| HOME>トークセッション>MARIOT EVENT 2005autumn TOKYO P.1/2/3/4/5 |
| 内原 どうもこんにちは。今日は、お集まりいただきましてありがとうございます。 今日のイベントは、私も大変楽しみにしておりまして、ほとんど観客の一人として参加させていただきます。光井さんには私から出演をお願いしました。お忙しいところようこそおいでいただきました。ありがとうございます。 現在、光井さんのプロジェクトが東京でも数多く進捗しております。 その中でいくつか私も、建築が都市を変えるという鮮烈な印象を光井さんのお仕事から感じつつ、ご一緒させていただいています。 ![]() そこで今日は、非常に特徴的な二つのプロジェクトに絞って話を進めていきたいと思います。 一つはまだ竣工してないのですけど、光井さんが今、マスターアーキテクトというお立場でお仕事されているあたりを含めまして、今日はたっぷりとお聞きしたいな、というように思っております。 それでは、最初は光井さんの羽田空港第二ターミナルのプロジェクトから、建築のコンセプト等を含めて解説をお願いしたいと思います。 光井 ご紹介をいただきました光井でございます。 今日は、羽田空港とそれから芝浦アイランドプロジェクトの二つに絞ってお話をさせていただこうと思います。 特に、その中で両者のプロジェクトに共通する話題もあると思いますし、我々建築家としてどういう取り組みをしたかということを含めて、お話ができればいいな、と思っております。ご質問があればいただければと思います。 ![]() これは羽田空港全体を鳥瞰で見たところです。 皆さんが飛行機に乗られる時にはお気づきになると思いますが、元はビッグバードと呼ばれておりましたターミナルと、新しいターミナル二つのターミナルの真ん中に大きな赤いアーチがあります。 この左の方がホテルになっております。 駐車場がこのアーチを挟んで全部で四つあります。 ビッグバードと言われていた方をターミナル1、言われていなかった方をターミナル2とし、二つ構成になっています。 これは、松田平田設計事務所を頭にして一緒に設計JVとして取り組んだものですが、当初のデザインコンセプトの中でターミナル1の方は陸側にございますので、「陸のターミナル」と、新しいターミナルを特に東京湾がまっすぐ見えるということがございますので「海のターミナル」と位置づけがされておりました。 これは、我々自身が考えたというよりも元々は国交省の方で考えられたコンセプトがありまして、これに沿ってまずは作ろうということになりました。 この「陸のターミナル、海のターミナル」という考えは実は照明計画にもおそらく影響したのじゃないかなと思っております。そういう性格付けをまずしてみようということがございました。 最近、羽田空港だけでなく、韓国の仁川(インチョン)空港や香港など、大きな空港ができておりますし、上海にも非常に大きな空港が計画されております。 どの空港もそれぞれアジアのハブになる、非常に大型の空港ができております。日本は、島国という事もございまして、空港よりもどちらかと言いますと国内の電車とかが重要視されていたところがあるのかもしれません。が、経済も国際的になっていますので、空港の持っている役割は大変大きいものでございます。 そういった意味でも、主に国内空港と皆様に認識されている羽田空港もいよいよ国際化していこうという動きが非常に強くございます。 我々は、いろんな方がこのターミナルを訪れた時に日本の空港として恥ずかしくない、と言いますと非常に消極的な言い方ですが、外国のお客さんが来られた時に「すばらしいな」といえるものに是非したい、と考えました。 昼の風景、昼の情景という事もございますが、空港ですので夜に来られるお客様もたくさんいる訳です。夜見たときの風景、夜にもきちんとしたインパクトを持っているということ、これも非常に大事な国として持てるメッセージだろう、というように考えました。 ![]() バス、あるいはタクシーで来られると正面の方に出て参ります。 この真ん中のアトリウム空間をライトコーンと呼んでおり、空港全体の中央の空間になります。ちょうどここに「ターミナル2」というサインがつけてございます。 このブルーに見えていますのがオフィスの部分で、少しオレンジっぽく見えているのが、東急のホテルになっております。ちょうどここで構造体が半分に切れておりますが、今後は、ターミナルが反転されたほぼ同じ形で出来てまいります。最終的には2009年に全面開港ということが一応の当面の目標になっているようです。 