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Mariotトークセッション

東宮:今年1月に本を出しまして...照明デザイナーが書いた照明の本ということで、ちょっとその辺をさらっとご説明したいと思います。

人と光の関係ということで、自然光というのがありますよね。
自然光があることによって、太古の昔に海の中から地上に上がったときから、人間は太陽の光をお手本として、明るさを求めて、いろいろ今の人間の形になっているというようなことが、我々の中に遺伝子の中で受け継がれていて、ということから始まらないとライティングの話はできないと...


内原:すごいね。これはぜひ買ってください、本当に。

東宮:律儀な私は思っております(笑)
そういうことから始まって、人が物を見るために利用している周波数を持つ可視光線というものがあるねと。
それはもう、387ナノメートルから787ナノメートル(という)本当にわずかな波長の部分で我々はいろいろな物を見て、いろいろな人とコミュニケーションをとって、いろいろな夢を描いて。
私たち....今日、お集まりの方々のように、私も内原さんも含めて、何かクリエイティブなことをしていこうとしている方々は、その視覚から入ってくる情報がもととなって、いろいろな夢を描いた人生を過ごしているんじゃないかというようなことから始まっています。
目というのは何だとか、人が物を見るそのダイナミックレンジ、暗さから明るさ……


内原:これはわかりやすいですね。

東宮:10万ルクスよりも上には、もうまぶしいという闇の世界があって、この0.001ルクス以下はもう見えないという闇の世界があって。
我々はある、この切り取られた明るさの範囲が、人間の目のダイナミックレンジで、その中で明所視、薄明視、暗所視があるんですよねというようなことから順応の話もいろいろしていて。太陽だけではないですよね、月もありますよね、月は形も変わりますよね。
月だけじゃなくて星もありますよね。
太陽と地球、月と地球というのは同じ距離にあって、太陽の光を月が反射板になって、月夜の0.02ルクスという明るさが来ているんですよねなんていう話から始まっています。

そういう光を基本にして、人間は光源を大きく分けて4種類の光源を開発して、いろいろな色温度のものを我々は利用して生活をしている。
そのダイナミックレンジの中で、屋内屋外の照度がそれぞれありますね。
でも、ほぼこのくらいのレンジで我々は生活をしていますねというような、この明るさと色温度というのが……
光の世界、光って触れもしないし、だけど暗いところから明るいところまでのダイナミックレンジ、明るさ。それと色温度。色温度というのは光の波長も含めて。それを何か、縦軸と横軸でこう……
その世界が我々の見える光との関係というようなことを、よく説明をするんですね。


内原:なるほど。立体的であるということですね。

東宮:うん。つかめないけれども、そういうふうにして人間一人一人の感覚として、光をもっと具体的に……

内原:とらえるためのメジャーっていうか、尺度みたいな。

東宮:そう考えられるんじゃないかなということなんです。
でもまあ、その光というのはあくまでも入力でしかなくて、その入力がきっかけとなって一人一人の、生まれてから今までの間、もしくはそれ以前に蓄積された脳の情報と合致したときに、初めて感動したり、記憶の引き出しに残しておこうというくらい鳥肌が立ったりとか、いろいろなことがあって。
そういうことが、人間が目を開けている間は、目から入ってくる情報で行われているということだと思うんですね。
そういうことを考えてみると、光と空間と人の関係性が照明、ライティングデザインじゃないかなと。


内原:わかりやすいですね、これは。

東宮:それがきっかけとなって、新しい印象を受け入れる力っていうのかな。
人間の感性みたいなものがはぐくまれたらすてきなんじゃないでしょうかっていうようなことを、いろいろ書いています。
これだけいろいろあるわけですね。
物を見るための照明、物を見たときの印象、照明感と言います。

でも、その照明感っていうのは、グラデーションとコントラストが軸になると思うんですよ。
それは物のらしさと強さじゃないかなと考えておりまして。ちょっとここ、皆さん、ごらんになっていただけますか。
ジーッと。ある大きさの部屋にテーブルがあって、丸い玉があるかなって。
この点線でも何となく想像しますよね、人間って。
ここだけ見ててくださいね、皆さん。でも、照明が変わるだけで、この球の見え方がこんなに違うのよねと。
完全にシルエットだと、球なのかペラッとした面なのかわからなくなってくる。
でも、照明によってこんな。それが球体を面に見せてはいけないということはなくて。それもある一つの見え方だと。照明ってそういうことだと。
で、またあと、それだけじゃないんですね、まだ。全体、その光がここに当たってるんだけど、ここのものを反射したりとか、ここから拡散したりして、この辺にフワッというのが明るさ感という。
明るさ感というのはよく使いますが、明るさ感というのは、こんな感じのものですね。
何となくイメージでわかったような気になって、今日はお帰りになってください。

それは光を変化させるということで、これだけライティングデザインをいろいろ考えながらやっているわけです。
その明るさ感というのも両軸があると私は思うんですよ。
モジュレーションとスムースということで。それは何かというと、空間の中でそのものが「図」となるか「地」となるかということじゃないかなと。

これをちょっと見てください。
突き当たりの壁にこんなものがあります。
白いパネルの前に照明ついてるかな、みたいな。
ここに皆さん立ってます。
照明変えてみると、同じ部屋なのに、突き当たりの壁が白かったのに、何か木リブの壁に見えちゃってますよね。照明変えただけなんですよね。

