| HOME>トークセッション>MARIOT EVENT 2005autumn TOKYO P.1/2/3/4/5 |
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光井 |
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| 現在、工事が進んでおりますのは、南棟とA1、A2街区です。 それに伴って、ショッピングセンターもはいってきます。 それから二つの四角い建物が公益施設ということで、保育園ですとか老人施設がはいってまいります。それからA3街区になります。A3街区のまわりには、フィットネス・医療施設といったコミュニティー全体をささえる施設が入ってきます。 我々の仕事としましては、全体像をまず作り上げ、その全体像に従って、各街区の事業者が仕事を進めていきますので、彼らに対してデザインをきちんと提示させるということ。そしてそのデザインが共通の認識の中で一貫性をもって実現されているか、また、これはマスターガイドラインの中にはいっている図面なのですが、マスタープランに示されている色々なガイドラインを満たしているか、こういったことをチェックしております。 これをマスターアーキテクト業務という言い方をし、環境全体の演出を司るといいますか、コミュニティーとしてのまとまりをきちんと作っていくというのが、我々の仕事になっています。 実際には、こういった暫定的なもので模型を作り考え方を示しておく。そして、それらをみていただいて、個々の最大限の力を発揮していただく、ということがマスタープランの大事なポイントになります。 例えば、パリの街並を思い浮かべていただきますと、パリ計画で作られた今のパリは、軒線・壁面線が全て揃っている。 それから表面の材料はライムストーンでほとんどそろっています。 そしてまた、建物のファサードがボザール調のクラシック様式でできています。 しかし、よく見ると柱の形ですとか窓の形ですとか全部違っております。 これはもともとパリ計画をした時に大きなガイドラインを決めながらも、全体的には一人一人、違ったアーキテクトに発注依頼をしてデザインしていることから多様性が生まれている訳です。 それと同じような考え方で、私どもがまず大きな全体のガイドラインを作り、その上で個々のデザイナーに具体的な設計をしていただき、それに対して一つづそれぞれコメントをしていくというプロセスをやっていきます。 最低限のガイドラインを作ったうえでデザイン協議会というのを立ち上げ、その中でひとつひとつレビューをしていきます。 今でも、協議会でそこに出てくるデザインに対してコメントを与えていきます。 私一人で決める訳ではないですから、事業主みなさんで話をしていただき、方向性が決まったらみんなで賛成して前に進んでいく、というまちづくりのひとつのプロトタイプを示していると思います。 東京は、ウォーターフロント・銀座地区・築地、汐留や品川の開発など再開発がいろんなところで進んでいく訳です。 それについて色々賛否両論ありますが、できるだけ多様性をもちながらも、バラバラな開発にならないように一貫性のある環境をどうやって作っていくかがマスターアキテクトの大きな役割になっていきます。 単純化する為に「デザインのモチーフを少しずつ変えなさい。色彩としてはアースカラーをベースにしなさい。」という基本線だけをきちんと我々は決めていきます。 それからまちの空間構成がかなり大事な役割になってきます。 それぞれの街区がある訳ですが、例えば、これはビスタラインと呼んでいます。 |
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| ビューコリドールということで、視線を海と海をつないで通しなさい、ということを示したものです。通った視線のエンドには、アイストップという少し膨らんだオープンスペースを作っておきなさいと言っております。 この中で一つの問題をとりあげますと、護岸の形を少し円弧状にふくらませようとしている訳ですが、そのためには東京都を説得する、区を説得する、事業者を説得する、それから誰がお金を出すかを決める、こういった手続きを何ヶ月もかけてふんでいきます。現実的には、既に工事が始まっておりますけれど、エンドの部分を膨らませるということは幸運にも実現することができました。 それひとつとっても非常に大きな労力がかかります。 日本でも国を美しくしたい、ということが法律ででておりますが、そういったことの一環として美しい街づくりのプロセスをできるだけスピーディーにしていくことがこれからの課題だと思います。 島の特徴をとりあげた時に、島の角の部分も非常に大事なポイントになってきます。 島の形をみた時に、場所の特殊性をきちんとみつけ、そしてその見つけた特殊性を生かした空間づくりをするということを大事にしています。 ここで水平に強い黄色い線がありますけれども、これもビスタラインなのですが、この中央に大きなプラタナスの巨木を植えております。実はこのプラタナスは、別の場所に自生していたものをここに移動したものなのですが、移動だけで費用が約1,700万円かかっております。 何十トンもある重い木ですから、ほんとはさっさと切って、新しいプラタナスを植えれば早いのですが、そうではなく島の歴史を70年間ずっとみてきたプラタナスをなんとか生かそうということで真ん中に植栽を植えております。 