空港にはモノレールや京急の電車で来られるほうが多いと思うのですが,モノレール,京急で着いた後で自分が出発ロビーまで上がって行く時に、上がり方がドラマチックである、という事が非常に大事かな、と考えております。 この空間は、円形のシリンダーのような空間なのですが、地下2階から5階までずっと吹き抜けていて、全体の空間がわかる形になっております。この上に波型の形をしたオブジェクトがぶら下がっておりますけど、これは千住 博(せんじゅひろし)さんと呼ばれるアーティストの方とコラボレーションし建築空間の中にこういったオブジェクトを作っていただきました。 これは、オーロラといいますか、水がちょうど落ちた風景を作っておりますけれども、この空間の中でどういった形を作るかということは、彼と一緒にいろいろな模型を作りながら実際に形をあてはめてスタディをいたしました。 少しブルーで構造体が造られておりますが、これは地下二階からまっすぐ地上4階までつながるエレベーターロビーになっております。 このブルーの部分はLEDで、内原さんが設計されたものです。全体がすこし暖色な雰囲気な中で、このブルーのアクセントもなかなか効いているな、と個人的には思っております。 この上に光のバンドのようなものがありますが、ここは2階レベルで、将来的にはターミナルの左側から右へつながる大きなブリッジになります。 商業をつなぐブリッジにもなりますけれども、ぐるりと一周まわって回遊できる仕組みを作っております。 ![]() 今の空間からさらに奥の方に入っていきますと、今度は商業の空間になっています。これは竣工写真なものですから、人が全くいなくて恐縮なのですが、この上の吹き抜けの天井部分も千住さんのイメージでアートを作っていただいております。 彼は主としてニューヨークで活動されていて、日本にたまたま来られた時に伺った話ですが、明治神宮を朝三時くらいに一人でゆっくり歩いていた時、ふと見上げるとその木の切れ目から空が見えていた、これをぜひ羽田空港で実現したい、と思われてこういった天井画を描かれたということです。 現実的にこの天井画はコピーではなく、足場をかけまして、彼が全部自分の手で一つ一つ描いたものです。 もちろんお弟子さんが何人も来られましたが。二ヶ月くらいずっとここに詰められて描かれていました。 今度ターミナル2に行かれましたら、ぜひお立ち寄り頂きたいと思います。 彼も天井見上げながら「ミケランジェロみたいだなあ」とおっしゃっていましたけれど、天井を向いて絵筆で絵が描ける状態の高さまで1.8m位で足場を作りまして、実際に描いていただいたので、なかなかおもしろかったと思います。 内原: その時は、最終的に照らす予定の光源を使って絵の製作をしていただきました。 光井:そうですか。 内原: ええ。光源の注文もいろいろあって、現実の光と違っているといけないので、最終の照明をつけながら描きましょうという話になりました。 光井これはライトコーンをちょうど二階のレベルから見たところですね。 お気づきのように、空に旅立とうとする時の、太陽の光をぜひ感じて欲しいなと思い、自然光をできるだけたくさんいれた空港にしたいと考えました。 この部分がちょうど建物全体の中央部になります。 例えば、このターミナル2のブリッジの上から左側を向いていただくと、ターミナル1の方をまっすぐ見通すことができます。 ターミナル1の方からは残念ながら見返すことができないのですが。それと同時に地下2階からつながってくる京急、それからモノレールの空間も上から見下ろすことができる。ちょうどこの空間におりますと空港全体の様子が手に取るようにってわかってまいります。 また、5階の展望室から東京湾を見るとまっすぐ海が見えます。
テーブルが出ておりますが、上には少し日除けを作りまして、皆さんにお休みいただけるようにと作ってあります。ずっと向こうの方に房総半島が見えておりますが、東京湾を囲んだ海の情景は、この空港の財産だと思いますし、そういったものを空港のデザインの中に生かしていく、ということがとても大事なことだなと思っております。 現実的に大変人気のある場所になっておりますし、この展望のスペースに隣接して、レストランそれからバーとかもございますので、なかなか良い空間的な仕掛けになったなと思います。ここまで上がられる方はなかなかいないかもしれませんが、今度行かれたらぜひ立ち寄ってみてください。 ![]() ターミナルをずっと見通した写真です。 非常に長い空間ですが、良く見ていただきますと、この先端の向こう側がホテルになっております。この先端の屋根の傾きがほとんど水平になっているのがお分かりいただけるでしょうか? 