「あ、じゃあ何?」って言うと、そうか、奥についてた照明と手前についてた照明を切り替えたんだ……。
これは私たちの前にあるダウンライトをポトンとつけたんですね。
そうすると、私たちの後ろに木の壁があって。私たち透明人間だとして、それが映っている。ここに透明のガラスがあったんですね。
そのガラスに映っている様子。虚像ですよね。これは実像。


照明によってこれだけ違う。こういうふうに見えちゃう。
それは、自分の家だったら当然わかっていることだけど。
でも、こう「見えてる」ということを考えないといけないと思います。
これは光の一番重要な性格で、光は直進する。もう真っすぐなんですよね。
とにかく進む。進むから、物に当たって反射もするし、物に入り込んで、ここでは空気とガラスの屈折率が違うから曲がるし、向こう側にストンと出ると。
反射もするし屈折もするし透過もするということですね。


さっきのガラスは、ここの面で反射しているから虚像が見えていた。
じゃあ、これが反射材じゃなくて、拡散反射材だったとしたら...
乳白ガラスとかすりガラスのようなものだったとしたら、ここで拡散反射して、向こうでも拡散反射するからさっきの二番町ガーデンみたいに、ガラスが白く見えているわけですよね。
乳白ガラスは白いと思っているのは、光が直進するという性格を持っているから、表から見ても裏から見ても白く見える、見えてるということなわけじゃないですか。

そういうふうにライティングデザイナー的に考えてみると、我々が日常見ているこういう素材、空間を構成するような素材というのは、反射材か透過材に分けられてます。
白い壁に光を当てればこう見えるけれど、壁が木になるとこう見えて、壁の木のテクスチャーがこう変わると全然見え方が違ってくる。
ダウンライトだと光がこっちに広がって、この辺もフワッと明るいけれど、ウォールウォッシャーでこの壁だけ十分明るくしようとすると、当然、この辺の明るさ感が減って、漂う光が減ってこう見えると。
ここの辺に漂っているのが光じゃないかなと。
突き当たりの壁がミガキの石だったらこうだし。
これミガキかなと思って、何となくそう見ていただけるかなと思うんです。
それは、ここにダウンライトが映っているからミガキだと思うんですよ、人間は。
人間の目ってそういうもので。
これ、フロストにすると、映ってないから、これはちょっとざらついた石だなと。
同じ明るさでも白いとこんなに明るく見えるし、同じ照明をつけているんだけど、表面の色や素材感によって見え方がこんなに違うしというようなことも。
当然ですよねと思っているけれども、現実は光ってこういうもんなんじゃないかなっていうことを、本では書いています。

日中、外が明るければ、お部屋のガラスには外が映り込むし、中から見ると外が気持ちよく見えて、「ああ、今日も天気がよくて気持ちいいね。外に出てちょっと空気でも吸おうか」という気分になる。
夜になると、お部屋の中に雰囲気のよい照明がついてしまうと外が見えなくなって、ガラスが反射材になって中が映ってしまう。
逆に外から見るとお部屋の中が見えていると。部屋の雰囲気がいいから照明をいろいろつけましょうとつけても、ただ必要な部分に照明感だけを考えてつけてしまうとこうなるけれども、本当のライティングっていうのは、この環境すべて、我々の想像つく範囲でイメージすることによって、ほどよいというか、バランスのよい明るさをつくっていくというのも、今後、地球のことを十分考えてエネルギーをむだに使わないとか、そういうことも関連していくと、ただ明るければいいというもんじゃないっていうのはこういうことなんじゃないかなと。
照明感と明るさ感というのが相まって、照明印象というのをつくるんですよねというような話です。

あまり長くなってもあれなので、内原さん。


内原:いやいや。もう、自分のことをすっかり忘れて聞き入っていましたけれどもね。出版社はどこでしたっけ?

東宮:オーム社です。

内原:全部で何ページ、何コンテンツなんでしたか...

東宮:140ページくらいですね。チャプターが6、7ですね。

内原:やっぱりこれだけ広いっていうか、本当にその辺、よく探されたなって。
我々仲間で、みんなで驚嘆をして、でき上がったときの本を見て感激をしましたけれども。
ライティングデザインっていう特殊技能のノウハウが書かれているだけではなくて、やはり光の大もとからたどっている。
なかなか踏み込まれてないですね。
実は、光が精神的にどういう影響を及ぼすかということの研究もまだまだこれからですし、我々も頑張ってやっていかなきゃいけないことでもあるんですけれども。そういう意味では大変興味深い本だと思います。


東宮:ありがとうございます。

内原:次、行きづらくてしょうがないですが(笑) 今日は東宮さんとめりはりが利くように話していきます。
過去のプロジェクトをザーッと流しながら参ります。
いろいろなコンセプトで、我々はプロジェクトの中でいろいろなことを盛り込もうと思ってはやりますけれど、デザインというのは、たくさんの情報をほうり込もうと思っても意外と成功しないことも多い。
そういう意味では、やっていることの説明をする機会というのはなかなかないんですが、できるだけ言いわけにならないように頑張りたいと思います。