そしてこの植栽と水につながる軸をビスタラインときちんと定義づけをしまして、A1街区の方にラインを通すようにお願いをし、ショッピングセンターの形を変えるといったいろんな調整をいたしました。 それは個々の利益や機能的な問題よりも全体的な空間の質を上げることでコミュニティー全体がプラスになる、という考え方の上でなりたっていることになります。当初の計画通り、島の周囲は全てオープンスペースとして解放しております。 少しわかりやすくしておりますが、三棟に囲まれた真ん中に中央公園があります。 そこを通ってビスタラインのA街区が構成されています。 そして島の角がきちんと表現されている。 周囲のランドスケープに沿って、桜のスペースといったいろいろんな空間を作っております。それらにふさわしい照明計画について、夜の風景も非常に大事ですから、対岸から見たときの夜の風景を内原さんに作っていただいた、ということになります。 ![]() 南棟では、120度の特別な形をしておりますので、島全体のシンボルとしてふさわしいものをつくるということで具体的にはボリュームの端部にいろいろな特別なデザインを施すという提案しています。 内陸からは、橋を渡って島をぬけてまいりますので、そこにはきちんとゲートを作るといったこと。 真ん中のオープンスペースと海辺をつなぐビスタラインをきちんと作るといったこと。 この角から水がきちんと見える空間を作ろうといったこと。 そういうことを順番に表現していて、100枚くらいのガイドラインですが冊子としてまとめて関係者にお配りし、現在も協議会をすすめている訳です。 オープンスペースと歩行者導線のダイアグラムもあります。 それぞれの空間のイメージを、具体的には、ヨーロッパの写真などを主体的にしておりますが、こういったイメージでつくりましょう、というようにガイドラインとして提案をいたします。こういったガイドラインの中でそれぞれの街区にデザインをしていただき、我々が最終的にはチェックをいれていく、ということになっております。 ![]() ノードの部分のデザインは普通にやるとウォーターフロントの壁がまっすぐ通ってしまいます。 護岸の設計をされるのは土木の方であり、大変恐縮な言い方になりますが実は建築のことはあまり興味は無い、ということがあります。 とにかくきちんと国土が守られること、どんな台風でも絶対に壊れないこと、メンテナンスの車が通っても重量的に完全に大丈夫であること。こういった事が完全に満たされていれば、あとはどちらかというと最低限の仕上げ、ということになります。 それに対しまして、事業主とも相談し、やはり対岸からみた時のエッジの雰囲気は非常に大事である。パリのシテ島でも壁がよくみえるのですが、こういった壁に花崗岩を使ったり、ある程度テクスチャーをもったPCのパネルを使ったり、表情をつけることで、島としての雰囲気を作ろうとその重要性を訴えました。担当者が非常に熱意がありましたので、なんとかやりましょう、ということでやられた経緯があります。 それからこの手すりの部分にアイランドと文字が描いてありますが、これは鋳鉄で作った手すりにいろいろな詩をならべています。 例えば浦島伝説といったものを手すりに文字として刻み込むことで1.3キロの周囲の歩行者路をずっと歩く間によむことができます。 例えばおじいちゃんとお孫さんが歩いた時、例えば童話の話をしたり、昔ここに住んでいた魚の話をしたり、そういったことができるだろうと考えました。 ここは昔埋め立ててできた土地ですけれど、その当時に東京湾にいたであろうカレイですとか、魚のイメージを床のパターンとして作ろうとしています。 そういったものをたどっていくことで実はコミュニティーのイメージができてくるという様になってまいります。 このようにちょっと考えを膨らますだけでも、大変な労力がいるシステムになっていますから、時間的にスピードアップしないと美しい国づくり・東京づくりに間に合わなくなりそうだな、とやや個人的にはあせっております。 |
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| 私どもがアメリカにいる時にボストンとかいろんな計画をやりましたが、ガイドラインはかなり具体的になります。 今回は、具体的にはレンガの材料はこんな感じと示しております。 先ほど申し上げた詩を組み込んだ形の手すりはこんなものだよ、とかなり具体的なイメージを一つずつ提示しています。 設計者の方にいわせると、ここまでいわれちゃうと何もできないよ、となるのですが、実はそうではなくて、ある程度きちんとガイドラインを作っておくことで逆に設計者のイマジネーションを喚起し、リミテーションといいますか制限がればあるほど、色々な発想ができるという点を狙おうとしている訳です。 逆に「何やってもいいよ、ただいい街をつくってね」というだけでは設計者、建築家の頭の中に描いていることに、かなりズレがでてきますので、その部分に関しては揃えていき、その上でふんだんに想像力を発揮してもらおうということがガイドライン、マスタープランの基本的な考え方になります。 内原:私も今回、デザインガイドラインを拝見して本当に強烈な印象を受けました。 大体今までのガイドラインですと、まず文章での説明が主となり、大体のレンジがほんわり示されていますが、ほぼこの中に入ればいいよ、というものが多いのではないでしょうか? 