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| 中島:今日は「医、食、住と光」というテーマで、私と佐川さんとのトークセッションを進めていきたいと思っております。 私は中島龍興と申します。 東京で照明デザインの研究所を設けておりまして、主に橋梁や、公園など屋外の照明を中心に設計しております。 最近は住宅とか店舗等もやらせていただいております。 フリーになって20年ほどたちます。 だんだん照明の仕事が内容的に濃くなりました。 私も実際にクライアントやオーナーさんと話していると、とても難しい問題も与えられて、四苦八苦しながら仕事を進めてきております。 佐川:佐川です、こんばんは。 私は毛綱毅曠という建築家のところでチーフをしていまして、当時は釧路の一連の建物をやっておりました。 1985年に建築学会賞をとりましたがその建物に関わっておりました。 今日、ごらんいただくのは、毛綱さんと多分全然違う反面教師みたいなところがあるかもしれません。 私は東北の非常に小さい村で緑豊かな環境で生まれ育ちまして、毛綱さんのところへ行って建築設計を学び、29歳のときに独立をしました。 ある程度コンクリート建築もやりながら、割と早くから木にこだわってまいりました。 一昨年でしょうか、後で出てきますけども小学校が林野庁長官賞という賞をもらい、最近は、いろいろ木関連であちこち呼ばれることが多いです。 そんな経歴を持っております。 ではまず、私の方からお話を進めてまいりたいと思います。 最初に住宅です。 家って何のためにつくるのかなといったときに、例えばトイレは公衆トイレに行けばいいんじゃないの、食事はファミリーレストランに行けばいいんじゃないの、そうそぎ落としていくと、当たり前ですが家は、団らんを中心とした収納はどうあるべきか、団らんを考えた廊下はどうあるべきか、団らんをどう持っていくかが大切になってきます。 結局トイレとか寝室とかは用途がはっきり決まっているんですが、意外と用途が決まっていないのが団らんで、これを非常にあいまいにしてきていました。 むしろそれを軸として何か考えていったらどうなのかなということを、よく考えてつくっております。 ![]() 東京の多摩川の1000坪ぐらい敷地があるところにある古い旧家です。 近くに多摩川が流れていましたので、素直に、その川の流れを屋根の形に反映してつくった、個人住宅であります。 ここに100年以上の建物が建っていたんですけども、その木を全部再利用しました。 床も一般的には皆さん真っすぐ張るとは思うのですけども、床に一枚一枚記号をつけて一度仮張りをし、それでもう一回施工して曲線をきちっとつくりました。 あとは梁に使っていたものをもう一回再利用して、玄関のわきに飾り柱をつくりました。最初に中島先生と一緒に仕事をやらせていただいた建物でもあります。 ![]() これは階段のところで、これも中島先生が非常に小さい照明をずっとこの間に取り入れてくれて、下から見るととってもきれいです。 これはたまたま現地に行くときに、古い木が投げてあったんですね。それも一つの出会いかなということで、それをもらって、使わせていただきました。台所ですが、熟年の方が生活する住宅なものですから、正面というよりもやや斜めで見るような、ちょっとオブラートに包んだ、そういう距離感を表現したいと思ってつくった作品です。 今日は医食住というテーマなので、老人ホームを持ってきました。半分は痴呆症の方、半分は健常者の方なので、どうしても建物内にいることが多いものですから、廊下を渡ってぐるぐる歩けるような、歩いていても楽しくなるようにしました。上がパンチングメタルで、空の雲の流れがわかるようになっております。あんまり暗くしないようにして、夜も歩けるように、そんな工夫をしました。 ![]() これは割と早い時期にグループホームをつくった建物です。 今は訪問診療が点数でいうと高いんですね。 7〜8年前で、大体月13回行って20万円ぐらいになるんですよね。 でもお医者さんというのは診に来いというぐらいで、なかなか訪問に出かけていかなかったんです。 そうじゃなくていま夫婦合わせて年金が13万だったら、13万で過ごせるような、そういう老人ホームをつくってみたいなということで、お医者さんと相談しながら、割と先駆的につくった老人グループホームというか、ケアホームです。スイッチプレートの色は白と黒があり、白のプレートは各部屋を消灯させ、外出の際黒いプレートを押せば全室消灯できるように二重の配線をしております。消し忘れを防ぐためです。 |
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![]() 宮城県古川市十日町という長さ360mの商店街の拡幅工事をした仕事です。 4.5mの歩道幅をとり、キュービクルを地下に埋めました。 大体キュービクルというのは、3階建ての建物が100m続いている街でないと採算が合わないんですけども、それを何とか東北電力にお願いをしました。 そして、110軒を一軒一軒回って全部説得し建物をセットバックしていただき、こういう歩道ができたという例です。 これが夜の明かりで、今までは上からの街路灯が多かったんですけども、下から植栽に光をあてています。 |
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これは岩手県盛岡近くのJR紫波中央駅の駅舎であります。これは真ん中の中央から見上げたところです。 木のラインは北緯、東経とかから数字を取り出し大きさを決めています。 またここは中心にあるので、地域の伝統文化的なものを表現できればいいのかなと思っております。あとはこの地域でとれた材料を全部使っております。 ウッドマイレージという言葉があります。 木を運ぶマイレージはなるべく短くという意味があります。 これはご存じの方もいると思うんですけども、日本では木材が大体年間1億1000万立米消費されるのに、国産材は20%しか使われていない、8割は輸入。 日本人が世界の2%の人口で、世界の34%の木材を使い、それの8割が外国から入ってくる。 ちょっと僕はおかしいんじゃないかなと思います。 食糧にしても、40%しか自給率がない。 これだけ先進国でありながら、67%の森林率を持ちながら、バランスが悪いというか、これを何とか地域材、国産材にもっと活用して、大工さんたちがもっと活発に、誇りのある仕事をつくれればなという思いがあって、できる限り国産材を使っています。 これは保育園です。 子供たちのベンチは1本物の杉の無垢材を使っています。 これは遊戯室ですが、200年の南部アカマツを8本使っております。 子供たちに生きていくときの力強さみたいなものを表現できればと思って、使いました。 ![]() これは小学校で工事監理をしました。 全部平屋で、当たり前のように山の南の斜面で育った木はその建物の南側に使って、北の斜面で育った木は建物の北側に使いました。 また60歳の大工さんと、30歳を2人1組にして、この小学校づくりを通じ技をつないでいく、そんなことを試みてみました。 玄関を入るとすぐに多目的ホールがあります。 一番奥のほうには畳があるんですけども、一番の人気スポットは意外とこの畳のコーナーです。登校拒否症があるんだったら、私は下校拒否症の学校をつくってみたいなと思いました。 今では先生がなかなか帰りたがらないそうです。 これは音楽室です。 音楽室はごらんのように全然窓がなくて、外の風景をとにかく見せないで集中していく、集中力を高めていく音楽のホールというか、教会というか、そんな雰囲気にしたいと考えました。 教育に宗教観を持ち込むと大変ですが、むしろこういう音楽ホールで、いい意味の宗教観みたいなものがかもしだせたらよいのかなと思います。 床は全部地元の南部アカマツの2.5センチ無垢板を使っています。 子供たちに「目線の温暖化」みたいなものを与えられればと思います。 机も1年生から6年生まで使って、6年間終わったときには傷と一緒に持っていってもらう、そういう考え方で机も全部地元のアカマツと杉の木を使ってあります。 中島:ありがとうございました。 それでは私のほうからも、「医、食、住と光」というテーマに関係するような現場の実例を持ってきましたので、その説明をしていきたいと思います。 |