります。
ただ、規模が大きいからいいホテルとは言えないわけですよね。
そういった意味ではいろいろな要求も、僕らが把握した上でレベルを変えないといけない。
例えば2万円の部屋と10万円の部屋を同じ考え方でプランしていると、それは破綻すると思うんですね。
そういった意味で一個一個を気をつけているつもりはあるんですけど。

東海林:ところで、少し話が変わってしまいますけど、プレゼンテーションというのは、大体どんなふうにやっているのか、実例を見せていただけませんか?