今、光井さんがおっしゃったように、「これ!」というのが具体的にあり、そこからさらに発想を拡げていくということが様々なクリエイティビティを高める、というようなガイドラインであり、非常に新鮮でした。 光井:そうですか。 内原:色についても非常に細かく言及されています。 私は、日本の曇天の多い環境の中でなぜいつもダークな色の建築が多いのかと常々思っていたわけですが、今回は、アースカラーといってもちょっと彩度がある感じですよね。 このあたりは独自のお考えをおもちなのかぜひお聞きしたかったのですが。 光井:色については、曇天が多い、ということももちろんありますし、湿度が高い、ということもありますね。 ここは生活空間、コミュニティーの場ですから、できるだけ職人の手の技とか、設計者が考えた細かいディティールとか、そういったものを街に刻みこもうとしています。 そのことによって、それを見ながら育つ次の世代の子供達が、良いことも良くないこともいろんな刺激を受けることになると思います。 子供達の原風景として残るためには、かなり細かい人の知恵、技みたいなものがコミュニティーの中にきちんと示されていないといい影響を与えられないのではないかということが一つあります。 そういった意味では、レンガ、焼き物、石でもいろんな細工をしたもの、また手すりでも鋳鉄のものなど、大量生産というイメージではなくて、一つ一つ本当に作り上げたものだけを使って建物や外部空間を作るという考え方で進めています。 アースカラーについては、レンジとしてはわりと明るいベージュのものから、比較的濃いものまで与えて、その範囲の中に入るようにしてもらいます。 現実的にできているものをみると、薄い色のもの、濃い色のものもある。 ただ隣り合う棟がまったく同じになってしまいますと単調になってしまいますから、設計者には必ず隣の建物を見て違うものを作ってくださいとお願いをしています。 内原:このマスターアキテクトというシステムで、私も光井さんにお声かけいただき、ライティングの部分の担当をさせていただいております。 基本的にはアーキテクテトとランドスケープアーキテクトデザイナー(造園の設計を、愛植物設計の山本さん)の三人のディレクターで構成されています。 ![]() ライティングについても、先ほどの羽田と同じようなアプローチですけれども、独自の光のコンセプトというのを構築させていただいております。 この島の魅力的な夜の空間が作れるように、パブリックと民地の敷地が隣接したなかで、当然光は飛び道具ですから、飛び込んだり、はみ出たりということがあるのですが、そういった光がどういったリズムで構成されていくかということをみんなで認識した上で調整していく、ということを最初にコンセプトにしております。 今回、私は建物の中のバックヤードスペースから設備スペースの部屋まで、全て蛍光灯の色温度をそろえてくださいと最後までオウムのように繰り返して言っております。 その点が本当に実現するかが楽しみであります。 光井さんが進められたマスターアーキテクトの作業が、デザインガイドラインだけでもブック1、ブック2、デザインディベロップメントと三部構成になっていますよね。 私も一デザイナーとして言わせて頂くと、これほどマスターアーキテクトが示す資料が具体的ですと、これ以上どこをデザインするのか、と一瞬思うぐらい非常に詳細なスペック、仕様になっています。 スペックというのは少し語弊がありますけれども、指針を示す為の仕様例についても、ただ漠然としたレンジをなんとなく許容しようというコンセンサスの作り方でなくて、少なくともこういう理想という具体的な提案によってデザインの価値観が示してあって、そこからは実施設計者とコラボレーションして高い水準を目指そう、というモチベーション、ひっぱりあげるパワーを感じます。 それぞれの事業者は、発注した先の設計者とは立場が違いますので、事業者の経済的な問題や建築の条件的なことは、それぞれのデザイナーが受け持たねばならないのです。 マスターアーキテクトの役割は、そういう利害のギャップとかも含めて、とてもパワフルにそのデザインを進めないと実現しないのですが、そういう事が今回、結果としてもみえてきているのではないかと思い、私も参加してみて、大変いい経験をさせていただいたなと思っております。本当は色々なお話をお伺いしなければならないのですが、そろそろ時間も大詰めにきていまして、今日はマリオットのイベントということもありまして、ちょっと光の話もしなければなりません。先ほどの羽田の件でも、空港というのは24時間都市であるというお話がありました。 建築の中の光というものの様々な考え方で、日中の光も、夜の光も、重要であるということでライティングデザイナーがご一緒させていただいております。 今回、マスターアーキテクトとして色々な都市景観のデザインをされる上で、その大きな影響力として光がでてきましたが、今後都市景観では個々の光が集積するという高い次元のディレクションに変わっていくと思うのです。 そのあたり、アメリカでの考え方も含めて、できましたら日本が今後あるべき光について光井さんの思っておられることをお話しいただければと思います。 |
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