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特派員報告

MARIOT照明セミナー報告
「光の生理的心理的効果について」
講師:中島龍興照明デザイン研究所/代表取締役 中島龍興氏

2004年1月27日〜29日
MARIOT照明セミナー+遠藤照明新製品展示会が開催。
照明デザイナー中島龍興氏より大変興味深いセミナーを頂戴しました。
参加された方よりも「光に対する認識がかわった」と嬉しいお声を頂き、
その模様を簡単ですが、ご紹介させていただきます。

Nakajima
中島龍興 Nakajima Tatsuoki
1946年東京生まれ。69年東海大学工学部光学工科卒業。
同年、ヤマギワ(株)入社。その後、(株)LDヤマギワ研究所、(株)TLヤマギワ研究所、(株)ハロデザイン研究所を経て、98年(有)中島龍興照明デザイン研究所設立。
住宅・店舗から都市景観の照明計画・設計を手がける。
千葉工業大学・九州産業大学・文化女子大学非常勤講師、北京理工大学客員教授。
http://www.h2.dion.ne.jp/~nakajima
http://allabout.co.jp/house/light/

 視覚生理・心理の照明応用
私たちの脳のメカニズムの中に、「この空間は良い・悪い」の感覚があります。
その感覚は、今まで生活してきた生活経験による事が大きく、白い光で生活してきたか、赤い光で生活してきたか、等で好みが変わっているように思います。
しかし私たちの脳は、まだ5%〜10%くらいしか使われておらず、それゆえに起こる「目の錯覚」というものがあります。
今日、私たちが照明計画する際に感覚という分野の研究はまだまだであり、こういった研究が進む事によって、これからの照明は変わると思います。
つまり、今後もっと生理や心理が大切になってくると思われます。

・視覚のメカニズム
視覚のメカニズム-図-

 まずは、生理(目の構造)を理解しておく必要がある。
  • 日本人の黒い瞳と欧米人の青い瞳/白内症の人の目など、いろいろ人によって見え方が異なる。
  • 一般に言われている照度は、中心視(視野の中のたった1度のこと)の話をしている。
  • 目の運動機能(毛様筋の働き)を理解。遠くを見ている目はリラックスしている。
  • 明るさ/暗さは対比で感じる。
この生理的要素を空間設計に取り入れてあげれば良い。

照度は、中心視(視野の中のたった1度のこと)の話をしている。
普段、明るさの指針として使っている「照度」というものは、結局はある1点を見て、明るさが足りている/足りていないと判断されている。
視作業面は中心視が有効だが、その他の部分は中心視だけではなく、周辺視を考えるべきである。


目の運動機能(毛様筋の働き)を理解。
目に遠くを見せる工夫をすれば、目はリラックスする。
机の上で本を読んでいて、疲れたな...と思い、窓の外を見ることがあると思います。
この時、遠くに夜景が綺麗に見えるのであれば、目はリラックスして、ストレスは緩和されます。
しかし、窓に室内の光が映りこんでいた場合、目は遠くではなく、近く(窓に映りこんだ光)にピントがあってしまい、 リラックスしようと外を見ても、意味がない状態となってしまいます。
照明計画をする場合、窓に室内の光が映りこまない工夫をされていると思いますが、単純に「窓に映りこむ」のが ダメなのではなく、映りこむことで目の生理的影響があるのです。

明るさ/暗さは対比で感じるものである。
10Lxの中での100Lxは明るく感じるが、1000Lxの中での100Lxは暗く感じる。

暗順応/明順応
明るさに目が慣れる事を順応と言います。
明るいところから急に暗いところへ行くと、人は一瞬、盲目状態になり、暗さに目が慣れるまで時間がかかります。
5分ほどで一旦慣れますが、完全に慣れるまでには約30分ぐらいかかります。
この暗順応に配慮したのがトンネルの緩和照明です。
長いトンネルの入口部分は明るく、中に入るに従って徐々に灯数が少なくなり照度調整がされています。
また美術館においても、入口を明るくし、徐々に明るさをダウンしていけば、目は徐々に暗さに慣れ、少ない照度で絵を鑑賞することができるようになります。
これは、エネルギー節約だけではなく、熱や紫外線に弱い絵の褪色を防ぐためにも有効です。


 輝度は生理と心理に影響する。
  • まぶしいと、どう不快なのか?
  • どのコントラストで不快なのか?
この生理的・心理的要素を空間設計に取り入れる。

輝度比は 1:10 以内が良いと言われている。
1:10 に代表されるのは、日陰:日向である。
明るい屋外は心地良いが、住宅のような室内に 1:10 は少し目が疲れる。
インテリアでは 1:10 以内が適切と思われる。
1:2 明るさの違いを認識
1:10 照度差・輝度差を明確に感じる(日陰と日向の関係)
※しかし、長時間の視作業は目にストレスを与える。
1:100  照明されているもの自体が光って見える。

<輝度アンケート調査>
シーン1: 背景が明るい時(白色光・ベース照明4台点灯時)
シーン2: 背景が暗い時(白色光・ベース照明2台点灯時)
シーン3: 背景が消灯されている時
シーン4: 色温度の違い


今回のセミナーでは、このような「輝度実験」を実施しました。
このアンケート結果は、集計・分析/中島先生とご相談しながら、MARIOTでも結果を公開できればと考えております。

その他、生理的・心理的影響
プルキンエ現象 暗い中では、青緑色が良く見える。
→交通表示・飛行場滑走路などに活用されています。
進出色(赤)と後退色(青) カラー照明を使い分けると、距離感を与えることが可能。
陰影 例えば、能面にいろいろな方向から光を照射した場合、陰影によってその表情が変化する。同様に陰影のつけ方で空間イメージが変わる。


 実は、間違って認識されている事が、たくさんある。
結局、生理的・心理的要素が理解されていないからである。

・明るいことは良いことだ。:×
生活経験その他より、日本人の私たちの脳に「明るいことは良いことだ」とインプットされてしまっている。

・高齢者は若年層に比べて、3倍の明るさが必要と言われている。:
暗い環境下(30Lx程度)では、若年層に比べて約3倍の照度が必要であるが、1000Lxの高照度の場合、この
関係は成立しない。逆に高齢者の目にとっても、この明るさは眩しい。

・天井へのアッパー照明は、天井を高く見せる。:
低い天井に間接を入れた場合、より低さを強調させてしまう。
1段高くした天井へのアッパー照明が天井を高く見せる。すべては対比である。


 現在、まだまだ研究不足であり、心理ではなく経済が優先されている。
感覚刺激のデータを持ち、説得力のある生理的・
心理的な説明=コンセプトを伝えていく事が必要である。

・照明の質が決まるまでのプロセス

照度○Lxという単純な数値基準ではなく、目の生理的機能や、人の心理的影響をしっかりとしたデータに基づいて説明。そのコンセプトを空間に生かせるように、早くなると良いですよね。

でも!生理現象で○○だから、このような照明計画が有効だと思います。...という説明の方が納得できますよね。
あらためて、照明計画時のプレゼンテーションを考えさせられたセミナーでした。


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