手前の方になっていきますと、このスカイライトの角度が段々段々上がっていきます。 ちょうどプロペラの羽根のように最初はフラットなのですが、それがローテーョンをしてゆっくり回転した形になります。 なぜこういう事をしているかというと、空間の中に立った時に空間のエンド、端の部分と、中間、中央の真ん中の部分が自分の立った位置ですぐにわかるということを大事にしようとしたからです。 また、空間としての大きな一体性をきちんと作っておきたいということがございました。 左側の方にグリーンの光のバンドがずっと見えております。実はここはショッピング街になっておりまして、お土産屋やレストランとかいろんなものが配置されております。 右側の方がチェックインカウンターとセキュリティーゲートになっております。 飛行機に乗られる方は、チェックインをして飛行機の方に向かう訳ですが、これは実は海外の空港と比べますと非常に違った構成になっております。...と申しますのは、チェックインをする前にたくさんのショッピングができるということなのです。 アメリカで考えますと、チェックインした後にショッピングする所がたくさんあって、外にほとんどないわけです。 アメリカでは、チェックイン前のショッピングは、時間が気になってなかなかできないようなのですが、日本では非常に効率の良いチェックイン、セキュリティーシステムがあるようですから、チェックインのかなりギリギリまで食事をしたりショッピングをしたりしていても、十分に搭乗に間に合うということです。 これは日本にいると良くわからないのですが、非常に画期的なのです。そこは「さすが日本だな」と設計の時にずっと話しておりました。 これは今の空間をセキュリティーゲート側から見たものです。今申し上げた天井の角度がだんだんと変わっているのが見えると思います。少し細い笹の形をしたようなスカイライトがございまして、上からまっすぐ光が落ちています。 それからこの部分をハイサイドライトと呼んでいますが、空が見える天窓のような部分になっておりまして、ここからも実は空が見えています。この時計台のあたりから見ますと、飛行機がちょうど上がる位置になっていますので、空港の中から飛び立つ飛行機を見ることができます。 こういった事が空港の体験としては非常に大事だろう、と考えています。 羽田空港の関係者の方と色々相談し、やっぱり空港の主役は飛行機ですから「飛行機を見せる」「空を見せる」「空とのつながりを演出する」といった事をかなり徹底して心がけてやっております。 セキュリティーEゲートに自然光がおちているのが見えます。 それから床の方にちょっと注目していただきますと、少し黒い線が出てきます。 天井にあるスカイライト光の線のモジュールと、この床のパターンがちょうど合った形になっており、自然の光のパターンと床のパターンが重なりあいながら全体の空間のイメージを構成している様に作ってあります。 この白いガラスの壁面の後ろ側は、実は全部ANAのオフィスになります。 ターミナル2は、基本的には全日空ターミナルになっております。 この部分におきましても、オフィスの雰囲気がこちらのパッセッンジャーターミナル部分にあまり見えないように、色々な壁面の仕掛けをしております。 内原:特徴的なチェックインの天井ですけれど、これは設計のコンセプト段階からの考えが実現したという感じですか? 光井:これはハーフローテーションと呼んでいるのですが、一番エンドの部分がフラットで、手前になると45度傾いた形になっています。 当初は反対側の部分についても、45度に逆にローテーションがしてある予定でした。 内原:途中で水平になって、またさらに? 光井:そうですね。全体的には45度でこうねじれた形。...昔、お菓子でそういうのありましたよね。 内原:(笑) 光井:キャンディーの包み紙のようなイメージで、そういう空間もいいのじゃないかなあ、と色々考えてみたのですが、最終的にはやはり空間の全体的なまとまりを考えた時にこのようになりました。 また特に片側のウィングですが、両側のウィングが全部できた時には、まとまりとしては中央のアトリウム空間を中心にして対照性の高い空間の方がいいだろう、ということでこういったもの選びました。 途中段階では、たくさん模型を作るなどしながら空間の構成を決めていきました。 内原:採光がふんだんにとられているのですが、微妙なスピンによって入ってくる光を、絶妙にグラデーションを作ったり、単純な採光だけじゃなくてダイナミックな空間になっていたりするのですが、採光については計画当初からどれぐらい期待されていて、また現実には思ったとおりになっているか、ということをご説明願えますか? |