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Mariotトークセッション

中島:そうですね。
ここの照明ですが、間接照明だけでは当然その照度は維持できませんし、局部的な光ということで、ヴォールト天井ですから、天井にあんまり穴あけて埋め込むというのはみっともないので、手法としては、ヨーロッパのロフト建築とか、屋根裏部屋なんかでよく使うワイヤー給電システムを使いました。
ワイヤーに12ボルトの電気を流して、12ボルト用ランプをつけている。
これは適当に家具の配置に合わせて光をある程度調節することができますので、このような照明を提案させていただいています。

佐川さんの建築というのは、さっき言った無垢材、要するに木を多用するというところで、私たちは木のぬくもりというか、そういった建築あるいはインテリアをより効果的に表現しようとすると、光源的には電球、もしくは蛍光灯電球色というような選択になります。
電球が一番いいです。


電球が一番いいというのはなぜいいかというと、これは自然光と同じスペクトルです。
太陽の光はプリズムで屈折させると虹が出ますけど、赤から紫までその光を連続的に持っている、連続スペクトルです。これは何十万年か何百万年か知らないですけど、我々はそういう連続スペクトルの光のもとで進化してきたわけです。ですからその光が体にしみ込んでいるわけです。

ところが、蛍光灯が現われて、このスペクトルが乱れてしまったんです。
これは蛍光灯電球色のスペクトルですが、スペクトルの連続性に欠けます。
赤とオレンジと緑と青。
それに紫外線に近い波長がちょっと入っていますけど、紫外線が出ています。

こういうスペクトルは今まで人類が体感したことのない光なんですね。
私たちは光のスペクトルの影響というのを、非常に軽んじている部分があると思います。
蛍光灯で明るくて経済的であれば、それは非常にいい光じゃないかというふうに言われて、それを多用してきた背景が今でもあると思うんですけど、実際欧米では、高照度だとこの光は危険だという学者もいるようです。彼らは白人系の人です。
白人系の人たちというのは肌が白いので、光に対して敏感な肌なせいでしょう。
私たち日本人は白人に比べれば肌の色というか、皮膚の抵抗力が強いですから、そういう意味で心配しないでいいと思うんですけど、話はそれに関しますが、白人系の人は、いわゆる日光の光、紫外線で皮膚ガンになりやすいことで恐れているのではないでしょうか。ですから人工の光に対してもすごく敏感で、積極的に蛍光灯を使いたがらないように思われます。

私たちは短時間で紫外線を含む蛍光灯の影響を受けません。しかし長い時間をかけて高い照度を浴び続けると、例えばそれは100年かもしれない、200年かもしれない、後の世代の人々のDNAを傷つけるということを、一部の研究家が言っています。

蛍光灯電球色の光を無垢の木に当てて反射させてみるとどうなるかというと、はっきり言ってスペクトルは大きく変わらないですけど、青系の紫外線寄りの光がほとんど木に吸収されています。
我々日本人でも蛍光灯過敏症の人もおり、だんだんこの過敏症がふえていくというような傾向になってきています。少なくとも蛍光灯はダイレクトで浴びるよりは、インダイレクトで浴びることが望ましく、直接光は白熱灯、もしくはそれにかわる光源で照明するとよいです。

LEDというのは、実はこのスペクトルがすごくきれいなんです。さっき私はLEDはあまりなじまない光だと言いましたけど、LEDの電球色と白色はすごく滑らかな、本当に太陽光、自然光に近い連続スペクトルを持っているんです。
それに対して昼白色の蛍光灯は線スペクトルで、それと連続スペクトルと両方あるんですけど、電球色は連続スペクトルが少なくて、線スペクトルが目立つので、ある意味、蛍光灯の中でも白色に比べると電球色はよくない。よくないんだけど、インダイレクトに使っていくことによって、特に体に悪い部分の短波長域を吸収させてしまう、電球色をこれから使うときにそういう考えでもって選ばれたらいいんじゃないかなという気がします。

これはちょっとアナログ的な分光器で写真で撮っていますのでぼけていますが、きちんと写真で撮ると、はっきりわかります。
どの波長が吸収されてどうなるかすごくわかるんですね。
たまたまこの分光器を買って、それをいろんな素材に当ててみて感じたものですから、もし電球色を使うんだったら、できるだけ間接照明で使いたいと思っています。あるいは人に当たらない壁寄りに寄せて、ダウンライトも壁寄りに配灯する。

今、電球は私に直接当たっていますけど、この電球の光はとても自然光と同じように滑らかです。
連続スペクトルは、体に何の問題もないです。ろうそくの光と同じです。
蛍光灯の光というのは、まだ人体に影響があるなんてだれも思ってもないし、日本の研究家は絶対そういうことは言わないですけど。
これがもう少し時間がたったときにどういう問題が起こるか、その前に蛍光灯がなくなっちゃってLEDに変わっちゃうかもしれませんが、ちょっとどうなるかわかりませんけど、光色一つ選ぶにも、光源一つ選ぶにも、照明器具一つ選ぶにも、ちゃんとその適正があるわけです。
その適正を考えて適材適所というか、適光適所があるのです。


佐川:それは先ほど南側の斜面で育った木は南側、北側で育った木は北側、と同じです。

中島:なるほどね。
そういうふうに、同じ木でも南側で育ったやつは南側で使ったほうがいいよと。日本の建物は外材よりは、日本の木を使ったほうがいいということですよね。

佐川:当たり前ですね、そうです。

中島:それと同じように、私たちが適光適所と言っているのは、必要なところを明るくして、必要じゃないところを暗くしてという、その明るさのことではなく、いま言ったように光源の持っている特性や照明器具が持っている特性がありますから、その特性がその建築空間なり、そこで生活する人にとってどういう光源、どういう色が適正なのか、そういったことを考えて選んであげることが適光適所だと思うんですね。
ちょっと適光適所の意味を間違えてとらえている。
ただ明るさだけで非常に表面的過ぎちゃって、もっと本質的な部分を理解して、照明というものをもう一回考えて直していただければ、と思っています。

ちょうど時間になりましたので、私と佐川さんのトークセッションを終わりにします。

佐川:どうもありがとうございました。




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